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みづ鍼灸室 by 未津良子(FAQ よくある質問) |
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Q10 反対側治療の効果とタイミング
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大昔からある反対側治療 |
中国の古典にも「巨刺(コシ)」という、反対側に鍼を打つやり方が記述されていますが、何故、反対側が効くのか、どのツボに、いつ、どういうタイミングで、反対側治療をすればいいのか?ということは、あまりに複雑な問題です。
幻肢痛は、戦争や手術などで切断された(すでに無い)足が痛い、あるいは痒いというやっかいな症状ですが、そういう場合は、あるほうの足に鍼灸をすると効果的だそうです。
喉の腫れや熱を引かせる合谷への多壮灸は、反対側に効果が出ることが多いようですが、だからと言って、すべてに当てはまる法則は見えません。
反対側といっても左右だけとは限りません。
子午流注(経絡を巡る気の流れ)で、正経十二経絡を時計に見立て、12時の反対は6時、というように見ることもできます。
人間を円に見立て、右手の反対は左足、という反対側治療もやります。 |
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「ボクもやってよ」とアピールされたとき |
患者さんの治療を続けるうちに、具合の悪い方の側ではなく、反対側に反応が現れてくる日がやってきます。
ほとんどは、肩を痛めたとか、足を怪我したとか、腕が上がらないなどの、運動器疾患の場合です。
スポーツ障害の場合は特に顕著です。悪い方の側をかばって無理をしているうちに、疲れ果ててしまうのでしょう。
痛んでいる方の側に重点をおいて、延々と治療をしつづけると、そっち側は、「痛いのも熱いのも、もう結構」とか、「これ以上いじられたくない」とか、「あきあきした」とか思ってしまうのかもしれません。
そういう場合は、反対側がパンパンになって、「治療してくれよ~」と叫んでいます。
思い切って、悪くない方の側を中心に治療をすると、悪い方の側までもが一気に快方に向かいます。 |
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頼られつづけた健側に疲れがでたとき |
私自身が左膝の怪我をし、11針も縫ったときのことです。
最初は、痛む左膝にばかり治療を集中しつづけます。
ある日、右足が痛み出します。そうなると、もう歩けません。
松葉杖を使うにしても、びっこを引いて歩くにしても、いい方の右足が頼りなのです。
いい方の足が前に出なくなると、前に進むことができず、その場に立ちすくんでしまうことになります。
そのタイミングで右足だけを治療すると、なぜか悪い方の左足まで軽くなるのです。完治までの間に、何度かそういう瞬間が訪れます。
ちなみに、縫われた傷にお灸をすると、最高に気持ちいいですよ。
血行が良くなって傷の治りが早くなるし、細菌感染もお灸の熱で予防できそう。鍼もいいですけどね。 |
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ひとりに集中しながら、全体を配慮する |
余談ですが、時々、治療って子育てと似ているな、と思うのです。
問題を抱えている子や病気の子にばかりかまけていると、他の子達がおかしくなってしまう。
代わる代わる不良化しては、親や先生の手を煩わせ、手をかけてもらえると、元気になる。
子供の教育をするようなつもりで、身体の各部を一人一人の子供に見立てるのです。
一人一人を気にかけながら、みんなが仲良く遊べるように配慮する。
みんなが元気になると、全体としての力が上がる、という感じです。
残念ながら、反体側治療については、まだ法則化できていません。
ツボの反応で判断し、その時々にやってみるしかありません。
キーワードは愛と直感、経験の積み重ね、というところでしょうか。 |
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