dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(FAQ よくある質問
Q19 東洋医学:日本の鍼灸の歴史
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Q19 東洋医学:日本の鍼灸の歴史
日本と中国は違う国
東洋に興味があるというハワイの女の子から、メールをもらったことがあります。「Chinese Medicine はすばらしい。鍼灸も好きだし、老子も好きです」というようなことが書かれてありました。

遠いハワイの人から見れば、日本と中国が、同じ国のように思えているんだろうな・・・、とは思ったのですが、ちょっとムッとした私は「日本と中国は、民族も言語も異なる、まったく別の国です」というような返事を書きました。

鍼灸=中国、というふうに認識している外人が多いのかもしれない、ということに気づいたときから、私は名刺に、
"Japanese Traditional Medical Arts, Acupuncture, Moxibution, and Anma" 
と入れることにしました。
奈良時代にはすでに定着
たしかに、鍼灸は、中国から渡ってきました。でも、日本の鍼灸師には、「中国医学」ではなく、「東洋医学」と呼んでほしいという自負心があります。

鍼灸に関する最古の文献は中国で、4000年くらい前のものです。日本にいつ頃入ってきたのかは定かではないですが、すでに奈良時代には宮中に、鍼博士、按摩博士などが置かれ、医学としての地位を確立していました。

文献に残っているのは1300年前、でも、それ以前から、この日本に定着し、独自の発展をしてきたのです。
明治維新以後
江戸時代までは、「漢方」(中国から来たもの)、新しく入ってきた西洋医学を「蘭方」(オランダから来たもの)、と区別され、どちらが上ということもなく、共存していたようです。

明治維新以後、日本の西欧化が進みました。アジアやアフリカの国々が次々と植民地化されていた時代背景がありますので、西洋文明を取り入れて、日本を近代化する必要に迫られてのことでした。

お城などもみな壊され、おとぎ話やわらべ歌なども廃止され、蘭方(西洋医学)を重視する政策が始まったそうです。
敗戦でマッカーサーが禁止令
そして、第二次大戦での敗戦。マッカーサーが日本を占領したときに、「鍼灸など、野蛮である」として、GHQによる鍼灸禁止勧告がなされました。

それを、盲人の団体が中心になって、全国的な運動を起こし、何とか廃止を免れましたが、それ以来、「医療類似行為」と呼ばれ、西洋医学の下に位置づけられるようになりました。

その時から、医師以外で、鍼、灸、あんまマッサージ指圧を業としたい者は、学校で3年間勉強して、国家試験を受け、資格を取る、という制度に変わりました。
(医師はオールマイティなので、自由に鍼灸治療ができます)
国家試験はほぼ西洋医学
国家試験の科目は、ほとんどが西洋医学に関するものです。医療関係者で、医師以外で開業権があるのは、鍼師、灸師、あんまマッサージ指圧師、柔道整復師と助産師だけです。
「このぐらい西洋医学の知識があったら、開業させてやってもいい」という試験なのでしょう。

学校によっても違いがあるのですが、国家試験の合格率を高めるために、鍼灸学校では、西洋医学を中心に教えているところが多いようです。
学校では治療の実際は学べない
戦前までは、鍼灸を学ぼうとする人は、治療院に弟子入りして、技術を学び、師匠から「一人前である」と認められてから、開業していました。

現在でも、東洋医学や鍼灸治療の実際は、治療院で助手をしたりして覚える、という基本は変わっていないようです。
その他、本を読んだり、講習会に出たりして、自分で勉強するしかありません。

《私は、経絡治療学会で3年間勉強したのですが、私がやっている経絡治療は、本家からはかなり外れた、オリジナルなものとなっています。
友人たちはみな、それぞれ全く別々の流派で勉強していて、よく教えあいっこしました。

「鍼灸師が100人いれば、100の流派がある」と言えるぐらい、それぞれが独自の考え方を持ち、独自の治療法を持っています。
古来からの治療法は消えつつあるけど・・・
鍼灸は臨床医学です。
「どうすれば治るか」を試行錯誤しながら、「こうしたら治った」という経験を積み重ねていく学問です。
「なぜ治るか?」ということに関しては、「気」というものが、目にも見えず、数値化もできないことから、それを解明するのは至難のわざと思います。

鍼灸治療は、基本的な知識や技術を祖先から伝承し、新しい世代が試行錯誤して、その時代にマッチしたものを生み出してきました。
西洋医学を取り入れた現代の鍼灸治療ですが、それを後世に伝えてゆくのは、私たちの使命でもあります。

現代の鍼灸のあり方、後の世では、「西洋派」とか「西方派」とか、称されるようになったりして・・・?と、不思議な気持ちがします。
伝統を受け継ぎつつ、発展させていけたら・・・
わずかに受け継がれてきた伝統的な治療法をベースにしながらも、鍼灸治療はちょっとずつ変化をしてきました。

祖先から、「人類」としてのDNAを受け継いだ人間も、それぞれの生い立ちや経験と、そのときの時代背景も加わって、ひとりひとりがちょっとだけ異なった人間に成長しますよね。
そして、DNAという基本と、積み重ねた経験(歴史)を、あとの世代に伝えていきます。
それと似たようなものかもしれません。

まあ、どんな分野においても、すぐれた知識や技術というのは、そういうものなんでしょうね》

今は、アメリカなどでも鍼が見直され、利用されていることを思うと、GHQの禁止勧告を阻止したことが、ゆくゆくは人類全体の利益になったともいえるでしょう。

そんなふうに、世界に胸を張って言えるような鍼灸師でありたいものです。
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Updated: 2007/5/22