dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(ふろくの話)
ふろく2・はしか(麻疹)改
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ふろく2・はしか(麻疹)・改
はしかの体験から・・予防接種は必要か?
自然にはしかに罹ると生涯免疫ができる
最近では、予防接種をしたのに、はしかにかかるケースがけっこう少なくありません。ときどき大学生の間で大流行し、大騒ぎになったりします。
うちの子は3人とも自然にはしかにかかりました。私も、幼稚園の頃にはしかにかかった記憶があります。
昔、人が普通にはしかに罹っていた時代には、一度はしかに罹ると2度とうつらないというのが常識でした。自然にウィルスに感染し、自力で勝ち取った抗体の寿命は長く、はしかの場合には一生ものの免疫(生涯免疫)を手に入れることができます。
上の2人がはしかにかかった1978年頃は、まだ、予防接種がメジャーな時代ではなかったような気がします。たいていの人が、子どもの頃に、フツーにはしかにかかりました。だから私も、何も考えず、あたりまえにはしかの子どもの看病をしました。子どもの頃にやった方が軽くすむので、半分不安、半分安堵、というところでしょうか。
鍼灸で治療したわけではないのですが、私自身の体験とポリシーを中心に、私の知っている範囲内で、免疫のことなど書いてみました。
はしかの症状は?
はしかの特徴 潜伏期間は約2週間
38度以上の高熱が3日間つづく。とてつもなく元気がない
4日目、熱が下がり、口の中にコプリック班ができる
全身に発疹があらわれ、また3日間、39度以上の高熱がつづく

「3日間、38度以上の熱が出て、一日だけ下がる。そのときに、口の中にコプリック班が見つかる。それから再び熱が上がり、全身に発疹が出て、39度前後の高熱が3日くらいつづく」というのが、典型的なはしかのパターンです。
熱が下がったあとも油断は禁物です。麻疹ウィルスとの闘いで、徹底的に体力を消耗しています。余病が出ないように、熱が下がった後も数日は安静が必要です。
治りかけのケアも大切なのです。
はしかに効く薬はない
上の子が3歳になったばかりのときに、保育園でうつってきました。3日間、38度以上の熱が続きました。子どもはいつもの元気がありません。日ごろの腕白小僧が別人のようです。4日目にやっと熱が下がってホッとしたのですが、相変わらずひたすら元気がなく、ぐったりしています。
近所の医者に連れて行ったら、別室で待たされました。保育園などで流行っていたので、情報が伝わっていたのでしょう。
「口の中をのぞいてごらん」と言われました。コプリック班と呼ばれる口内炎ができていました。それがはしかの証拠です。
「ガンマー・グロブリンの注射をするには、もう遅すぎます」とのことでした。「ウィルスに効く薬はありません。自宅で安静にしてください」と言われました。
早速、あちこち電話をして、年長者の知恵を拝借しました。
姑に聞くと、「家の隙間という隙間に目張りをして、病人が風に当たらないように気をつけた」「そこら中に火鉢を置いて、部屋を暖めて、やかんをかけて湯気をじゃんじゃん出した」と教えてくれました。
冬だったので、とにかく家の中を暖かくして、風に当たらないように気をつけました。
ウィルスとの闘いは1週間つづく
その日の夜には、39度前後の熱とともに、発疹がでて、全身にパーッと広がりました。起きているときでも、コタツの上にあごを乗せて、真っ赤な顔をしてフーフーと、ひたすら耐えていました。はしかのウィルスと戦うために、全精力を投入していたのです。全部で1週間ぐらい続いたでしょうか。
その間、まったくご飯を食べませんでした。どんどんやせ細っていって、目だけがギョロギョロ、という感じでした。水分は、たくさん取らせました。
ある日突然に、熱が下がり、いきなり元気になりました。ごはんも、普段の2倍、食べて食べて食べまくり、あっという間に元の体重を取り戻しました。
予定通り、長男の最初の発熱からちょうど2週間後、次男の熱が上がり始めました。はしかに限らず、たいていの流行り病は、症状が出る直前が、一番感染力が強いそうです。
なぜ、予防接種をしなかったのか?
実際にはしかにかかって脳炎などの重篤な余病にかかるより、予防接種の副作用による薬害の方が確率が高い、というのを読んだことがありました。だから、あまり、予防接種に乗り気ではありませんでした。
娘の頃には、まわり中で予防接種が流行っていたせいか、小学生になってもはしかにならず、何かのついでにお医者さんに相談しました。その時のお医者さん、山田真先生(「はじめてであう小児科の本」の著者)は、「その年まで罹っていないということは、不顕性感染、つまり、症状は出ていないけど、実際には感染して抗体を獲得済みという可能性がある」と教えてくれました。
「今までかかっていないなら、このまま様子を見るのがいいんじゃないですか?」と言われ、渡りに船、というところでしょうか。
病後のわがままのほうが大変だった娘
結局、3番目の娘は、ちょうど中学の入学式直前にはしかになりました。
幼馴染の家に3日も泊まってきたあと、あまりに元気がないので、ものすごい不思議に思いました。風邪も引いたことがない丈夫な娘で、元気のない姿なんて見たこともなかったからです。
熱を測ってみたら「熱がある!」と超びっくり。3日して下がったときに口の中をのぞいてみたらコプリック班が見え、遅咲きのはしかと判明しました。
こっちも慣れたもので、医者にも行かずに、自宅で安静にして治るのを待ちました。言葉もろくろくしゃべれなかった幼い子の看病より、ずっと気が楽でした。
借りてきた猫状態は1週間半で終わりました。病気の間、甘え放題ですっかりわがままになってしまったのを修正するほうが大変でした。
小さい方が軽くすむ、と言われてはいますが、日ごろ丈夫な人ははしかにも強かったようです。
「はしかをやると丈夫になる」の言伝え
昔から「はしかをやると丈夫になる」という言葉がありますが、その通りでした。
上の2人はそれまでは、ちょっと水遊びをすると・・・、ちょっと夜遊びをすると・・・、あるいは、旅行や予防接種の前夜(つまり、こっちが何とかして風邪を引かせまいと願った時に限って)、あっという間に40度に上がってしまう高熱をしょっちゅう出していました。
私自身も風邪を引きやすく、3人で(大げさでなく本当に)毎月熱を出して寝込んでいたのです。
ちょうど同じ頃、無農薬の野菜を食べ始めたので、そのおかげもあると思いましたが、それでも時々熱を出して寝込む私に引きかえ、2人はめったに風邪も引かない丈夫な身体になったからです。
「はしかは子供の大役(大厄?)」という言葉もあります。どちらを選んでもリスクはあるのです。だったら、ワクチンを受けさせずに、あえて自ら自然にはしかに罹る、そういう選択肢もあるのです。
自然派で、子供を野性的に育てたいというのが私のポリシーでした。子育ては大変だったけど、冒険の連続で楽しかったと思います。
リアルなはしかもけっこうな冒険だったけど、これではしかに関しては一生安心だし、つらい思いを乗り越えた子供の達成感は、何ものにもかえがたい貴重な体験と思います。
ウィルスは「抗原」、免疫として「抗体」
細菌やウィルスなどの病原体を「抗原」といいます。体内に病原体が入ると、血液の中に抗原をやっつけるための「抗体」が作られます。
次に同じ病原菌が入ったときに、持っている抗体を一気に増産し、簡単にやっつけることができるます。「抗原抗体反応」という免疫システムです。
はしかに罹ってすぐ、あるいは、兄弟などがはしかに罹っていて感染している可能性が高いとき、お医者さんに行って注射を打たれたことがある人がいるでしょう。そのときの注射はガンマー・グロブリンといって、すでに免疫を持った人の「抗体」です。
その瞬間だけ免疫力を保持し、はしかに罹ることを防ぐためのものです。効果は一時的で、しばらくすると、その抗体はきれいさっぱり体内から排泄されます。
ガンマーグロブリン(抗体)の注射では、免疫はできません。
抗原抗体反応は、身体を守るための免疫システムなのですが、時には反応が強すぎてショック症状を起こすこともあります。アナフィラキシー・ショックです。スズメバチに刺されて死に至るのはこの反応のためです。
初めてスズメバチに刺されるときには抗体が作られて、毒素に対して身体を守ることができます。2度目にスズメバチに刺されたときには免疫があるので抗体が産生されますが、その反応の激しさにショック死を起こすのです。
つまり、スズメバチの毒素には勝てるのですが、自らの抗原抗体反応に身体が耐えられなくて死に至ってしまうのです。
(私も去年スズメバチに刺されたので心配です<私のブログ→2018/4/15>)
もうひとつ有名なのがペニシリン・ショックでしょう。ペニシリンはフレミング博士がアオカビに細菌を殺す働きがあることを発見し、その後、アオカビから抽出し大量生産することができるようになった抗生物質です。
お医者さんに抗生物質を出されるときに、ペニシリンにアレルギーがあるか、問診されたりテストされたりしたことがあるでしょう。まれとはいえ、体質によっては死亡例が出るほどのショック症状を起こすことがあるからですが、これも抗原抗体反応によるアナフィラキシー・ショックです。
ワクチンと自然の抗体は違う
はしかのワクチンは生ワクチンです。はしかのウィルスを培養した株のうち、毒性が弱くて免疫を作り出す能力の高いものを選び出して、大量生産したウィルスを「抗原」(=ワクチン)にします。
弱毒化されたウィルスを生きたまま人体に注入し、「抗原抗体反応」を起こさせるのがはしかの予防接種です。
症状を出さずに免疫だけを手に入れることが目的ですが、実際にはしかに罹るので、当然、余病や副作用のリスクもあります。
確かに、幼い子供にとってはしかは見ているのがつらくなるほど大変な病気。それでも子供のうちのほうがまだしも軽く済みます。つらい症状に苦しみ、それを克服するから、生涯免疫を手に入れられるのです。
予防接種をしたからと安心しきっていて、もしも大人になってからはしかに罹ると、それこそ命にかかわるのです。
予防接種と副作用
予防接種でつくられた抗体は、定着率も低く、寿命が短いという問題があります。
巷で流行っているはしかのウィルスにさらされることで抗体が強化されること(バースト現象)を利用して、生体に定着させようという試みでした。
近年では、ワクチンの普及によってはしかに罹る子どもが激減しました。なので、バースト現象が期待できなくなってしまいました。
一回で生涯免疫をつけるのは不可能なので、何回も接種するする必要があります。
レオン・チャイトー氏は「危ないぞ予防接種」という本の中で、「重大な疫病がなくなったのは公衆衛生を向上させたおかげである。予防接種は副作用が激しく、効果がない」と主張しています。
副作用のあるワクチンを何度も体内に注入するのは、大きなリスクがあります。
はしかが、そうまでして根絶しなければならないほどの病気かどうか、という問題もあります。考え方は人それぞれですが・・・。
人間の心と身体の不思議
ワクチンではしかに感染するのと、リアルなはしかに感染するのでは、免疫力に大きな違いができるということ、本当に不思議ですよね。
結局、ワクチンというのはバーチャルリアリティみたいなものかもしれません。コンピューターでロールプレイングゲームをする。インターネットで見知らぬ人と友達みたいになる。ネット上で仮想友人(恋人)関係を結ぶ。
本を読んで、知識として知っただけで体験したような気になってしまう。自分で体験する代わりに、親や他人の意見を聞いて、チャレンジする前にやめてしまう。そんな若い人が増えてきました。
身体の免疫システムも、心の免疫システムも、似たようなものかもしれません。
現実の世界で、どっぷりはまり込んで苦しんで、傷ついたりしながらも、それを乗り越えて得た体験は、生涯自分の力になるでしょう。そうやって得た友人は生涯の友になります。
おまけに、達成感までゲットできるという、すばらしい副作用まであります。「転ばぬ先の杖」では子供は成長のチャンスを逃してしまいます。
ウィルスにはDNA型とRNA型がある
生物は遺伝情報を復元するために、DNAとRNAの両方を持っています。
ウィルスは生物と無生物の中間の存在で、DNAとRNAのどちらか片方しか持っていません。感染した動物の細胞を利用して繁殖していきます。
DNAは2本の鎖がからみ合って、二重螺旋構造をしています。1本に不具合が生じても、他方にある情報を利用して修正することができます。完璧に自分をコピーできるのです。真面目で優秀で有能なスタッフのようなものです。
RNAは1本の鎖のみでつくられているので、破損したら修復不可能。ミスコピーを連発し、どんどん変異していきます。いいかげんで無能なスタッフを雇ったようなものです。
100の変異体を作り出し、99が死んでも、環境により適応した「1」が生き残ればいい。そうやって増えていくのです。
(参考資料→The Ful is a bummer!
天然痘のウィルスはDNA型なので、「抗原」が変化しません。種痘で天然痘を根絶したのと同じやり方で、地球上からはしかのウィルスを追放しようという戦略なのです。
麻疹のウィルスはRNA型なので、根絶は難しいと思います。
すべての感染症を撲滅できるか?
放送大学で聞きかじった話ですが、1980年にWHOによる「天然痘の撲滅宣言」が出され、これで人類は永遠に感染症から免れられる・・・と世界の医学会が小躍りしたそうです。でも、その翌年にはエイズとエボラ出血熱が出現しました。そうやって新種の病原体が次から次へと現れる、それが現実、という話でした。
ついでに言えば、インフルエンザのウィルスはRNA型です。抗原の型がどんどん(秒単位で)変化するので、ワクチンを作るのが間に合わず、予防接種によって根絶するのは事実上不可能です。風邪のコロナウィルスもRNA型です。
ひとつひとつの病原体を、予防接種でひとつひとつ潰そうとしても、それは不可能です。はしかやインフルエンザに自然に罹れば、自分の免疫力を賦活させることができます。病原体に打勝ち、生き延びる能力を向上させることができるのです。
「ジュラシック・パーク」の中でマイクル・クライトンが、「生物を侮ってはいけない。生物はいかなる状況の中でも、自ら生き延びていく方策を考えるものだ」と語っていました。
私も大いに同感です。
ふろくTOP
Updated: 2019/4/16 <初版 2007/11/9