dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集)
症例9・風邪3 (2003)
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症例10・風邪3 (2003)
人間を滅ぼせるのは人間だけ?
ひさしぶりのひどい風邪
2003年2月、開業10周年を記念して、インドネシアのバリ島へミニバカンスに行きました。
不覚にも、飛行機に乗る日の朝風邪を引き始めていることに気がつきました。

慣れない海外旅行への期待と不安に心臓ドキドキ、ついでに他にも悩みを抱えていて、精神的バランスを崩していたことがまず原因(内因)です。

一緒に行く友人の家に前日の夜に泊めてもらったのですが、その家が一軒家でものすごく寒かったのです。
治療院は一年中20度以上だし、自宅も団地で、夜中でも誰かしら起きていて、いつも石油ストーブがんがんです。
ここ数年寒さに弱くなっていたのです。その寒さも原因(外因)です。

前日まで超ハードに仕事をしまくり疲れ切っていたことと、普段めったに電車に乗らない私が、ウィルスがウヨウヨの電車に乗って、風邪のウィルスに取り付かれてしまったこと。
過労とウィルス、この2つも原因(不内外因)です。
漢方における病気の原因とは?
江戸時代の日本の漢方では、病の原因を3つに分けていました。

病気なる前提として、精神的な乱れによって体内バランスを崩していること、これを内因といい、原因の第一に挙げられています。
肝=怒、心=喜、脾=憂・思、肺=悲、腎=恐・驚、
これら「七情」の変動が、免疫システムを乱し、病邪の進入を容易にします。これが病気の元々の元となります。

外因は外的環境の変化です。
「六淫」(風・寒・暑・湿・燥・火)と、過度の筋肉疲労が病気の原因を作ります。

暴飲暴食、不摂生、怪我や事故、仕事のし過ぎによる疲労などは、内因から引き起こされた、人間の行為ですね。
その他、ウィルスや細菌、車の存在とか、交通事情とか、壊れた階段とか、交通事故の加害者とか、内因・外因以外のすべて不内外因とされます。
風邪でも寝込まず遊んだ私・・・
風邪を引き始めていることに気づき、すぐに商陽から邪気を抜きました。大椎へ金粒を貼りました。飛陽に銀粒も貼りました。
どこへ行くにも常に治療道具を持ち歩いてる私です。
このホームページで風邪のページを書き上げたばかり、自信たっぷりでした。

ところが飛行機の中で、具合はどんどん悪くなる一方。
せっかくの休み、風邪なんかにやられてなるものかと、ハリを打ちながら観光もし、海にも入りました。

バリは気温が30度もあり、けっこう蒸し暑くて、同行の友人は暑がっていたのに、私は寒くて寒くて、長袖を着込んで、首にはハンカチと日本手ぬぐいを巻き、それでも寒くてガタガタ震えていました。
持っていったティッシュ1箱を使い果たし、ホテルのティッシュもトイレットペーパーも使い果たし、同情されておまけのティッシュまで貰いました。

日本手ぬぐいは、いざというとき裂けば包帯代わりにもなるし、と思って持っていったのですが、日本なら恥ずかしいけど、バリならいいや、これもファッションと思われるかも、とマフラー代わりにして重宝しました。

海が大好きで、毎日ビーチに出たし、海にも入ったけど、寒いし体力はないし、思いっきりは遊べませんでした。
でも、バリの人って好き!
素朴で人懐っこくてお人好しで。小学生に戻って昔の小学校時代の友達に会ったみたいな感じでした。
また行こうと思って、インドネシア語の勉強を始めちゃいました。
合谷への多壮灸
ハリを、朝晩やって、やったあとは楽になるのだけど、しばらくたつとまた具合が悪くなります。
風邪の勢いがものすごく強くて、どうしても押し戻せませんでした。インフルエンザだったかもしれません。

カマヤミニは持って行かなかったし、お灸を面倒がってたのですが、昔よくやった治療法、合谷に多壮灸をしました。
灸点紙をして、ちっちゃな糸状灸から始めて、少しづつ大きくしながら50壮ぐらいしたかもしれません。とにかく気持ちがよくて、煙は鼻かぜのせいで変な匂いだったけど、治りそうな気がしてゆっくりと吸い込みました。

右の合谷にお灸をすると、左のわきの下の温度が4分下がり、左の喉の脹れが引きます。
左の合谷は右の喉に効きます。邪気を抜くのも同じ効果と思っていたので、お灸は面倒くさいと思っていたのですが、煙効果は絶大でした。

一気にステージ5へ。ウィルスに勝ち始めたのがわかりました。
その日の夜から、長袖を脱ぎ、おしゃれしてレストランへ出かけることができ、次の日は雨季なのに朝から快晴で、やっと、本当に海を快適と感じられました。
ちょうど5日目、帰る日だったので、残念でもあり、神様が1日をプレゼントしてくれたと思うとうれしくもあり、でした。
SARSは予測された事件だった
とりあえず、バリで風邪を引いたのがSARSの前でよかった。じゃなかったら、SARSと思われて隔離されてたでしょうね。

次に人類を危機に陥れる新種のウィルスは、人間と動物と鳥類が一緒に暮らす中国から発生するだろうと予測されていました。インフルエンザウィルスではなくてコロナウィルスでしたけど。

「もう抗生物質では治らない」(M・シュナイアソン/M・プロトキン著 NHK出版)という本を読みました。
抗生物質の発見以来、乱用に乱用を重ねた結果、耐性菌の蔓延を生みました。

医者や薬局だけでなく、家畜の飼料へも成長促進剤という名目で添加されていることを知ってました?

「加熱すれば大丈夫」なんてとんでもない。
毎日少量の抗生物質を体内に入れることで、家畜に耐性菌が発生し、人間の細菌と遺伝子交換をして、あっという間にあらゆる細菌がその種の抗生物質に対する耐性を手に入れるのです。
ウィルスと同じやり方で生き延びてきたんですね。
免疫システム
ある意味、新種のウィルスよりも耐性菌のほうが怖いかもしれません。
もし抗生物質が効かなくなったら、手術も汚い手で屋外でやるのと同じことになってしまうし、免疫抑制剤が必要な臓器移植は不可能になり、ガンの治療も、免疫能力を低下させる抗がん剤や放射線治療ができなくなります。

抗生物質の発見以来、世界を変えた西洋医学。
まるで、医学は万能で、その進歩はとどまる事を知らず、あたかも不老不死が未来に待っているかのような幻想が持てた時代もそろそろ終わりに来ているようです。

ウィルスや細菌が、遺伝子を交換し合って変化、成長を遂げる様子はすごかったけど、それに対抗して、体内の免疫システムを変化させ、新しい戦い方を身に付けていく人間の免疫能力はすばらしい。

すごい細菌やウィルスが出現し、人類が絶滅するかに見えても、人間の免疫システムは猛スピードで順応し、細菌やウィルスを駆逐し、結局は生き延び、繁栄してきました。
やっぱり、人間を滅ぼせるのは人間だけかもしれません。
Updated: 2003/6/8