doseiみづ鍼灸室 by 未津良子(ヴェルの思い出) 
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- 出会いから編  -
ヴェルの思い出
2011 ・ 4
8月19日 肺水腫④ ひたすら眠る
西洋医学はすごいね。東洋医学ではこうはいかない。
でも、一応、ヴェルの背中に鍼を打った。今度はおとなしく、朝までずっと、刺したままでいた。
容態が落ち着いたとはいえ、目に光がないし、鼻も乾いている。激しい呼吸で疲れ果てていたんだろうね。
8月23日 肺水腫⑤ 快復
翌朝(8/2)には、かなり余裕が出てきた。
ヴェルはせっせと指を舐めている。
獣医さんが、「ごはんが食べられるかどうかが問題だ。食べられれば、薬を飲ませられる。じゃないと、注射をするしかない」
と言っていたのを思い出した。

まず、それを確かめなくては・・・

私のあとを、トコトコ歩いてついてくるので、心臓の薬(エナカルド)と利尿剤を、チーズに仕込んで、あげてみた。
パクパク食べた。

昨日の夜作った、鶏肉と野菜のスープ煮を温めなおして、ごはんと混ぜた。
お皿からは食べられなかったけど、手に取ってあげると、ガツガツと食べた。
量はいつもより少なめだったけど。

家を出るタイミングで、獣医さんから電話がかかってきた。
「おいでにならないので、もしや、容態が急変して、夜間救急病院に行ったのかと思いまして・・・」
「ご飯を食べさせたりしてたら、遅くなってしまって。今、出るところです」
「そうですか。いい方に変化したんですね。それならよかった」
いい先生だね~~

車で出ようとしたけど、暑い。そのへんで、おしっこをさせてから、ヴェルをバッグに入れて、バイクで動物病院へ行った。

レントゲンを2枚とってみたら、心臓も肝臓も小さくなっていて、肺の中も、かなり黒い部分が広がっている。呼吸音もほとんど正常だった。

危機は脱して、ヴェルはだんだん元気になっていった。よかった、よかった。

夜ご飯は、自分でお皿から食べられたよ。
8月26日 肺水腫⑥ 湿度に警戒中
獣医さんの話によると、湿気がいけないらしい。
肺水腫になる前、1週間ぐらい、気温がぐっと下がった。猛暑に慣れた体にとっては、肌寒いかんじだった。だから、エアコンをかけないでいたんだよね。

デジタルの湿度計を見て、50とか60ぐらいの湿度を維持するように、エアコンをかけつづけなきゃいけないんだって。

「犬を飼う人は、省エネなど言ってちゃだめですよ。夏でも毛皮を着ているんですからね」、と獣医さんに言われた。

特に、ヴェルの病気は湿気が大敵らしい。ちょうど、数週間前、デジタルの温度計を買ったばかりだったので、手元において、いつもにらめっこしている。

お散歩も、半分に減らしなさいって。かわいそうだけど、涼しくなるまでは、排泄プラスαにしている。心臓に負担がかからないようにしなくてはならないもの。

階段上りはやめさせて、抱っこにした。
写真は、うっかりそれを忘れて、3階まで駆け上がらせちゃったあとのヴェルだよ。
下りは、心臓の負担が少なそうだから、今まで通りやらせている。

丸2日、横隔膜の呼吸だけで持ちこたえたのは、体力があったからかもしれない。じゃなかったら、疲れ果てて死んでたかもしれない。

そう思って、体力づくりはつづけることにした。

とりあえず、今は、元気だよ。患者さんたちも、肺水腫の前より、今のほうが元気そう、と言ってくれている。
9月3日 肺水腫⑦ 柿の葉茶
ヴェルは、心臓の薬の他、利尿剤も飲んでいる。肺に溜まった水を排泄するためだ。

そこで思い出したのが、柿の葉茶だ。20代の頃、ためしに飲んでみて、あまりの利尿効果に、飲むのをやめてしまったほどだ。

柿の葉茶を、餌や水に混ぜてあげると、すごい勢いで、おしっこがジャ~~~、と出る。
おもらし防止に、ちょくちょく外におしっこに出してあげるようになった。

写真は、玄関で待ち伏せをするヴェルである。患者さんが帰るタイミングを見計らっているのだ。
うっかりドアを開けると、すきまから、さーっと外へ逃げ出す。
うまくすると、患者さんが、ちょっと一回りしてくれることもあるし。

「シッシだけね~」と言って、私がおしっこに連れ出すこともあるし。。。
9月10日 肺水腫⑧ ハリ治療
「ちょっとでも変だなと思ったら、すぐに利尿剤を飲ませて、早めに対処してくださいね」と獣医さんに言われた。

だから、ヴェルの呼吸を、しょっちゅうチェックしている。夜、「呼吸が速い?」と気になったら、ハリと古方按摩の手技で治療をする。

背中や胸、肋骨の呼吸筋などをかるく揉みほぐし、肩~腕、手、指先に向かって気を流す。

「ハリ打つから、取らないでね~」とヴェルに言い聞かせ、背中に鍼を打つ。身柱を中心に、その時々で、気になるところに1本、切皮だけする。
次の日、ハリがまだ背中に刺さっていたけど、そのままお散歩しちゃった。
背中の黄緑色が見えるかな?ディスポの0番鍼だよ~。
9月17日 肺水腫⑨ 食事療法
ヴェルによく声をかけてくれる、近所の酒屋の娘さんに、「この間、肺に水が溜まって、死にかかったんだよ~」と話したら、「あら、うちのお父さんと同じね。犬も、人間と同じ病気になるのかしら?」と言う。

「え、病名は何なの?うちのは、僧房弁閉鎖不全で肺水腫になったんだけど?」と聞いたら、「あ、同じだわ。2年前、酸素テントに入って、入院したのよ」とのこと。
そのお父さんは、今も元気に働いている。あんまり重いものは持たないように、あんまり長い距離は歩かないようにしているんだって。

ヴェルも、食事に気をつけ、適度な運動をすれば、まだまだ元気に長生きができるかもしれない。
それ以来、酒屋のおじさんが天使に見える。

獣医さんによれば、僧房弁閉鎖不全には、「塩分控えめ、たんぱく質控えめ、高カリウム」の食事を与えなければならないそうだ。
それって、いつも私がヴェルのために作っていた食事だ。穀類、野菜、イモ類を中心に、お肉はダシ程度のお料理。

「でも、それなのに、肺水腫になったわけでしょ?」と獣医さんに、心臓病の犬のためのドッグフードをすすめられた。

ヴェルが肺水腫になる前の数週間、あまりの暑さに手抜きをしていた。人間用を適当にアレンジしたりして、かなりいいかげんだった。

もしかしたら、10歳のとき、心雑音があると言われながら、1年以上も元気だったのは、私の手作り食が、心臓にいい食べ物だったからかもしれない?
今までどおりの食事をメインに、余裕のないときはドッグフードで手抜きをする、という方向性で行くことにした。

ヴェルは、幸い、ドッグフードも喜んで食べる。たぶん、毎日つづいたら飽きると思うけど。
同じものがつづくと食べなくなるから、献立に工夫が必要なんだよ。

野菜入りホットケーキには、ジャガイモの摩り下ろしを加えて、無塩バターで焼いている。
1度に20枚ぐらい、まとめて焼いて、冷凍しておく。

鶏肉と野菜のスープ煮も、3食分ぐらいずつ冷凍しておく。ご飯やパスタと混ぜてあげるんだ。
美味しいものだと、ほら、にこにこでしょ。「いただきます」の代わりの、「お手」だよ~。
9月24日 台風の影響
台風で、みなさんキャンセルになったので、一日中家にいた。
窓の外では、桜の木が、ごわんごわんと揺れていた。野川の増水は、さほどでもなかった。

台風を窓から見学しながら、模様替えのつづきをやったり、栗おこわを作ったり。普段できないことがじっくりできて、けっこう充実。
通勤の人はお気の毒でした。
ヴェルも外に出られず、かわいそうだった。さんざん家の中でバタバタしたけど、とうとうあきらめて寝てしまったよ。
9月30日 久しぶりのハウス
車に積みっぱなしだったヴェルのハウスを、家に持って帰った。

ヴェルは大興奮。バタバタと喜んで、いきなり、ハウスに入ってしまった。ハウスの中は、はずした入り口の扉を入れたまま。タオルもしいてない。

私は慌てた。ヴェルは中でふんばっている。「おいで」と言っても、知らんフリ。ヴェルを引っ張って、出そうとすると・・・

絶対、出ないぞ!」とばかりに、ガルルル・・・と唸って、歯をむいて怒った。

なんとか咬まれずに、ヴェルを出して、いそいでタオルをしいてあげた。
その夜、ヴェルは、一晩中ハウスで寝た。
次の日からは、またいつものヴェルに戻って、ハウスには見向きもしなくなった。
犬の気持ちはわからないね~。
久しぶりに自分のハウスを見つけて、懐かしかったのかな?「これは、ボクのものだよ~」と、所有権を主張したかったのかな?
10月5日 日向ぼっこの再開
急に涼しくなりはじめた頃から、日向ぼっこをはじめたヴェル。
真昼の太陽にカンカン照らされてのお散歩のあとも、それでも、やっぱり日向ぼっこ。
犬は、即、環境に順応する。
私なんか、何着ようか、毎日迷っているのになあ。
10月14日 ひたすら、手をかじる
ときどき、一生懸命に手をかじっているヴェル。

河川敷のお散歩で、手を怪我したのかな?
治療室の椅子からジャンプで飛び降りるので、それで親指を痛めたのかな?
それとも、爪が伸びてきて、痛いのかな?
切ってもらいに行かなくちゃなあ。
○ ○ 追記 ○ ○
追記・16 「お口、見せて」で薬を飲ませる
動物病院でステロイドと利尿剤と抗生物質の注射を受けたのは、そのとき1回きりである。
急性症状がみるみる緩和されたけど・・・

もうあんな思いはごめんである。いい状態を維持しながら、できるだけ長生きしてもらいたい。
それには、症状が悪化しないように気をつけるのが一番である。

酒屋のおじさんの見本もあったので、薬はつづけることにした。
エナカルドは心臓病の薬。心臓の周囲をスッキリさせる効果があり、利尿作用もあるらしい。毎日1錠ずつである。

ラシックスは有名な利尿剤。
はじめの1週間ぐらいは、朝晩1錠ずつ飲ませるように言われたけど、その後は、1日1錠になった。

途中で何度か薬を減らそうと試みたこともあったけど、なんとなく元気がなくなる気がした。
夏場は薬は必須だけど、乾燥している冬場なら・・・と思ったこともあった。
でも、冬場に薬を減らして体調が夏並みになったら、元気でいられる時期がなくなってしまう。
あと何年生きられるかわからないのだから、将来の副作用を恐れるより、今の元気を大事にしようと思った。

患者さんに聞いた話では、彼女の飼い犬、ウェスティのケビン君はお薬が嫌いで、飲ませるのが大変だったとのこと。餌の中からお薬だけを上手に取り除く技を身につけたんだって。

ラシックスは粉なので、食べ物にパラパラとかける。
エナカルドは、水色の錠剤が半分にカットされたものなので、食べ物の中に押し込むしかない。
ヴェルは食いしん坊なので、たいていは薬ごと飲み込んでくれた。
ホットケーキやチヂミなどの小麦粉系は、薬を中にくるみ込めるので、問題はなかった。

でも、ご飯系は難しかった。
鶏肉のなかに押し込んでも、ポロリと出てしまう。ヴェルもだんだん利口になって、出した薬を別の場所に移動させてしまうこともあった。
ふと気づくと、水色の薬が3つぐらいまとめて置いてあって、「え、飲んでなかったの!」と、ゾ~としたことも1度や2度じゃない。

直接、口に入れるのが一番確実である。
獣医さんが、「チアノーゼがあるかどうか、唇の裏側で見るんですよ」と言ったのを思い出した。
ヴェルが歯をむいて怒ったので、「男の子だから、おチンチンをむいて見るといいですよ」と教わったのだが、まだ恥じらう乙女心が残っているので、それには抵抗があった。

いざというとき唇の裏を見せてくれるように、習慣づけようと思った。
ヴェルに、「お口、見~せ~て~」と言うと、なぜか、大口を開けてくれる。
その瞬間に、唇の裏に、薬を塗りつけるのである。

餌のお皿にエナカルドを置いて、水に浸してしばらくおく。柔らかく崩れるぐらいになったら、ラシックスと一緒に人差し指ですくい取る。
「お口、見~せ~て~」と言って、ヴェルが思いっきり口を開けた瞬間に、唇の裏になすりつける。ヴェルは、ぺろぺろと薬を舐める。

これの欠点は、水のかけ具合が難しいことである。
かけ過ぎると溶けてしまうし、浸す時間が短いと、芯が残ってしまう。芯が残ると、ヴェルはペッと出してしまう。

晩年になると、だんだん人間の言うことを聞かなくなった。
お口を開けてくれなかったり、うっかりすると咬まれそうになる。食べ物に入れるしかなくなった。
最後の数日は、もう食べれなくなったので、すきを見て口になすりつけるしかなくなった。

「柿の葉茶」は2ヶ月ぐらいででやめてしまった。
水のお皿に入れてあげても、全部飲み干すわけじゃない。料理に入れてあげるのも限界がある。だんだん面倒になった。

でも、柿の葉茶の利尿作用はすごかったと思う。日に何回もおしっこに連れ出さないといけなかった。
薬に慣れたのか、理由はわからないけど、その後は、12時間に1回外に連れ出せば、家の中のトイレは使わないですむ日がほとんどだった。
<とりあえず、寝て、待つ>
updated: 2015/9/16
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