dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集)
症例9・アトピー性皮膚炎・2改
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症例9・アトピー性皮膚炎 2・改
アトピー治療で心がけること
子どものアトピーはよく動く
小5の女の子、Mちゃんが来院したのは、1995年1月でした。子どもの場合は、ほんとうにアトピーがよく動き、皮膚が生き物のように変化します。真っ赤に盛り上がっていても、治療をすると、みるみるアトピーが引いていき、真っ白ですべすべになっていきます。これは壮観です。
残念ながら、大人では、ここまで劇的に変化する患者さんはいませんでしたが。

Mちゃんのアトピーは、お灸をすると、すぐに白くなって痒みもなくなります。週2回の来院のほか、家でもお母さんにカマヤミニをしてもらいました。「お母さんを独占できる」という心理的な効果もありそうです。
Mちゃんは肩こりもひどく、小学生とは思えないほど、首も肩も背中もバリバリに凝っていました。
浅い鍼、糸状灸、カマヤミニの治療が中心でした。
ストレスとの関係
ストレスが高まると、アトピーが悪化します。
女優のSさんは、アトピーが治るまでの1年半の間は、オーディションや舞台が近づくと、皮膚が不安定になり、当日にアトピー全開ということもありました。
対人関係、過労、睡眠不足、緊張感などが原因です。

いったん治ったMちゃんも、6年生になって中学受験をすることになり、家庭教師について勉強をはじめました。その途端、またアトピーが復活しました。
治療してると調子がいい状態が続き、合格と同時に完治。そして、中3の秋にまたアトピーで来院しました。
高校にはそのまま進めるだろうに、進級が決定するまで週1くらい治療に来ていました。
勉強ができる子ほど、真面目に勉強するんだな、だからますますできるようになるんだな、ということですね。
冷えとの関係
科学的根拠があるわけではなく、臨床家としての実感ですが、リウマチとアトピーには共通項があります。熱を持って赤く腫れた部位をお灸で温めると、熱と腫れが引くという点です。
東洋医学でいう「陰極まれば陽となる」の理論です。このタイプの、発赤・発熱は、「冷え」が極まって、逆に熱を持っているのです。

鍼灸は、気の流れを促し、血流を良くします。身体に不具合があると、気のバランスが乱れます。熱をもつところと、冷えているところが混在します。
経絡治療で全身の気を整えたあと、局所の集中治療をして、「熱」と「冷え」のアンバランスを治療します。
Mちゃんのように、小児アトピーは、カマヤミニ程度の簡単なお灸で、すぐに効果が現れます。
家庭でも治療ができます。
根深い冷えには透熱灸で
2002年10月に来院したKさん(当時35歳、女性)は、顔面神経麻痺が治ったあとも、アトピーの治療をつづけていました。
Kさんも子どもの頃からのアトピーです。あちこちステロイドを使ったので、いまでも時々アトピーが出ます。
昔は、内出血やお灸の痕をおそれて、顔にはあまりハードな治療をしませんでした。患者さんは、体のアトピーが引いたあと、顔のアトピーに苦労する、ということがよくありました。
Kさんの顔も、汁が出て真っ赤に脹れあがり、痒くて痒くて、掻きむしってしまい、目が覚めたら血まみれだった、という事もよくあったそうです。
ついに、透熱灸を試してみることにしました。ホッペの上に灸点紙をしき、糸状灸から初めて、灰の積もり具合に応じてもぐさを大きくしていく、多壮灸です。
ツーンと深部まで、熱さを感じたら終わりなのですが、なんと、片方に1時間、両方で2時間もかかりました。その後、一気に快方に向かいました。
「石けん」は必須アイテム
もしも、合成洗剤を使っていたなら、まず、石けんに変えましょう。アトピー性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹など、皮膚の病気は、それだけで6割ぐらいに改善されます。
何ヶ月も、何年も同じ人を治療していると、「あ、合成洗剤を使ったでしょ!」と、すぐに気づくぐらい、合成洗剤は肌に悪いのです。
テレビで宣伝しているのはすべて、石油系の合成洗剤です。国が認可をし、みんながあたりまえに使っているものを、身の回りから排除するのは勇気がいることと思います。でも、原発の放射能のことを思い出してください。国って、それほど信用できる存在ではありません。
家族の理解が得られにくい場合もあります。自分が触れるものだけでも、自分で洗いましょう。
<詳しくは付録・1「石けんについて」参照>
合成洗剤で、一気に逆戻り
Mちゃんも2回、合成洗剤でアトピーが悪化したことがありました。
体全体の皮膚が赤くなっていたので、すぐにお母さんに電話をしました。「石けんが切れたので」とか、「実家に帰っていた」という理由でした。
肌が丈夫な人は、つい、「1回ぐらい平気だろう」と思いがちです。
Kさんも、かつて合成洗剤で洗っていた頃のパジャマを着て寝たら、翌朝、全身血まみれだったというハプニングがありました。
Kさんは今も、たまにアトピーがでると、自分で千年灸をやっています。
今では、そこまでひどい状態にはなりません。彼女のお母さんも、「昔は、娘と向かい合っておしゃべりしていると、いつもボリボリ、体のどこかしらを掻いていたのに、今ではそういうことがなくなった」と喜んでいました。
あまりに悪いと、逆に鈍感になる?
Sさんも、始めのうちは、合成洗剤を使っていました。
とても頭のいい女性ですし、アトピーに関して、ものすごく詳しく勉強していたので、「まさか!」とビックリしました。
「石けんを使っていても、悪いときは悪いし、合成洗剤でもいいときもあるので、違いがピンと来なかった」とSさんは言いました。

私は皮膚が敏感なので、悪いものは手に触れただけで分ります。私の家族や患者さんたちの話をして、Sさんを説得しました。
Sさんの場合、石けんに変えたとたんに良くなった、というような劇的な変化はありませんでした。でも、治ったあと、気が緩んで、合成シャンプーを使ったら、またアトピーが復活しました。
Sさんのように、状態が悪すぎると、逆に鈍感になってしまう、ということもあるようです。
健康な皮膚は、悪いものにすぐ反応する、ということも言えるようです。
Updated: 2011/8/5 <初版 2003/4/28>