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みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集) |
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症例21・骨粗しょう症 |
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症例21・骨粗しょう症 |
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鍼灸で痛みを取りながら動き続けること |
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寝たきりだった人が歩けるように |
病院でリハビリの仕事をしていたとき、骨粗しょう症で入院していた60代の女性がいました。
本人はあちこち痛くて苦しくて、いろいろな愁訴を訴えるのですが、全部調べてみても他にどこも悪いところはないのです。
原因不明で歩けなくなり、3年近くほとんど寝たきりで、付添いさんを頼んで入院していました。
そのHさんが、「お腹が張って、苦しくて苦しくて」と言うので、両方の内関・公孫( 奇経治療 )にカマヤミニでお灸をしてみました。
すると次の日、「先生、見て!手が上がるようになったのよ」と、車椅子に座ったまま手を上げて見せてくれました。
それからも休み時間にお灸をしてあげ、めきめきと元気になり、1ヶ月後には付添いさんを断って、杖をついて歩いてリハビリに来れるようになりました。
3ヵ月後にはめでたく退院し、普通の生活に復帰することができました。 |
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動くことが最大の治療法 |
骨粗しょう症になると、もろくなった骨を支えるために筋肉が過緊張して痛みが出ます。
Hさんは痛い痛いでずーっと寝ていたそうで、そのうち歩けなくなってしまったのです。
うつ病と思われて抗不安剤を処方されていました。お灸で治ったのは自律神経失調症、あるいはうつ病かもしれません。
気力が充実し、自力で動く努力をしたことがいい結果を生んだのだと思われます。
Hさんは、色白の顔に大きな目をしたかわいらしい女性でした。臆病で慎重な性格が災いして、用心が度を越し、大事を取って寝ている間にすっかり筋肉が落ちてしまったのです。
骨粗しよう症になっても、筋肉さえしっかりしてれば、筋肉が骨の分まで働いて、骨を支えてくれます。動くことが刺激になって骨量も増えます。
Hさんのようにとことん筋力が落ちてしまうと、動けるようになってからも、弱った筋肉で無理をするとまた痛みが出る、の繰り返しでしたが、がんばって動いているうちに何とか健康体を取り戻しました。。 |
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カルシウムは食事で摂取する |
閉経後の女性に起こる骨粗しょう症は、誰もがなる病気ではありません。DNAが関係しているという説があります。
人体がどういうシステムで栄養を吸収するのかはまだ完全には分かっていません。
競走馬にカルシウムの注射をしたら、過剰摂取のせいで、逆にカルシウムの排泄が進み、骨がぼろぼろになった例もあります。
入れたものは出さなければならないので、カルシウムでもビタミンでも、排泄のために腎臓を働かせすぎて障害が起こったりします。
人間は食物から栄養素を取り込むために、消化酵素を分泌したり、さまざまな複雑な手法を駆使しています。
手軽に栄養素を取り入れてしまうと、本来持っていた消化能力が低下します。
それを「廃要性萎縮」といいます。 |
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前向きな暮らしが予防と治療になる |
60代のときに90歳の骨と言われ、70代になって70歳の骨になった人がいます。小魚、パスチャライズ牛乳などカルシウムに気をつけた食事を心がけています。
しいたけには、エルゴステリンというビタミンD前駆物質があって、日光に当たるとそれがビタミンDに変わります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。
最近のしいたけは天日乾燥でないので、自分で日光に干してから食べるといいでしょう。
食べてから身体ごと日光に当たっても同じ効果だそうです。
筋肉にも「廃要性萎縮」は起こります。使わずにいるとどんどん落ちていきます。
食事に気をつけ、痛みは鍼灸で取りながら、とにかく動きつづけるのが肝心です。
動かないと骨粗しょう症は進みます。「少し無理め」のことをすると、その分が力になります。体力でも知力でも気力でも同じことが言えます。
でも、無理のし過ぎは禁物です。年を取ると、筋肉の付きが遅いので、逆に筋肉を痛めてしまうこともあるので、ご用心を。。 |
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Updated: 2003/7/22 |
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