doseiみづ鍼灸室 by 未津良子(ヴェルの思い出) 
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- 出会いから編  -
ヴェルの思い出
2011 ・ 1
1月6日 ヴェルのお正月
ヴェルは偉かったんだよ~。

大好きなあんずもいたのに、ずっと、ずっと、おばあちゃんのそばにいたんだよ。
みんなのまん中にいるのが好きなのに・・・

異常事態になったら、「ワン!」と吠えて知らせようと、待機していたのかな?
おばあちゃんはあまり犬が好きじゃないのに、それでもヴェルは、おばあちゃんを守ろうとしていた。
結局、何かが起こると、ヴェルが一番後回しになる。お散歩も減らされ、ごはんも忘れられたりする。

おばあちゃんが病院に帰って、ほっと一息。私は疲れ果ててダウン。
そして、やっと、ヴェルにもお正月が来た。

お風呂に入って、ピカピカにきれいになった。湯船に入っても、こわがって震えたりしなくなって、クークー気持ちよさそうだったよ。
1月16日 寒いよ~~
寒くても、お散歩は大好き。そういう日は、スタスタと早足で歩いてくれるので、楽チンだ。
今日は日がささず、家の中は、チーンと冷えている。

お散歩のあと、いつもは居間で、お日さまに照らされて日向ぼっこをするのに・・・
ヴェルはちゃっかり、ダイニングのストーブの前に陣取っていたよ。
1月24日 カンガルーになった気分
バイクに乗るときは、ヴェルをバッグに入れて、前にぶら下げて走る。古いダウンジャケットが仕込んであるので、ヴェルはすっぽりもぐりこんで、あったかそうでしょ。

バッグが風除けになるので、私もついでにあったかい。下をのぞくとヴェルが見えて、心もホカホカ、あったかくなる。
なんだか、カンガルーのお母さんになったような気分だよ~。
2月1日 冬の野川
テニスでは、「よく走るね~」と褒められる。それだけがとりえの私である。
河川敷に降りると、車も自転車も来ないので、ヴェルのリードをはずして、走ることにした。
ヴェルはマイペースで、草むらに頭をつっこんで、ペロペロおしっこを舐めている。(困りものだ・・・)

行ったり来たり、何往復も、人間だけが走る羽目になる。
2月9日 日向探し
お散歩のあとは、日向ぼっこが日課のヴェル。気持ちよさそうに寝入っている。
「ヴェル、ご飯は?」と呼んでも、来ない日も多い。
でも、お日さまの光は、だんだんに移動していく。それにあわせて、ヴェルも、ちょっとずつ移動していく。
ム、ム、ム・・・なんか、寝心地が悪いぞ?

いつのまにか、ぬいぐるみの上に乗っかっていた。
2月16日 逃げ出しヴェル
リードをはずして、野川を散歩。ヴェルはけっこう素直。私のそばを、あまり離れず、ついてくるようになった。

でも、戻るのは嫌いらしい。
家に帰る方向に戻ろうとすると、ヴェルはいそいでUターン。スタスタと逃げ出しにかかる。そのときの早いこと、早いこと。
2月23日 おふとんに先回り
あれ?ヴェルがいない? どこ?? どこ???
ヴェルはおふとんで待ちくたびれてた。早く寝ようよ~と、態度でアピールしているのかな?
3月6日 おイモの盗み食い
私の治療に来てくれる人は、おイモが大好き。
いつも駅前の99ショップで焼き芋を買って、治療のあと、やはりイモ好きのヴェルとふたりで食べる。

治療中、「キャー!」と彼女の悲鳴。
「食べちゃったの??ヴェル???」

とても大きな焼き芋を、ほとんど全部食べちゃったんだって。
ヴェルの坐っているイスの上にカバンをのせ、その上にお芋を置いといたらしい。

袋の結び目を上手にほどいて、せっせとひとりで食べてしまった。
次の日のヴェルだよ。
巨大なお芋のせいで、おでぶヴェルになっちゃった。こんなにお腹がふくれちゃったよ。

巨大なウンチを2回もした。ちょっと柔らかめだった。だから、朝ごはんは抜きだよ。しょうがないよね~。
3月16日 ヴェルにお友達ができた
ずっと犬に無関心で、マイペースだったヴェル・・・。今年になって、はじめてお友達ができた。
前から、時々、会ってはいたんだ。「顔がそっくりだね~」と、お互いの犬をまじまじ。

リク君は、6歳のチワワの男の子。ヴェルより、ちょっと(ひとまわり弱?)大きい。若くて元気で、早い早い。よく走る。
最初は、リク君が積極的だった。

しつこく匂いを嗅がれて、ヴェルはビックリ、ちょっと引いてた。
でも、今ではすっかり慣れて、ヴェルは楽しそう。お互いのお腹の下に鼻をつっこみ、クンクン匂いをかいだり・・・

一匹が草むらに鼻をつっこむと、もう一匹も草むらに。一緒にぺろぺろおしっこを舐める。
ほら、ヴェルも、リク君のお尻の匂いをかいでいる。

行動パターンが同じなので、まるで兄弟のよう。すっかり仲良しになっちゃった。
また一緒にお散歩できるといいね~~
3月20日 坐りこみ
お米が買えなくて困っているという話を聞いて、お散歩の途中、友人の家に、お米を届けに行った。

うちは、たまたま直前に、玄米で20キロ、無農薬のお米を送ってもらったばかりだった。
先月、久しぶりに、また精米機を買ったのである。
友人は留守。(実は、米を買うためにスーパーで並んでたんだって)

ドアノブにお米をかけて、さあ、帰ろうと思ったら、あれ、紐に抵抗が・・・?
ヴェルがしっかりと坐りこんで、絶対動くまいぞとがんばっていた。

家に来たのは初めてだけど、たぶん、匂いでわかるんだろうな。
ほら、がんこでしょ。家に上がりこんで、遊んでもらおうと思ったみたいだよ。
治療室で、かわいがってもらっているからね~~
○ ○ 追記 ○ ○
追記・13 「犬が仲間」とやっと気づいた
友だちが、犬好き人間を批判する新聞記事を読んだそうだ。
「犬好きの人って、お散歩で会っても、犬しか見ないんだって。犬の名前は知ってるけど、飼い主の名前は知らない。それは問題だって」

たしかに、まず、犬を覚える。何回も会えば、だんだん飼い主を覚えるが、本人の名前じゃなく、「○○ちゃんのママ」である。
一緒にお散歩したりするようになった人もいるけど、それ以上のお付き合いにはならなかった。なんたって忙しいからね~

毎日お散歩に出るようになって、はじめの2年間ぐらいは、ヴェルは犬にまったく関心を持たなかった。

うちは野川が一番近いが・・・
遠くからわざわざ野川まで散歩に来る人は、みなさん、すこぶる付きの犬好きである。

お散歩で犬連れの人に出会う。
立ち止まって、互いの犬をまじまじと見る。

ヴェルは小さくて可愛いので、みなさん、にっこりと笑って、「かわいいですね~」と言ってくれる。
ヴェルは喜んで、そっちへ歩いていく。犬は無視して、リードを持っている人間のほうに近づいて行く。パタパタとシッポを振り、靴の匂いを嗅ぎ、頭を撫でてもらって、嬉しそうにしていた。

犬には目もとめない。そこに犬がいたことさえ気づいていないふうだった。
自分を人間と思っていたのかもしれない。

ところが、2年ぐらいたったころ、突然、飼い主ではなく、犬のほうを注目するようになった。

お散歩で出会って、お互いに立ち止まる。
犬のほうに近寄っていき、鼻と鼻をつきあわせて、なにやら挨拶している。
もっと仲良しになると、お互いの匂いを嗅ぎあう。

ヴェルは静かなので、「この子、怖がりで、他の犬はダメなんですよ~」というような、おとなしい犬に好かれた。

犬同士で、お互いに年齢がわかったみたい。
元気がよくて、やんちゃんな犬に、なつかれまくる。ヴェルは鷹揚にかまえて、やりたいようにやらせてあげた。
「何歳ですか?」と聞くと、相手の犬は0歳とか1歳の子どもの犬。たいていヴェルよりずっと大きいんだけどね。
ちょっと迷惑そうにも見えたけど、『赤ちゃんだから、しょうがない』とか思っていたんだろうね。大人だね~

河川敷では、ほとんどの人がリードをはずし、犬を放して歩かせる。何回も会っているうちに、おしゃべりするようになる。

「マイ・ペースと言えば、ヴェルちゃんね」とみんなに言われるぐらい、ヴェルのマイ・ペースぶりは有名だった。

えんえんと草の匂いを嗅ぐ、もしくは、草をぺろぺろ舐めつづける。
他の犬が寄ってくると、チラっと顔を上げ、一言挨拶してから、すぐにまた草の中に顔をうずめる。一心不乱に、草を舐める。

暴れん坊の犬や、何をしでかすかわからない犬の飼い主は、ヴェルの近くに来ると、自分の犬にリードをつける。
ヴェルのリードははずしたまま。他の犬に跳びかかるというような心配は、まったくなかったから。保育園児の集団が来ても、先生も子どもも、ヴェルの存在にすぐ慣れてくれた。

そのうち、一緒にお散歩する仲間ができた。
犬たちと連れ立って、河川敷を歩く。他の犬たちの足取りにあわせて、一生懸命歩いた。

ヴェルは外では、「走る」ということがなかった。家の中では走るのだけど、外では走らない。
短い足で、スタスタ、スタスタ、すごい回転の早足だったんだよ。

外に慣れていなかったからなのかもしれないね。お散歩デビューが7歳だから、でこぼこの地面、石ころ、草、太陽、風、鳥、他の犬や人間たちなど、外界の大量の刺激にかく乱されちゃったのかもしれない。

すでに心臓が悪くて、長い距離を走ることができないことを、自分でわかっていたのかもしれないけど。

Uターンが嫌いで、えんえんと外にいつづけようとしたヴェル。
抱っこでUターンして、しばらく歩いてから地面に下ろす。いつも、強制的に方向転換をしていた。
でも、そのうち、みんながUターンすると、一緒に引き返すようになった。仲間と連れ立って歩く楽しさを知ったからなんだね。
群れをつくって集団行動をする、犬の本能が目覚めたのかもしれない。

犬のお友だちができたあとは、誰もいない日はほんとうに淋しそうにしていた。草むらの中からときどき顔を上げて、あたりを見回してた。
やっと、「自分が犬」って気がついたヴェルであった。

何と言っても、一番仲良しだったのは、チワワのリクちゃんだ。姿かたちも似ていたけど、行動パターンがそっくりだった。

どこかの本に、「多頭飼いの場合、チワワはチワワ同士でしかうまく行かない」と書いてあったけど、そういうこともあるかもしれない。
たしかにチワワは独特で、ほかの犬種とは違う世界を持っていた。

リクちゃんは、遠くからでもヴェルを見つけ、ものすごい勢いで走ってきた。
ヴェルは、リクちゃんが近くに来るまで気がつかない。すぐそばまで来てから、『あっ』と驚き、パタパタ尻尾を振って喜ぶ。

他の犬は、たとえば、遊歩道から河川敷の犬を見つけ、喜んだり、吠えたりする。でもヴェルは、遠目では犬を見つけられなかった。
抱っこして、フェンスの上から、「ほら、リクちゃんだよ」と言っても、気づかなかいで、あっちこっちの景色をキョロキョロ見ていた。
目が悪いというより、たぶん、「鈍」だったんだと思う。

みんなと連れ立って歩けたのは、1・2年ぐらいかな・・・
心臓が悪くなってからは、みんなのペースについて行けなくなった。

冬場はそれでもみんなと元気に歩けたんだけど、春になって湿度が上がると、他の犬たちを見送るしかなくなった。
冬は空気が乾燥しているので、肺に水がたまりにくく、呼吸がしやすい。夏を乗り越えれば、次の夏まではけっこう元気でいられた。

最後の冬、「河川敷は危険」という噂が流れた。
河川敷には、ねずみが媒介する病原菌(レプトスピラ)がいる可能性が高い。感染すると腎機能障害を起こす。
犬だけじゃなく人間にもうつり、死にいたる場合もあるということで、河川敷を歩く犬がほとんどいなくなった。

ひとりぼっちでも、河川敷を歩きつづけた。
そんな確率の低い病原菌のために、絶好のお散歩コースをあきらめる気にはなれなかった。家から近いし、リードをはずして、ヴェルも自由にぷらぷらできる。(私もストレッチができる)

せっかく犬と仲良しになったのに、ヴェルはポツンと淋しそうだった。
たまに会うのはシェルティのメルちゃんぐらいで、そのときはほんとうに嬉しそうに匂いを嗅ぎあった。はるか遠くに歩いていくメルちゃんのあとを、トコトコ追いかけようとしたこともあった。

リスクと、クオリティ・オブ・ライフのバランスを、どう取るかの選択は人それぞれである。

心臓病が見つかったあと、獣医さんに、「お散歩はやめたほうがいいですよ。外に出してはいけません」と言われたのだけど、それでもヴェルのお散歩をつづけた私。
ずっと家に閉じこもって長生きするより、自由に外の空気を吸って生きたほうがいいと思ったからである。

運良く、感染症にもかからずに、心臓病も持ちこたえて、結局、ヴェルは、14歳半で老衰で亡くなった。

最後まで、楽しい毎日を送らせてあげて、ほんとうによかったと思う。
<たいてい、この程度の愛想である>
updated: 2015/4/18
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