2006/12/20 |
 ヴェルが来た(日記から) |
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犬を預かった。二人目の赤ちゃんが生まれ、とうとう、手が回らなくなったって。名前はヴェル。7歳の男の子だよ。
前にも何度か預かったことがあるので、もう顔見知りだ。
以前は、天真爛漫で素直な甘えん坊だったのに、性格が変わってしまった。檻に入れておいても、「出して出して」と騒がなくなった。尻尾もだらりと下がってる。態度もなんかおどおどした感じ。
たぶん、上のお兄ちゃん(2歳3ヶ月の優河君)が、けっこうなわからんちんで、檻の中におもちゃを投げるし、犬の毛をグッと握ってごっそりむしってしまうしで、そうとう手荒い扱いをうけてたみたいだった。
親は、子どもに夢中だし。王子様の座を追われ、部屋の隅っこに忘れられてた。
妹の珠菜ちゃんが生まれ、お兄ちゃんになった優河君もまた、王子様の座から転落。
それで、ヴェルへの八つ当たりが激しくなったのかあしれない。 |
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ところで、うちにはエアコンというものがない。
お湯も沸かせる、料理も作れる、あの便利な昔ながらの石油ストーブだけで暖房をしている。
だから、人間がいないときには、暖房もなくなってしまう。
チワワは、暖かい地方(メキシコ)の出。クシャンクシャンとくしゃみはするし、ブルブル震えるし、ストーブ2台がフル活動だ。
夜寝ている時間と、誰もいない時間には湯たんぽを檻の中に入れてあげた。
洋服着せようかと思ったけど、でも、犬用のホットマットってのがあるんだよね!
誰かが家の中を歩きまわると、そのあとをずっとついてまわる。
ご飯を食べていると、足元にやってきて、尻尾を振って、きらきらと期待のまなざしでじっと見つめる。
テレビやパソコンの前に座ると、座布団やタオルケットの山を乗り越え、すり寄ってきて丸くなる。
撫でてあげるついでに、あんまなんかしてあげたくなる。
犬のために急いで帰り、犬のために(大嫌いな)掃除をしと、生活のすべてが、犬、犬、犬・・・。犬を中心に回る。
世話してあげないと何もできないから、自然な気持ちで面倒を見たくなる。
ものが言えない、という点がまたかわいいのかも。
人間と違って、ヴェルは、文句など一切言わず、憎まれ口も叩かず、ただただ、大きな目で心を伝え、一心になついてきて、それだけで幸せそうなんだもの。
・・・ヤバイ! ヴェルに気をとられて、携帯を家に忘れてきた・・・ |
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2007/5/26 |
最初のタイトルの写真 |
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この写真は、ずっとタイトルにつかっていたものである。
チワワのヴェルは、現在、7歳半の男の子。
半年前、うちにやってきてすぐの頃、お菓子の袋を、ガサガサっとあける音に反応し、立ち上がって、とことこ歩いてきた。
大きなつぶらな瞳をキラキラさせて、興味津々である。
「キャー、かわいい!」と、急いで、カメラを取りに行った。
でも、なかなかうまくシャッターチャンスをとらえられず、何度もやり直し。 |
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ヴェルは、何度もガサガサやられているうちに、食べ物をくれるわけではないことに気がついてしまった。
「どうせ、なんにもくれないんだろうな・・・」と、やる気なさそうに、右に左に、お菓子の袋を目で追っていたときの顔である。 |
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6月3日 |
くしゃみと洋服 |
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待合室の椅子の上で、丸くなって寝ているヴェル。最近では、見慣れた風景だ。
あれ?あれ?背中の模様が違う???
実は、今日は、洋服を着ているのである。 |
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この間、夜、雨がやんだので、夜中にちょっとだけ外に連れ出した。けっこう寒い日だった。地面はまだ濡れていて、足だけでなくお腹のあたりまで汚れてしまった。
そのままお風呂場に入れて、シャワーをしたのだけど、どうやら、乾かし方が足りなかったらしい。
次の朝、クシャン、クシャンと、くしゃみの連発。息するのと、くしゃみをするのと、どっちが頻繁か分からないぐらいだった。
犬って、言葉もしゃべれないし、全身毛に覆われていて、顔色もわからない。
真冬でも、洋服なしで夜中の散歩をしたというのに・・・・ちょっと過保護かなあ・・・
下は、服の拡大図。 |
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みんなに「似合うね」とか「かわいいね」とか、ほめられた。犬にとっては、どうでもいいことだろうけど。
小さな生き物がいると、本当に心配になる。
「寒さにあうとくしゃみが出たりする。この段階はまだ感冒である。
そこにウィルスがやってきて、風邪をひくのである」というのを、昔、読んだことがある。
洋服を着せて、暖かい日向をちょっとお散歩して、そのあとは、暖かくしてあげた。他の犬とは接触しないように気をつけた。
くしゃみの回数は激減し、今はすっかり元気である。
あとは、どのタイミングで洋服を脱がすかが、問題だ。 |
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6月6日 |
 チワワの性格(怖いもの知らず) |
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うちの患者さんが、テレビで見たそうだ。
ライオンの糞を置いておくと、他の犬は、匂いを嗅いだだけでブルブル震えて、決して近寄らない。それなのにチワワは、平気で近寄っていって、ライオンの糞の上に糞をしちゃったりすんだって!
チワワは、自分の小ささを、全く意識してないという。
怖いもの知らずなのだ。
「小さいからといって、わがまま放題させると、『小さな野獣』になってしまいます」と、本にも書いてあった。
ヴェルは優しい犬だけど、本気で怒ると、ガルルル・・・と唸り、たてがみを振りたてて、ワンワン吠える。
その姿は、まさにミニライオンだ。惚れてしまう。
分厚い手袋をして、ひょいと持ち上げれば、それで終わりなんだけど、本人はそんなこと思ってもいない。 |
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<お風呂上り> |
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テレビの話をしてくれた女性(タイプ8のReikoさん)と、「うちらの生き方って、まるでチワワだね~」と、笑ってしまったのだけど。
怖いもの知らずで、権威にたてつく。まったく性懲りもないのだから・・・ |
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6月11日 |
お散歩用の雨ガッパ |
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この、怪しげな姿は、雨ガッパを着たヴェルである。
やっとカッパを買いに行き、さっそく着せてみた。おとなしく着てくれたのはいいけど、着せたとたんに固まってしまった。
尻尾をだらりと下げ、目はキョトキョトと落ち着かない。
金縛りにあったみたいだ。 |
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ヴェルは、体重が4キロぐらい。チワワにしては大きい方。初めて買った洋服は、チワワサイズで買ったら、小さすぎて大失敗だった。
今回はちゃんとサイズを測った。
ピッタリすぎて、圧迫感がある?足首まで覆われたから?それとも、どっちにしろ、犬は服を着るのが好きじゃない?
半年前にヴェルを預かってから、雨がほとんど降らなかった。
たまに降っても、午後だけとか、夜だけとかだったので、「毎日お散歩」があたり前になってしまった。
これから、梅雨が始まったら、どうしてもカッパが必要だ。
「チワワにはお散歩は必要ない」と言っている人もいる。体が小さいので、家の中で運動会ができる。
「雨の日はお散歩なし」にするつもりだったのだけど、でも、キラキラ光る大きな目で、お散歩を期待するヴェルを見ると、どうしても連れて行きたくなってしまう。
幸せそうなヴェルを見るのが、私の癒しになるのである。 |
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6月19日 |
人なつっこいヴェル |
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ぎっくり腰で臨時休業のあと、1週間ぶりに出勤した。
久しぶりにヴェルを抱き上げてみたけど、やっぱりちょっと腰にくる。無理は禁物と思い、犬は家においていくことにした。
「今日はヴェルはお留守番だよ~。バイバイ!」と言ったら、「連れてってくれるんでしょ?」と言いたげにパタパタ振っていた尻尾を、パタリと落として、しょんぼり。
この写真は、先々週、患者さんが撮ってくれたものである。 |
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Kさんの膝の上に乗っているところを、Hさんがパチリ。犬好きの女性に囲まれ、みんなにかわいがられて、ヴェルはるんるんである。
人なつっこいんだよね。
ヴェルはいつも舌を出してる。会う人会う人に「なんでベロを出しているの?」と聞かれるのだけど、理由はわからない。
ときどき冗談に、「ベロ、ベルが出てるよ!」などと言ってしまうが、もちろん、犬には通じない。 |
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6月27日 |
トリミングに初挑戦 |
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チワワはメキシコの生まれ。寒さに弱いのだから、暑さには強いのかな?
でも、毛皮におおわれているのだし、暖かくなるにつれ、抜け毛もひどい。ヴェルも、フローリングの上とか、畳の上とか、涼しげな場所を選んでいるような気もする。
「これ以上、毛は伸びないよ」と言われていたけど、見ている人間も暑苦しい。
カットバサミとスキバサミを取り出して、ヴェルを新聞紙の上に立たせて、チョキチョキと、初めてのトリミングに挑戦した。 |
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写真ではよく分からないかもしれないけれど、耳の周りの飾り毛はほとんど切らなかったので、コントラストが出て、ますますかわいくなったでしょ?
大学1年の頃、トリマー(犬の美容師)になりたくて、「大学やめて、トリマーになる」と言って、父親に驚かれ、猛反対された・・・
な~んてこともあったなあ・・・(^ ^)~ |
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7月4日 |
小雨の中での初カッパ |
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今日は、初めて、カッパを着てお散歩に出た。
いつもなら、喜び勇んで外に出るのに、固まったまま動こうとしない。
抱っこして、道の真ん中に連れ出した。 |
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ちょっとの時間なら、傘なしでも大丈夫なくらいの小雨だったけど、なんといっても、チワワは小さい。
濡れた地面を歩くと、お腹の毛まで泥が跳ねたりする。植え込みの中にもぐりこんで、背中まで濡れてしまうこともある。 |
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はじめのうちは、シッポをお腹の下に巻き込んでいたけど、しばらくしたら慣れたみたい。
いつものように、シッポをピンと立て、クンクン・・・、探索が始まった。
「もう帰るよ」と声をかけたら、思い切りふんばって、反対方向に行こうとする・・・
嫌がる犬を無理やり引っぱって歩いたら、まるで、ぬいぐるみを引きずってるみたい。
ちょっと恥ずかしかった。 |
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7月16日 |
人間の言葉、どこまでわかる? |
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犬とのお散歩、といっても、何パターンかあると思う。
時間がなくて、排泄のために、ちょっとだけ外に連れ出すときもある。そのときは、そのへんを好きなように嗅ぎまわってOKである。
たっぷりの時間があって、運動のために歩きまわりたいときや、買い物などにつきあってもらうときなんかは、寄り道しないで歩いて欲しい。
あれこれ試してみた。
スタスタ歩いて欲しいときは、「ヴェル、スタスタだよ」と声をかけ、リードを小刻みに揺らし、「ヴェルは、スタスタ歩いていい子だね」「スタスタでいい子だね」と誉めつづける。 |
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<大好きなあんずに抱かれ、
幸せいっぱいのヴェル> |
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ちょっとはマシになったようだけど、思うように行くときもあるし、行かないときもある。
急ぐときには、抵抗する犬を、無理やり引っ張り、「ぬいぐるみ引きずり状態」になったりする。
ところが・・・
この間、夜遅くなって雨がやんだので、ヴェルを連れ出し、ぐるりと一回りしようとしたときのこと。
ヴェルは、他の犬のおしっこの匂いを嗅ぎまわり、全然前に進んでくれない。
そのとき、向こうの方から、2組、お散歩の犬がやってきた。2匹とも、飼い主の横を、一生懸命歩いている。
「ヴェル、見てごらん。他の犬はみんな、ちゃんとスタスタ歩いているのに、なんでヴェルはスタスタできないんだろうね・・・」と、ため息まじりにヴェルに言った。
すると、そのとたん、ヴェルがいきなりスタスタと歩き始めた。次の日も、その次の日も、ヴェルは、素直にスタスタ歩きつづける!!!
あんな複雑な表現を、ヴェルは理解しているのだろうか?とても頭のいい犬であることはたしかなのだけど・・・ |
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7月18日 |
スタスタ歩き |
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ヴェルのスタスタ歩きをお目にかけようと思ったが、シャッターチャンスが難しい。
いきなり立ち止まっておしっこかけた。 |
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これはマーキング。雄犬の習性らしい。
あちこちに匂いをつけて、自分の縄張りだと主張しているのだという。 |
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実は、ヴェル、外に出すと、歩く姿がしょぼいんだよね。
もっと、ぴんと胸を張って歩いてくれればいいのに。尻尾はちゃんと立てているんだけど・・・
なんだか猫背の前かがみで、ムササビが地面を歩いてるみたいで、カッコ悪いよ~。 |
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7月27日 |
トリミング、アゲイン |
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先週、またまた、トリミングしたよ。
プロがちゃんとした鋏でカットしたのに比べると、ちょっと見劣りがするけれど、でも、かわいくなったでしょ。評判いいよ。
ブラッシングするときの抜け毛の量が半減したし。 |
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このところ気になるのは、昼間のお散歩で、ぜんぜんう○こをしなくなったこと。
「スタスタ」と言って、急がせるからなのかなあ・・・
今日も、1時間以上、お散歩したけど、どうしてもう○こをしようとしない。
仕方ないから、夜遅く、息子に頼んで、お散歩に行ってもらった。
夜中のお散歩でしちゃうから、昼間しないのか、それとも、しない方が、たくさんお散歩してもらえると思っているからなのかなあ・・・ |
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○ ○ 追記 ○ ○  |
追記・1 |
ヴェルの居場所 |
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ヴェルの写真や、かわいかったエピソードを見たくてて、ときどき「ヴェルの部屋」をのぞく。
そうすると、まず、Last page のヴェルの亡くなった日を思い出すことになる。それはあまりにも悲しすぎる・・・
なので、ヴェルとの出会いからはじまるバージョンを作ろうと思い立った。そして、すっかりハマってしまった。
ページごとにテーマを変えて、ヴェルとの暮らしを追記していこうと思う。書かなかった、あるいは、書けなかったエピソードを綴って。
元の飼い主の家では、ヴェルはずっとゲージ暮らしだった。
小さなゲージの中に、バスタオルを半分にたたんだスペースと、隣にはトイレ。ご飯を食べるのも、寝るのもハウス。
飼い主が気が向いたときに外に出し、飽きたら、また「ハウス」である。
お散歩はなしで、ずっと家の中で育った。
しばらく預かるだけの予定だったので、実家とあまりに違う環境におくのはマズイと思って、はじめは遠慮していた。
だけど、狭いリビングルームにゲージを置くと、人間が横になって歩かなくてはならなくなる。
しかも、常にトイレをおしっこで濡らす習性があったので、匂いがたまらない。家族はゲージの横で食事をするのだもの。
数週間でゲージを片付け、家の中を自由に移動できるようにした。
実際には、ほとんどゲージには入れてなかったんだけどね。
お散歩も毎日、日に何回も連れ出した。
犬には野生の本能がある。外に出れば、必ずおしっこをする。
犬は清潔好きなので、トイレは、寝床からできるだけ遠いところでするようになるはず。そうすれば、強烈な匂いから解放されると思った。
犬は、自然のままに、できるだけ自由にのびのびと・・・
それが、基本的に私のポリシーで、子どもたちもそう育ててきた。
というわけで、7歳までの暮らしと、7歳からの暮らしは、まったくの別世界になってしまったのである。 |
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治療室に連れて来はじめた頃。
ヴェルの居場所をどこにするか、あれこれ試行錯誤。キャリーハウスを持ち込んだりもした。 |
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updated: 2014/9/30 |
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