doseiみづ鍼灸室 by 未津良子(ヴェルの思い出) 
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- 出会いから編  -
ヴェルの思い出
2008 ・ 3
10月9日 犬ごはん④ 肉つきの骨
犬には、鶏の骨は食べさせられない。
縦に裂けて、内臓に刺さる可能性があるからだそうだ。

昔飼っていた雑種の犬(トッピー)には、鶏の骨をガンガンあげてた。医者いらずで、16歳まで、長生きしたんだけどなあ。。。

運がよかったのかもしれない。
骨をもらったときのトッピーの喜びようは大変なものだった。
庭の隅に埋めて、掘り出してはかじり、また埋めて、また掘り出してかじりと、ずいぶん長々と大切にしていた。

人間が骨付きの鶏肉を食べるときには、ヴェルには、鶏の関節や軟骨のところ、ときには骨も、料理バサミで細かく切ってあげたりしてる。
たまには、ヴェルにも骨を抱える幸せを、味あわせてあげたい。

5センチくらいの長さの、あまり脂肪のついてない豚のスペアリブを探した。
グラグラに煮立ったお湯に入れ、色が変わったら取り出して洗い、次に水から入れて、じっくりと煮込む。ぶつ切りの人参や、丸のままのジャガイモなども入れたりする。

煮込む時間が少ないと、骨が硬すぎて、チワワには食べきれない。煮込みすぎると、柔らかすぎて、あっという間に食べ終わってしまう。

煮具合がむずかしいけど、ヴェルは大喜び。骨を口にくわえたときに手を伸ばすと、ガルルルル・・・と、うなる。
「骨あげたの、私なんだけど~」「そんなもの、欲しくないよ~」などと言ってみる。必死で骨を守ろうとする姿が、またかわいい。

やっぱ、犬には骨が似合うよね。
10月19日 トイレ・トラブルは解決か?
ヴェルがトイレに使用していたのは、元あんずの部屋にある、カーテン(とテレビ)だった。とりあえず、そこに入れないようにして、様子を見た。

1週間くらいしたら、自分のトイレを使うようになった。見かけたときは、「いい子だね」と褒めた。これで、大丈夫?

でも、安心したのもつかの間で、うっかり戸を開けたままにしておいたら、また、カーテンとテレビにおしっこをしてしまった!

怒るのは無駄である。犬は自分の本能に従って、正しいことをしているのだから。叱ったところで、人間の気持ちは理解できない。
「おしっこをすると叱られる」と勘違いして、隠れてするようになってしまったら、事態はますます悪化する。

犬の立場に立って考えてみた。
元あんずの部屋は、ふだん寝起きしている部屋から一番遠いところにある。おまけに、ベランダに面している。
ヴェルにとっては、ベランダは「外」だ。清潔好きの犬にとっては、そこが自分の居場所から一番遠い場所になるのだろう。だから、そこで排泄をする。

その部屋でくつろいだり、ごはんを食べたり、お昼寝をしたりすれば、そこは自分の居間になる。
そうなれば、そこで排泄するのを避けるようになるはずだ。

トイレ・トラブルの頃は、ブルーシートを敷いたまま、網戸の補修をしていた。雰囲気はまさに工事現場。網戸は「外」の匂いがする。
部屋をきれいにして、ヴェルがいつもくるまっているタオルケットをテレビの横に置いた。
そこで一緒に遊んだり、テレビを見たりして過ごすのを、何日間かやってみた。
そして、大成功。ごはんを作っている間、暖かい日差しを浴びて、日向ぼっこをしていたよ。

そこは、冬の間、ヴェルがいつも日向ぼっこをしている部屋だったんだよね~~
10月31日 行方不明になったヴェル
ヴェルとお散歩にでた。
さきに自治会費を払おうと思い、抱っこして階段をおりて、リードをつける前に、とりあえず走った。階段をかけのぼり、ドアポストに封筒をいれた。
その間、ほんの15秒くらいだったと思う。外に出ると・・・

ヴェルがいない!

さっき、こっちに向かってスタスタ走っていたのを見たはずなのに、まるでかき消されたようだ???
車の下や、植え込みの間や、ゴミ捨て場や、公園ものぞいてみた。でも、どこにもいない。真っ白だから、けっこう目立つのに。

ヴェルの足では、そう遠くへは行けないはず。
団地の裏へまわって、ヴェルの大好きな、野川のサイクリング道路に出てみた。自転車に轢かれる心配がある。やっぱりいない。

表にもどって、今度は、道路のほうを見に行った。車に轢かれるほうがもっと心配だ。ヴェルは、車や自転車をよけようという気が一切ないのだ。

その辺を歩いていた近所の人や、新聞屋のおじさんに、無駄と思いながら声をかけた。頭の中には、前に見た迷い犬のパピヨンの貼り紙が浮かんだ。

私もポスターを作らなきゃならないのだろうか?
あの犬は見つかったのだろうか?

ありふれた日常の景色なのに、すべてが一瞬にして、違うものになってしまった。
そういう映画、あったなあ。一緒にいたはずの恋人や子どもが、ふいに消えてしまう。パニックになって探し回る・・・。

怖がりだから、ひとりで遠くへ行くなんて考えられない。
誘拐されたのだろうか?人なつっこいから、ひょいと抱き上げられれば、ワンとも騒がず、連れて行かれてしまう。

また野川に戻ったら、いつものように花壇に鼻を突っ込んで、くんくんやっているヴェルを見つけた!

よかったあ~~~
ヴェルは、私が抱きあげて「心配したんだよ~」と話しかけても、涼しい顔。自分が迷子になったことに、気づいてないんだろうな。

その間、5分ぐらいだと思うけど、走って走って走りまくった。ああ、テニスをしていてよかった。

ゴミを捨てのついでにおしっこさせるとき、「ゴミ捨てだよ~」と言うと、ちゃんと後をついてくるので、油断したんだよね。

お散歩つづけているうちに、ヴェルもだんだん度胸がついてる。
ヴェルは、毎日変化しているんだよね。あ~あ、怖かった。
11月7日 ペア・ヘア・スタイル
はじめて来た患者さんが、ヴェルの黒い飾り毛をなでながら、「パーマかけてるみたいだね~」と言った。

「ヴェルって、白い毛はストレートで、黒い毛はカールがかかっているんだよ」と、自慢した。 ???

犬のことは、なんでも自慢してしまうのが、飼い主というものである。
「ヴェルの毛は、私が切っているんだよ!」と、ついでに自慢した。

ついでのついでに、「自分の髪も、自分で切ったんだよ」と、またまた自慢した。
(美容院に行っても、どうも、思い通りの髪型にならないので、ついに自分でカットしてみたのだ。これが、なかなか評判がいい!)

「あら、それで髪形が似ているのね」と言われた。気がついたら、私とヴェルは、ペア・ルックならぬ、ペア・ヘア・スタイルだったのだ。

写真のヴェルは、お疲れ犬。車を借りにきたあんずに拉致されて、2日もつづけて買い物に連れまわされた。
次の日、カーペットの上でへたってたよ。
11月15日 獣の本能
治療が終わったあと、お茶を飲みながら、Reikoさんとおしゃべりしていた。Reikoさんには、はじめて会ったときから、異様ななつきぶりだったヴェル。
ときどき、お散歩にも連れて行ってもらっているし。ヴェルが彼女に発情して、うるさくてしょうがない。

子供だましならぬ、「犬黙らし」にガムをあげた。
ササミが巻いてあるやつだ。
右の前足で端っこを押さえて、ガムを立てて、一心不乱にかじる。
上手でしょ!
ヴェルはガツガツ食らいつく。ガツガツ、ガツガツ、ガツガツ・・・
小さなチワワの歯と顎では、ガムを噛み切るのは容易ではない。

今までは、ササミをかじり取るだけで精一杯だったのに、今日は別人(犬)だ。ガムの大半を食べてしまった。
Reikoさんが帰ったので、隣のイスに移そうと、ヴェルを持ち上げたら、ガルルル・・・と唸った。

私の手の中で、ヴェルの体がビブラート。
それがかわいいので、また持ち上げたら、またガルルル・・・!

獣の本能、発動だなあ。
11月21日 階段くだり、できるかな?
ヴェルは、階段を上るのは得意である。

家に帰るときは、たいてい、大荷物を持っている。1年半前、私がぎっくり腰になったとき、ためしに自力で登らせてみた。ヴェルは、えんや、うんや、と上手に階段を駆け上っていった。

それ以来、ヴェルは毎日3階まで、階段のぼりをしていたのである。チワワにはめずらしい、ヴェルのたくましい体は、そのおかげかもしれない。

うちの団地の階段は、けっこう段差が高い。登ることはできても、降りるのは怖いらしい。
お天気のいい日は、家に帰りたがらず、野川に逃げ出すのだが、階段の途中にあげてしまえば、降りられないから、上るしかない。

だけど、先週、いきなり、階段を下りて、野川に逃げ出した。それ以来、3階から1階まで、自力で下りれるようになったのである。
えいっと両手を下の段につき、それから腕立て伏せのように踏んばって、体全体を下の段に移動する。

小さなチワワにとっては、たいへんなことだ。
その報告をしようと思っていたのに、今日は、途中で立ちすくんでしまった。
ジーッと下をのぞきこんでから、座り込んでしまい、のんきに大あくびなんかしてる。

急いでいるのは私だけ・・・。

仕方がないから、抱っこして降りた。 (^-^;
11月29日 お留守番
2泊3日のテニス合宿の間、ヴェルはお留守番だった。
いつもは、ほとんど離れることなく、私がずっと連れ歩いているんだけど・・・

当日は、ヴェルを家に置いて、一人で仕事場に行き、そのまま電車で熱海へ出かける予定だった。
私がバタバタ支度をしていると、ヴェルが足元のあたりにすわっていた。
まぶたが半分下がったような、妙な目つきだ。
置いていかれるときって、わかるみたいだ。目をあわせようとしないし、しょんぼりとしょぼくれている。
「連れてけ!」とか、要求しないので、ますます不憫になる。

いつもと違って、朝早いので、お散歩もなしだ。
ポプラが帰ってくるまで、一日中家に閉じ込められっぱなしかと思うと、超かわいそ~になった。

ちょうど一人キャンセルになったので、結局、治療室に連れて行った。こんな目をされたら、やっぱり、ヴェル中心になっちゃうよな。
仕事が終わってから、ちょこっとだけお散歩して、それから電車に乗って出かけた。 
12月6日 淋しかったよ~~
テニス合宿から帰った日。
ヴェルは、尻尾をパタパタ、パタパタ、おもいっきり振りまわし、転げまわって喜んで、大歓迎してくれた。そんなに感激してもらったのは、はじめてだ。

私がテレビの前に坐ると、さっそくヴェルがおなかの上にとび乗った。なにげにヴェルを撫でていると、遠くから、不思議な音が聞こえてきた。

なんの音だろう???
クウ~ン、キュウ~ン、ヒュルヒュルー、キュルル~ン、クイイ~ン・・・

耳を澄ますと、発信源はヴェルだった。
まるで、リュ-トのアンサンブルのようだ。といっても、リュ-トの音なんて聞いたことがないんだけど、想像で。
「淋しかったんだよ~」を、いろんな言い方で訴えているのかな?

そのうち、お腹もグルグルギュー、グルグルギューとすごい音を立てはじめた。

「ヴェルに、ごはん食べさせたの?」とポプラに聞くと、「今日は食わしてない。犬は1日1回でいいんだろ」との返事。

「えーっ、小型犬は1日2回だよ!」と言うと、「昨日は2回食べさせた」と言う。たぶん、朝、時間がなかったんだろうな。

かわいそうに、ヴェルは、ひとりぼっちでお腹もぺこぺこ。
夜は、30分ぐらい泣いてたらしい。あきらめて、私のお布団で寝ながら、帰りを待っていたんだろうな。

どうりで、いろんなバリエーションでクウーン、クウーン言ってたはずだ。
12月13日 王子様・・・、それとも?
駐車場に着き、後ろのドアを開けて荷物を取った。

いつもなら、ヴェルは、すぐにそわそわしはじめ、ハンドブレーキのすき間を通って、とんでくる。

なのに、今日は来ない。「ヴェル、おいで!」と呼んでも、床をたたいても、おっとり落ち着いている。
しかたがないから、助手席にまわってドアを開け、ヴェルを抱っこした。
「まったく、ヴェルは、王子様なんだから~」と言いつつ・・・、あれっ?ヴェルはそろそろ9歳だ。
もしや、ヴェルは、おじいさま?「オージサマ」と「オジーサマ」は、「ー」の位置が違うだけだ。
介護の抱っこも、赤ちゃん扱いも、やることは似てるってことか・・・
12月21日 足湯
おとといも治療室で作業をしていて、帰りが夜中になってしまった。フロントガラスが凍結するほどの、キーンとくる寒さだった。
それでも、ヴェルは、なんとかして遠回りをしようと画策。徒歩2分の駐車場まで、30分近くも歩いてしまったよ~。

外から帰ると、ヴェルの足を洗う。(掃除の回数を減らすため)

たいていはヴェルを抱き上げて、水道の蛇口でちょちょいと洗う。でも、その日はお風呂が沸いていたので、洗面器のお湯で洗うことにした。

ヴェルはお風呂が嫌いである。いつもなら、洗面器に足を入れると、バタバタ暴れて逃げ出そうとする。バシャーンとひっくり返したこともある。

でも、今日は違う。洗面器に前足を入れたら、なんだかおとなしい。
次に後ろ足を入れてみた。

妙な表情で、じっとしている。ものすごい寒さの中、凍りかかった道路をはだしで歩いたのだものな・・・

ためしに両足を入れてみたら、ほら、まったりおとなしい。
温かいお湯のありがたさを、やっと認識したかな?なんだか不安げではあったけど。

そのうち、一緒に温泉に行けるかな?
○ ○ 追記 ○ ○
追記・5 高尾山にも登った
7/21海の日、8歳半のヴェルは、高尾山に登った。

10年以上も、毎年1回、友人や患者さんに声をかけ、「高尾山ツアー」をやってきた。
山登りが好きな人とそうでない人では、山登り能力に大きな差が出る。同じ人間か?と思うほどである。
山好きな人たちの「簡単な山」は、そうじゃない人にとっては、とてつもない苦行である。

私たち足弱人間のツアーは、午後の3時ごろ、高尾山口駅に集合し、リフトで登って、山頂まで片道30分ほどの距離を歩き、ビヤマウントで乾杯をし、バイキング料理を食べながらわいわいおしゃべり。そこからケーブルで下るという、楽チンコースである。

さてさて、またそのシーズンがやってきた。せっかく山を歩くのだもの。ヴェルにお留守番をさせるのはかわいそう。
自然の中を歩き、清々しい空気を吸って、山の気エネルギーを浴びて、ヴェルに楽しい思いをさせてあげたい。ふたりで幸せを分かち合いたい。
いつも犬と一緒にいたいのは飼い主の心理である。

最後にビアマウントに入るので、キャリーハウスを持って出かけた。
ヴェルも家からずっと歩いた。電車の中ではひざの上で、まわりをキョロキョロ嬉しそうに見ていた。
乗客の中には犬を嫌がる人もいるのではと心配だったが、みなさん「かわいい!」とニコニコしてくれた。

リフトでは私の隣に坐らせて、しっかりとヴェルを抱えた。本人はぜんぜん怖がらず、ここでもキョロキョロ景色を見ていた。
リフトをおりて、さあ、歩くぞ!

はじめ、Reikoさんにリードを持ってもらったのだが、ちっとも言うことを聞かない。くんくん嗅ぎまわって、ぜんぜん前に進まない。
私がリードを持つと、なんとかスタスタと歩く。一応ボスと認められているらしい。

ヴェルは一生懸命、歩いて、歩いて、歩きつづけた。
上ったり、下ったり、くねくねする小道も、断崖絶壁も、小さな橋も怖がらず、ずんずん歩いた。
ほんとうにかわいくて、健気だった。

人間の足で山道の往復1時間というのは、小さなチワワにとっては相当な距離である。
最後の階段がかなり急なので、心配になってヴェルを抱っこした。すると、身をよじって暴れ、「下ろせ」と言う。地面におろしたら、ずんずん階段を駆け上がっていった。

最後まで自分の足で歩きとおしたかったんだね。犬の小さな頭でも、歩き通して達成感を味わいたいという、前向きのビジョンを描くことができるというのは驚きだ。

ビアマウントの入り口で、ヴェルをキャリーハウスに入れた。
『どうなるだろう?』と不安になりながら、ハウスの上にジャケットをかけ、お店の中に連れて入った。

『ワン!』と吠えれば、ばれてしまう。犬だけ外につないだら、小さいから盗まれそうで、おちおち飲んではいられない。

でも、ヴェルは一声も発しなかった。
ちゃんとTPOをわきまえられる犬だった。空気が読めるんだよね。

ときどき中でガサゴソするので、こっそり、お水や唐揚げや枝豆などを食べさせた。あとは足元に置いたハウスの中で、おとなしく眠りこけた。
すっかりリフレッシュしたらしく、帰りも家まで歩きとおした。

お散歩の特訓をはじめてから1年半で、ヴェルはここまで逞しくなったんだよ。

翌年、9歳半のときも、もう1回高尾山に登ったんだけど、それが最後。10歳で心雑音が見つかってからは、そんな無理はさせられなくなった。
野川を歩くときに、毎日ヴェルの様子を観察してたけど、もう高尾山に上る体力はなさそうだとあきらめた。

うちに来てから覚えたことに、「よーい、ドン!」がある。
家の中では走るのだけど、外ではトコトコ歩くのみ。一緒に野川を走ってみたくなった。
「よーい」で、一緒に身をかがめ、「ドン!」でバチッと手を叩く。その瞬間、ふたりでロケット・スタート。
10メートルぐらいはダッシュで走った。2・3回やると疲れるらしく、走らなくなっちゃうけどね。

それも、心臓が悪くなるまでの話である。
眠くてもお出かけは逃さないぞと、耳をいっぱいに広げてる
updated: 2014/11/18
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