dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集)
症例9・アトピー性皮膚炎・1改
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症例9・アトピー性皮膚炎 1・改
プロトピックのリバウンド
薬でアトピーが悪化
2008年4月に来院した、Sさん(当時28歳、女性)は、小学生の頃からアトピー性皮膚炎に悩んでいました。
ステロイドは顔には塗らないようにしていたそうですが、プロトピックという新薬ができたとき、「ステロイドと違って副作用がない」と医師に言われ、顔に使用したそうです。
みるみるアトピーが消え、喜んだのもつかの間でした。4ヵ月後、顔にアトピーがふきだし、それ以来、4年間、プロトピックのリバウンドに悩まされつづけていました。

Sさんは女優です。女優にとっては、顔は命です。遠目とはいえ、そうとうなハンデです。特に、公演が始まると、埃とストレスでアトピーが悪化するので、とても困ったそうです。
プロトピックのリバウンドは?
Sさんは、専門医に、「ステロイドのリバウンドならなんとかなるけど、プロトピックは難しい」と言われたそうです。
プロトピックのリバウンドの特徴は、増悪と寛解をくり返すという点です。
皮膚に全くアトピーが出ず、すべすべにきれいな日を基点とすると、そこから少しずつ、だんだんにアトピーが悪化していきます。最悪のピークをすぎると、少しずつ治っていき、また、すべすべお肌に戻ります。
それを1ヶ月周期でくり返すそうです。

治療を開始した頃のSさんの場合は、良い日が1日か2日で、最悪が1週間ぐらい。残りの2週間も、皮膚が真っ赤になって、ボロボロになり、痒みもすごくて、かなり悪い状態でした。
つまり、1ヶ月のほとんどを、顔のアトピー全開で過ごしていることになります。
変化するのはいい兆し
小児アトピーは治りやすいけど、成人アトピーは治りにくい、と言われています。皮膚科の専門医には怒られるかもしれませんが、治療をするにあたって、私はアトピーを、「動くアトピー」と「固まりアトピー」のふたつに分類しています。
年齢と関係なく、鍼やお灸で、アトピーが動けば、治っていきます。
変化が乏しいと、治療は難しいです。「固まりアトピー」の人は、途中であきらめて来なくなるので、最後まで治療をしたことがありません。
私の感じでは、固まり具合は、「ステロイドなどの薬をどれだけ使ったか?」と関連している気がします。

鍼灸治療をやってみて、最初の治療でアトピーが少しでも変化すれば、それは「動くアトピー」なので、治る可能性が高いのです。
Sさんの場合、初回の治療で、アトピーが変化したので、いい兆しでした。
顔のアトピーの治療
Sさんのアトピーは顔に集中していたので、治療のポイントが絞りやすかったです。
顔全体に、浅い鍼をびっしり数十本打って、置鍼。そのあと、糸状灸をしました。痕が残らないように、すべて寸止めで、途中で火を消しました。灸点紙を敷いての多壮灸も試したのですが、Sさんの場合は、糸状灸との違いがなかったので、1回でやめました。

時間のあるときは、そのあと、結合織マッサージもしました。アトピーやリウマチ体質の人は、結合織(皮膚、脂肪、筋肉の間にある組織)の血行が悪く、肥厚して固まっています。エリザベス・ウェイゲルが考案したと学校で習いました。結合織ごと皮膚をつまんで、つねるような感じでマッサージします。自分でもやってもらいました。
全身治療も必要
Sさんの治療は、週に2回やりました。ほとんど毎回、全身治療をしました。
アトピーの人は全員、首や肩、背中の筋肉が、カチンカチンに凝っています。
Sさんの首は、木彫りの人形のようでした。鍼を刺しても、皮膚の下が骨、という感じで、「肉」らしくなるまでに1年ぐらいかかりました。
あまりにも凝っていたので、首・肩こりを感じたことがなかったそうです。柔らかくなるにつれて、逆に、肩こりのつらさを感じるようになりました。
フラダンスとタヒチアンダンスも習っていたので、軽い腰痛もときどきありました。
井穴から邪気を抜いたり、手足に多壮灸をしてみたり、耳のツボを使ったりと、ありとあらゆる治療法を次々に試してみました。
いい状態が長くなる
1ヶ月ぐらいして、顔が白くてきれいな状態が、10日間ぐらいつづきました。赤みや痒みが出ても、引くのが早くなったそうです。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、いい状態が長くつづくようになり、悪い状態が短くなっていきました。
舞台のあるときは、どうしてもアトピーが悪化するので、公演中は週に3回、治療に来ました。自分でも、応急処置をあれこれやっていたようです。

治療開始から半年たったころに、形勢が逆転。いい状態のほうが長くつづくようになりました。
悪くなっていきそうでも、次の日に引いたりして、まあまあの状態が保てるようになりました。増悪と寛解の比率の逆転です。
プロトピックのリバウンドの場合は、少しずつ悪くなっていくので、「底つき」のときでも、以前ほどひどくはならず、また良くなりはじめます。アトピーが出ても、化粧で隠せるぐらいになりました。
1年半でほぼ完治
治療開始から約1年半で、やっと「アトピーが治った」という状態になりました。
2009年8月の終わりごろから、顔がきれいな状態が、ずっとつづきました。2週間、3週間、4週間と、Sさんとふたりで、ドキドキしながら状態を見守りました。治療を週に1回にして、様子をみましたが、ついに、再発しないときがやってきました。
腰のあたりの茶色いシミ(かつてのアトピーの名残り)も、いつのまにかきれいに消えていました。

2年目からは、治療を隔週にしても、大丈夫になりました。アトピーを気にせず、舞台に立てるというのは素敵なことです。映像の仕事も受けられるようになりました。
なんといっても女優ですから、顔がどんどんきれいになっていくのは、ほんとうに嬉しいことでした。
2ページ目へつづく
Updated: 2011/8/5 <初版 2003/1/1>