dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集)
症例11・花粉症2 (2009)
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症例11・花粉症2 (2009)
鍼灸で花粉症の症状は激減
微妙な段階
私はもともとアレルギー持ちらしく、以前から花粉症の季節になるとなんとなく目に違和感があるなと感じていました。
7・8年ぐらい前からは、毎日ではないけれど明らかに目が痒い日があって、これはとうとう花粉症始まったかな?と恐れおののきました。

ごく軽い花粉症はノジェ式の耳のつぼ、目ポイントに金粒を貼るだけで目の違和感が軽減します。
ついでに鼻ポイントにも貼ることもあります。
まだまだ軽い花粉症
花粉症の症状はストレスで悪化します。
目が赤くなって痒い、だけでなく、鼻水がポタリと垂れるようになったら、耳の目ポイント、鼻ポイントだけでなく、アレルギーポイントにも金粒を貼ります。

足のふくらはぎにある膀胱経の飛陽というつぼにも、こんどは銀粒を貼ります。
昔風邪で鼻が詰まったときに、中国の古典にある「鼻塞がるときは飛陽に」を思い出して皮内鍼を貼ったら鼻が通ったので、それ以来愛用しているつぼです。

爪楊枝のお尻の部分で皮膚を押し、微妙に鼻の通りが良くなるところがつぼです。
数時間後には完全に通ります。患者さんに鼻で息してもらって、その音を私も耳で聞いて確かめられるので、確実性が高まります。
患者さんも自分でやれます。

<花粉症・new 1>耳に金粒、足に銀粒、目と鼻にリップクリーム
本格的な花粉症
花粉症も本格的になると、全身治療が必要です。
普段から後頚部に熱を持ちがちな人が多いのですが、症状真っ盛りのときは特に、膨らんでカッカと熱を持ちます。

Sさんは小学校の先生。私が小学生だったら、彼のクラスに入りたいな、と思うような人です。1994年にぎっくり腰で来院したのがお付き合いの始まりですが、花粉症のシーズンにはゴーグルにマスクで重装備しなければならないほどでした。
ちょうど通知表をつけなければならない時期なので、悩みもストレスも最高潮です。

漢方に上実下虚という言葉があります。
頭を使いすぎると、気が全部上にあがって、上半身に気が集まり「実」になり、下半身に気が不足して「虚」の状態になります。
こうなると、気血がうまく巡らなくなります。
足が冷え、頭はパンパンになり気がうっ滞して腐敗します。
首の熱をとって気の巡りを良くしなければなりません。
耳玉とのつきあい方
Sさんは幸い、普通の治療に花粉症の治療をプラスしただけで、翌日はゴーグルもマスクも取って平気になりました。
週一回の治療です。

耳の玉は時間がたつと汗でバンソウコウが浮いてくるので効果が薄れます。
花粉がビューと飛んで「うっ、やばいかも」のときは、自分で耳の玉を痛い場所まで指で動かし、ぐりぐり押します。
痛いところがつぼ。同じ場所に貼ってると、だんだん慣れてくるのか、つぼの位置が少しずれるのです。
うちに来たときは、耳も飛陽も、右と左を交互に使います。

スギ花粉症の大工さんは、木を切ってるときにダーッと鼻水が垂れてきて、それが杉の木と気づいて、耳に手をやったら玉が取れていて、効果てきめんぶりに驚いたと言ってました。
手強い花粉症
薬を使うと、必ず反動(リバウンド)が起こります。
鼻の粘膜の膨張を抑えるための薬を使えば、薬が切れたとき、反対の作用をする物質が大量に放出され、薬を使う前よりもいっそう鼻詰まりがひどくなり、余計に苦しくなります。

化学物質の均衡を人力で整えようとするのは難しいことです。
鍼灸治療というのは、頭でなく、人間の潜在意識にコントロールを委ねようとする治療法です。

全身が疲労と凝りでバリバリだったSさんの同僚は、1回の治療では効果が出ず、2回目でやっと症状が治まりました。
若い頃に甲状腺の摘出手術を受けた人は、ホルモンの関係か、治療効果が出ませんでした。
季節的な花粉症は治るけれど、一年中花粉症の人に効果のある治療法はまだ見つけていません。
患者さんは治ったのに・・・
かつて私が花粉症の治療をした患者さんたちは、今ではほとんど症状が出なくなりました。
まったく出ない、という人もいます。
自分で金粒や銀粒を貼っていた人たちも「ぜんぜん平気だよ~」などと言っています。

人の治療をしているときは「花粉症の症状ゼロになるよ」と宣伝していたのですが、自分の花粉症を治療して、ゼロってのは大げさだった、と思いました。
自分のすぐ横に花粉症がいて、今にも出そう、でも大丈夫、という感じでコントロールしているんだなという感じです。
自分の全身治療は自分でできないのがつらいところです。

Sさんも他の患者さんも、治療の年数が重なっていくうちに、花粉症があまり出なくなりました。
うちの治療室では「今年は花粉が少ないね」という会話が交わされ、腕が振るえず(楽だけど)ちょっと残念かな、とか思っていても、巷では「今年の花粉はすごい」と花粉症に苦しむ人が年々増えているようです。
花粉症の治療は、つぼがピッタリ合えば見事に症状が消えるけど、つぼがずれたら全然効かないので、ものすごい神経使うので大変です。
自分の花粉症に苦労する
なぜか、ちっとも治らないのは、私自身の花粉症です。自分で自分の全身をみることができないので、とても苦戦をしました。

2005年のことです。
風邪をひいた後、鼻炎の症状が残ったまま、そのまま花粉症に移行しました。
それまでは、花粉症といってもごくごく軽く、耳のツボをたまに治療するだけでOKでした。

ところが、ところが、絶え間のないくしゃみ、ポタポタ垂れつづける鼻水、激しい目の痒み、そのうえ、喉や鼻の奥が腫れ、頭部全体が重苦しい。
頭がボーっとして、思考力も低下。
風邪の引きはじめのようなつらさが、えんえんと続きました。

はじめて本格的な苦痛を体験し、なぜこんなにも花粉症が世の中で騒がれているのかを、やっと理解しました。
この不快感が、杉の花粉が飛んでいる間、ずっとつづくの? 毎年、毎年、同じ苦痛を味わうの? そう思うと、心底、ぞーっとしました。
春が来るのは避けられない。薬は使いたくない。
来年は、本格的に自分の花粉症に取り組むぞと、かたく決意しました。
ヒントのひとつは渋面兆候
翌年は花粉の量が少なかったので、翌々年の2月に入ってすぐに、自分の花粉症をなんとか治そうと、あれこれあれこれやってみました。
自分と患者さんの治療の違いを、よくよく考えていたとき、「渋面兆候」という言葉が、頭の中でひらめきました。

耳鍼法はフランスのノジェの本を参考にしているのですが、ノジェによれば、患者さんの耳のツボを探すときには、「渋面兆候」を参考にする、と書かれています。「痛い」という訴えにたよらず、顔がゆがむほど痛いポイントを探せ、ということです。

自分の耳のツボを探すときには、爪楊枝のお尻で押してみて、目ポイントは目がスッとする場所、鼻ポイントは鼻がスッとする場所を探していました。
もしかしたら、そこに秘訣が???
耳のツボを押すだけで、効果があった
さて、鏡に向かって、耳たぶを観察します。目ポイントと鼻ポイントは、耳たぶにあります。
ツボが開いているところは、白っぽくなっているので、目で見て、だいたいのあたりをつけます。
そこを、「エイ!」と力いっぱい、爪楊枝のお尻で押してみました。ものすごく痛~い!

その直後、耳がポカポカ温まってきました。数分後に、くしゃみと鼻水が止まりました。
患者さんの耳のツボを探す行為そのものが、花粉症には効果があったのです。

そのツボに金粒を貼るのですが、貼らなくても、押すだけで1日ぐらいは効果が持続します。
ツボがわからなくても、何ヶ所かをグイグイ押すだけも、大丈夫です。
自分で自分を痛くするのは、勇気がいりますが。
耳のつぼで、気を引く
「耳たぶのあまりの痛さに、目や鼻がそっちに気をとられて、花粉の刺激を忘れてしまうのかなあ」などと、ひとりジョークを言って、またひらめきが!

「気を取る」ことは、鍼灸治療の手技のひとつです。
炎症を起こしている部位は「実」で、気が集まりすぎて澱んでしまっています。
逆は「虚」で、気が不足していることです。

実しているところから余分な気を取り、虚しているところに気を補って、全身のバランスを調整するのは、東洋医学の基本です。

耳のつぼを刺激することで、そっちの方に「気」を引っぱって、目や鼻の炎症を引かせるという効果なのかもしれません。
1年目は悪戦苦闘
なんとか自分の花粉症を治そうと、喉や顔面などにも金粒を貼ってみたり、あちこちハリやお灸をしてみたりとか、いろいろやってみました。
私は腕が冷えやすいので、それと花粉症との相関関係を疑って、腕全体にカマヤミニでお灸もしてみました。

「飛陽」というツボは、鼻づまりにものすごい効果があり、銀粒を貼ると、鼻の通りがよくなります。
鼻が通ると、冷たい空気が直接鼻の奥を直撃して、くしゃみが出ます。
でも、銀粒をはずすと、いきなり鼻が詰まるので、もっと苦しくなります。

耳たぶは、あちこち押して、まるで穴だらけ。
結局、どれもこれも気休め程度で、効果が持続しません。
今まで患者さんたちにしてきた治療で十分なはず、と思うしかありません。
3ページ目へつづく
Updated: 2013/1/17 <初版 2003/1/17>