dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集)
症例11・花粉症3 (2009)
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症例11・花粉症3 (2009)
予期不安と免疫システム
精神的作用も大きい
2003年の4月、アメリカに在住のAさんから、花粉症で困っているとのメールを受け取りました。
アメリカに引っ越して6年目。日本にいた頃は、週に1回、鍼灸治療に来ていました。
カマヤミニや金粒・銀粒をアメリカに持って行って、自分でお灸ををしたり、玉を貼ったりしていました。

サンフランシスコでも花粉症が大流行しているんですって。
Aさんは自律神経失調症の気があった人です。アーティストはバランスを崩しやすいのです。

彼女のパソコンでは、日本語のホームページが文字化けするというので、花粉症のページをコピーして、メールに添付して送りました。
ところがAさんは、プリントアウトしている間に、花粉症が治ってしまったそうです!
治療どころか、読みもしないうちに、です。
信じるものは救われる?
2005年、ものすごい量の花粉が飛散して、私の花粉症が悪化して困り果てていた頃、ヨガの先生が治療に来ました。
彼女の生徒さんたちは、「ヨガのおかげで、今年は花粉症が楽です」と喜んでいるそうです。

「それなのに、私の花粉症だけはひどいのよね~」とYさんは言い、私も「うちの患者さんも、今年も花粉症、大丈夫です、と言っているのに、自分の花粉症は治らないのよね~」と言って、二人で笑ってしまいました。

Yさんの花粉症も鍼灸で楽になりました。
占い師も自分のことは占えないというし、お医者さんも、自分や家族の病気は人に診てもらうそうです。
誰にとっても、自分の治療は、なかなか難しいようです。
予期不安が、症状を悪化させる
パニック障害では、「予期不安」が重大な要素だそうです。
「またあのひどい発作が起こったらどうしよう」という不安が、またあらたな不安を生み、症状が悪化するのです。
不安で出かけられなくなると、仕事や社交生活が制限されます。
閉じこもっていれば、ますます外に出ることが不安になり、発作も激しくなります。
うつ病や花粉症にも同じことが言えます。

私の場合、家にこもっているわけにはいきません。
犬の散歩があります。
最近は、外のコートでのテニスも楽しんでいます。
治療師としてのプライドもあります。花粉症は本当に困るのです。
あせればあせるほど、症状が悪化していきました。
よくよく考えてみれば・・・
2ページ目の症例のSさんが、花粉症の治療を始めたのは、平成8年(1996年)でした。
初年度は、毎週来ていました。年々、花粉症の程度が軽くなっていき、私が悪化した2005年には、「今年も平気だよ」と、たまにちょっと出るくらいでした。
今では、何もしなくても、テニスもジョギングもまったく問題なし。
花粉症とは完全に縁が切れています。

ほかの患者さんも同じです。
重症の人は、治療開始のころは、かなりがんばって治療しなければなりません。
でも、年々症状が和らいでいき、そのうちすっかり縁が切れるというのが、みなさんのパターンです。

治療をしてすぐに、症状が一気にゼロになるわけではないのかも???
悟りをひらく
そして、突然、私に悟りの境地が訪れました。
「そうなのか!」
いきなり百がゼロになるわけじゃなく、「少し和らぐ」をくり返しているうちに、数年後にゼロになる、というパターンなのです。

2005年の花粉症の苦しさを思えば、今年はかなり楽です。
「また、ああなったらどうしよう!」という不安を取り除いてみれば、良くなっているのは確かです。
年々軽くなっているのです。

「一気にゼロに、とあせらずに、なんとか症状が抑えられているのだから、それでいいや、と思えばいい。気長に治療しよう!」
そう思ったら、気持ちがスーッと落ち着きました。

すると、なぜか、花粉が平気になりました。
耳のつぼを押し、マスクをして犬の散歩に出たのですが、くしゃみも出なければ、鼻水もなし。目も痒くありません。
不思議な現象でした。
免疫システムとのつきあい方
花粉症は、免疫の過剰反応です。
杉の花粉ごときで、命にかかわるわけではありません。
本来ならば、無視してもいいはずです。
それなのに、免疫システムが過剰に働き、その免疫反応でつらい思いをするのです。

治る速度は、免疫反応の大きさに比例します。
うんと軽い人、花粉症になりたての人が、ちょっとの刺激で反応がおさまるのは、当然です。

でも、激しい反応が免疫システムにインプットされてしまうと、治療をしても、すぐに100%というのは難しいのです。
症状がひどいと、軽くなるのは治療の翌日です。
しばらくするとまた元に戻ってしまいます。
毎週治療しなければなりません。
それでも、最初の年は、症状が100%おさえられるわけではありません。

前述のSさんなども、そんなこんなをくり返して、5年ぐらいで、「たまに出る」という状態になり、13年たって、あらためて聞いてみたら、「えっ、花粉?もうぜんぜん平気だよ」という具合になりました。
そんなふうな治り方なのです。
鍼灸で免疫システムを再教育
鍼灸は身体にとっての教育者です。
病気を治すために、身体のツボを使って、どういう風にすれば治るのかを教えるのが仕事です。

虐待されて育った子供のフォローと似ています。
環境を変え、やさしく接してあげても、すぐにフツーの子になる、というわけには行きません。
心を開いても傷つけられない、ということが伝わって、心の底から安心できるようになるまで、何度も何度も問題を起こします。
何年もかけて、少しずつ、心が快復していくのです。

花粉症などのアレルギー反応も、はじめは何度もぶり返します。
治療をくり返すことで、免疫システムに「反応を控えても大丈夫」ということを、少しずつ納得させていく必要があるのでしょう。
書きながら、発見した
花粉症の改訂版は、1週間ぐらいかけて書いたのですが、書きながらあれこれ考えているうちに、新しい発見をしました。
おかげで自分の花粉症も、相当楽になりました。
くしゃみや鼻水も「ときどき」になり、耳ツボ刺激だけでおさまります。今は最高潮の5%ぐらいでしょうか。

私の場合、「冷たさ」と「花粉」が合体すると、花粉症が起こります。
風がビュービュー吹いていても、暖かい日は楽です。寒い日や雨の日がダメです。
冷たい風が鼻を刺激すると、鼻が痛くなり、クシャンとくしゃみが出て、鼻水がダーダーでます。
だから、マスクは愛用しています。

治療のおおよそは、2003年の「花粉症・2」に書いてありますので、足りないところを補足します。

<花粉症・new 1耳に金粒、足に銀粒、目と鼻にリップクリーム」でまとめてあります>
耳のツボの使い方:補足
耳のツボは、目ポイントと鼻ポイントを使いますが、爪楊枝で刺激するときは、その周辺を適当に押して大丈夫です。
金粒を貼っている絆創膏の上から押すと、痛みもマイルドだし、傷もつきにくいので、けっこうお勧めです。

爪楊枝を持ち歩いて、「出たな!」と思ったら、すぐに耳たぶを、グィーッ、グィーッと、力いっぱい押しましょう。
(先っぽじゃなく、お尻の太い部分で押すんですよ!)

ツボ探しも金粒も、片耳だけを使います。
片方を痛めつけている間、もう片方を休ませるのです。
同じ刺激がつづくと、慣れてくるので効果がおちます。
いかに身体に、フレッシュで刺激的なインパクトを与えて、つぼに注意を向けさせるかの駆け引きです。
ですので、足の飛陽に銀粒を貼るときも、片方にします。
はがれたら、あるいは3日から1週間ぐらいたったら、反対側に貼りかえましょう。
ピアスをはずす
花粉症の時期は、ピアスやイヤリングははずしたほうがいいです。
耳に金粒、足(飛陽)に銀粒を貼ることで、イオン化傾向を利用してバランスをとっています。
異種金属をあちこちに使うと、その流れを乱すので、効果が損なわれます。

耳を刺激し、耳たぶがポカポカ温かくなると、症状が軽減されるというパターンです。
金属が冷たい風に吹かれると、あっという間に耳が冷えます。
せっかく痛い思いをしてツボを刺激しても、ポカポカ効果がすぐになくなります。
のどの腫れの引かせ方
目の痒みや、鼻のムズムズ、頻発するくしゃみ、ポタポタたれる鼻水など、これらの症状は、耳のツボに金粒を貼ると、改善されます。
鼻づまりは、足の飛陽に銀粒を貼って、鼻の通りを良くします。

でも、花粉症の症状はそれだけではありません。
喉や鼻の奥が腫れると、風邪のひき始めのような苦しさになります。
たぶん、喉や鼻の粘膜についた花粉を、免疫システムがウィルスと勘違いするのでしょう。
ですので、喉の腫れは、風邪と同じ治療をします。

風邪をひくと、肺経と大腸経に反応が出ます。
手のひらの母指には、魚際(肺経)というツボがあります。
手の甲の、母指と示指の間、付け根に近いところには合谷(大腸経)というツボがあります。
そこのゴリゴリを、手でぎゅうぎゅう指圧すると、喉の腫れが引きます。
首を触って、ごろごろ腫れているところに、金粒を貼るのもいいでしょう。

「風邪治療マニュアル」
気の滞る道を掃除する
首・肩こりは、前のページで言及した「上実下虚」を増強します。
私はけっこうな肩こり症です。たぶん、生まれつき背骨の形が悪いのでしょう。
対人恐怖症の気もあるし、オタクの傾向があります。なにかに集中すると時間を忘れてのめりこみます。

私も友人に鍼灸治療をしてもらっています。治療のあとは、花粉症が楽になります。

筋肉が硬くなっているところは、血液の流れが悪く、気の流れも滞っています。
手足の凝りをほぐすと、頭頚部にたまった邪気を流すことができます。

身体のあちこちの澱みを掃除し、経絡のバランスを整え、勢いよく「気」を流すことで、全身を大掃除(オーバーホール)ができます。
あらゆる病気の治療に必要不可欠な、鍼灸治療の最大の効用です。
治療師を選ぶ
鍼灸に限らず、どんな治療法でもいえることだと思うのですが、治療師と患者さんの相性はとても重要です。
1・2回の治療で治るような病気なら、あまり関係ないかもしれませんが、花粉症は、長い付き合いになる可能性があります。

「友達以上、恋人未満」ぐらいの相性は必要です。
狭い個室で裸になって、二人っきりで1時間以上ものときを過ごすのですから。
気の会う人、価値観が同じ人、何でも話し合える人を選んで、信頼関係を築き上げてください。

私の首・肩こりはかなり重症なので、鍼灸治療じゃないとだめなのですが、ヨガや指圧や体操や運動療法など、ほかの療法でも効果がある人もいます。
プラス、自分でやる耳ツボ治療を、ぜひ試してみてください。
Updated: 2009/2/27