2/21(土) |
肩が治って、ぎっくり腰をぶり返し・・・ |
まず、右肩痛のその後についての報告から。
正しいサーブは「上腕三頭筋」を使って打つ。理論としては、初心者の頃から知ってはいた。
○ |
上腕三頭筋 |
外側伸筋 |
下から上に |
身体のバネを使って、伸び上がる力で打つ |
× |
上腕二頭筋 |
内側屈筋 |
後ろから前に |
力こぶの出る筋肉を使って、腕の力で打つ |
上腕二頭筋を毎日治療して、キネシオでテーピングをしてテニスをしたら、右肩の痛みはみるみる楽になっていった。
そのタイミングで、クラブの先輩にサーブのフォームをみてもらった。
サーブを打つとき、右肩の前面がキクキクする。痛みが出そう・・・
そう先輩に話したら、腕を振り上げるラインが違うと指摘された。肩を広げた状態で打つクセがあって、それだと二頭筋を使って打つことになる。
腕の振り方を変えたら、サーブを打っても痛みが出なくなった。
ずっと同じことを教わっていたのだけど、どうやっていいのか理解できなかった。
痛みが出てはじめて、自分のフォームの欠点がわかる・・・というのは、いつもの私のパターン。でも、そのおかげで理論化できるので、仕事には役に立つ。
手首をコックできるようになって、上腕三頭筋で打つラインもわかって、これで上達の階段をまた1つ上ったな、と喜んだのもつかの間だった・・・
肩の痛みが治ったとたん、まるで入れ替わるように、ぎっくり腰になった。
前回と同じ部位である。前のぎっくり腰が治りきっていなかったのだ。
「治りかけに無理をするとこじらせる」というのは、常々痛感していること。仕事はなんとかこなしたが、2日間は、皿洗いも難しい状態だった。
1年間治療をしてくれていたK先生は、「こりを取らない」主義の人。私の要望にこたえて、自分としては不本意な治療をしてくれた。
でも、去年の秋ぐらいから、腰とでん部に「たまっているな」という感じがあった。取りきれないこりが蓄積して、固まりはじめていたのを感じていた。
鍼灸は、身体の掃除をする治療。中途半端な掃除をつづけると、取りきれなかったゴミがどんどん溜まってしまう。
腰が(縮んで)固まっている状態で、全力疾走をすると、足がパンパンになる。手足はバイクのマフラーなので、ふけが悪くなる。ますます腰にこりが溜まる。
悪循環が起こるのである。
この2年、テニスのレベルアップ目指して、老体には無理と思われる負荷をかけてがんばってきた。
でも、この腰では、全力疾走をくり返し、足腰、体幹の筋肉をフルに使っての、ハードなテニスは不可能である。
あとちょっとで、基本のショットをモノにできるというところまできた。ここであきらめて、「おばさんテニス」をするのはイヤだ。
そうなったら、もうテニスには興味がなくなってしまうかもしれない。ただ「楽しむ」だけのために、空き時間のすべてを使ってテニスに通う自分を想像できない。
私って、目的志向が強くて、「目標をたてて、そのためにがんばる」人間なのだということをあらためて知った。
絶体絶命の境地になった。腰が固まって取り返しがつかなくなる前に、このこりを取ってもらわないと、人生は真っ暗闇である。
1年ぶりに、前の先生、Sさんに電話をした。家庭の事情で、治療は無理そうと思って遠慮していたのだけど、すべてが落ち着いたんだって。
翌日治療に来てくれて、全身のこりを徹底的に取ってくれた。10年もやってもらっていたから、私の身体を熟知している。
すごい効果である。全身がすっきり楽になった。
でも、それまで隠れていた病気の根っこが、むき出しになった感じ。
凝り固まった筋肉は、ギブスの働きをする。いきなりギブスが取れてしまうと、腰痛の元凶となっていた病根が、支えを失い、不安感が生じるのである。
小さな違和感が残った場合、「動くことで治る」のか、「こじらせて悪化する」のか、五分五分である。
さんざん迷ったが、患部にカマヤミニをして、(今まで腰にはしたことがない)テーピングもしてみて、とりあえずテニスに出かけた。
テニスをするのは1週間ぶりである。なんだか、打ち方を忘れちゃったみたい・・・
身体と相談しながら、休み休み、壁でアップした。そのあと、先輩に見てもらいながらサーブの練習をしたら、なんと不安感が消えた。
「あれ?動いたほうが治るのかな?」と調子に乗って、ゲームを3セットもやった。
用心のために、100%のプレーは控えたけれど、結果は大正解。ぎっくり腰はすっかり治ってしまった。
どこにも痛みがなくて、思ったとおりに身体が動かせるって、ほんとうに素敵だね。生き返った気持ちである。この先の人生にも希望が持てる。
Sさん、ほんとうにありがとう! |
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2/8(日) |
手首を立てて打つ筋力 |
木曜日は雪で、ポプラがお休み。私もテニスに行けないので、母を回転寿司に連れて行くことにした。
『こんな雪の日に!』と職員に驚かれちゃうかな?
・・・と心配して、迎えに行ったときに、「いや~、雪でもないと息子が休めないもので」などと、会う人ごとに言い訳をした。
でも、職員の人たちはみなさん歓迎してくれた。
快適で安心ではあるが、希望のないワンパターンなホームの暮らし。家族とお出かけすれば気分転換になる。美味しいものを食べれば、なおハッピー。
家族が心のケアをすれば、職員は助かる。幸せな老人のほうが、介護するのがたやすいものね。話しかけるときの話題もできるし。
午前中お風呂に入ったので、母は疲れていた。脳がショートしていて、目も開けないし、返事もしない。
「今日こそ、匂いだけかな・・・」とか言いながら、とりあえず出かけた。
スシローのテーブル席に坐った母は、うつむいたまま眠りこけている。
大好物の干瓢巻きを口元に持っていって、「ほら、干瓢巻きだよ~」と言ったら、なんとパチッと目を開けて、パクリと食べた。
認知症の暗闇から、正気を引き出すには、好きな食べ物が一番である。量は少なかったけど、ちゃんと飲み込んでくれ、ミッションは無事終了。
テニスでは、またひとつ進歩の兆しがあった。
去年の暮れぐらいから、時々だけど、手首を立てたままストロークを打つことができるようになった。
帰りには、バイクのアクセルを握る手が、あちこちつりそうになったけど、だんだんにそれもなくなった。筋力アップしたらしい。
「手首を立てたままラケットを振れ」というのは、初心者の頃から、何人かに指摘されてきた欠点である。
手首をダランと下げて打つ癖があって、どうしても修正できなかった。
バドミントンからの癖なのかもしれない?
手首を立ててラケットを持つと、ラケットがズシンと重く感じた。ダランと下げて打つほうが楽だった。手首をコックして打つ筋力がなかったのだと思う。
私の右の前腕は、丸太のような形になってきた。普通の人は前後に薄べったい形なんだけど、尺側手根屈筋が太ってきたのである。
手根の筋肉、手掌、手の甲の筋肉も、盛り上がってきた。ぐいっと拳を握ると、まるでたくましい男の手のようである。
高校生の頃、柔道部に入った弟が、鏡の前でぐいっと大胸筋を盛り上げて、嬉しそうに自慢していたなあ・・・。
ボディビルダーの男の子が、鏡の前で裸になって、あちこちの筋肉を盛り上げて、悦に入っていたことも思い出す。
私も、自分の腕の筋肉を見てはにんまりしている。
サーブは、まだまだ安定していない。
いいサーブがバシバシ入っていたかと思うと、どこへ飛ぶかわからないコントロール不能地獄に落ちる。どん底をすぎてしばらくすると、何故か、また打てはじめる。
1日のうちに、それを2サイクルぐらいくり返していた。
ある人に言ったら、「ゆっくり打って、フォームを確認するんですよ」と、アドバイスをしてくれた。
ちょうどその日、先輩に、「サーブをゆっくり打ってみて」と言われて、おおいに戸惑ったばかりなのであった。
ラケットを振り回して、勢いでサーブを打っていた私であった。
勢いで打つと、ときどきすごいサーブが入って、みんなに「おおっ!」と驚かれる。
「あの夢よ、もう一度」と、柳の下のドジョウを狙う。そのうち、だんだんにフォームが崩れていく。フォルトがはじまると、あせりまくって、打ち方も忘れてしまう。
「ドジョウ」狙いがバッド・ルーティンの元凶だと自分で分かっていたのだけど、どうしてもやめられなかった。
エース狙いはしばらく封印。サーブの安定を目指そうと決めた。
足腰、体幹の動きはそのままに、手首を立てたまま、ゆっくりサーブを打つ練習をはじめたのである。
身体が枠にはめられたように不自由で、やっとこボールを打つ感じなんだけど、そうすると、緊張感が高いゲーム中でも、そこそこのサーブが確実にコートに入ることが分かった。
そのせいか(今度は)右肩に痛みが出はじめた。
テニスのときに痛むわけではないが、何もしていないときにズシーンと重だるい、イヤ~な痛みを感じるのだ。
3年前に、自己流スライスを打って痛めたのと同じところである。三角筋の前部繊維のあたりだが、その奥の上腕二頭筋なのかもしれない。
前回の故障が完治しないまま、ほころびが残っていたらしい。
あのとき、何ヶ月も痛みがつづき、しばらくの間、両手両手打ちでテニスをする羽目になったっけ・・・
もしかしたら、これは五十肩で、肩関節のほころびは治らないと想定したほうがいいのかな?
冒険は控えて、肩に優しいテニスをしたほうがいいのだろうか?
「手首をコック」は、サーブにおいても必須の課題である。
「手首ダラン」の打ち方では使わなかった筋肉を、「手首コック」で使うようになって、筋力不足で痛みがでたのかもしれない?
眠っていた痛みが目覚めたこの機会に、徹底的に治療をしたほうがいいのだろうか?
クラブの先輩にフォームをチェックしてもらわなくちゃ。
無理な打ち方をしているのかもしれない。正しいフォームは身体にいい、それが私の持論である。
今日は、仕事の前に、世田谷のサークルに仲間入りをさせてもらって、ちょっとだけテニスをしてきた。
渋滞している車の横を、バイクでビュンビュン走り抜けるのだけど、ふいに道路の色が目に入った。「ヤバイ!」と、イヤな予感がした。
そういう予感は久しぶりである。半信半疑ながらスピードを落とした。
しばらく走ると、右前方の車が1台、いきなり左に急発進。あわてて急ブレーキをかけて衝突を逃れた。
渋滞時の車の急発進、急ハンドルはほんとうに危険である。
バイクに関しては予知能力がある。おかげで、今まで事故を免れてきた。
たぶん、仕事にも役立っている。
テニスでも生かせれば、「予測」のうまいプレーヤーになれるのになあ・・・ |
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1/31(土) |
ますますナダルに惚れ込んだ |
全豪オープンの間、テニスクラブは人が少なかった。たまたま私の行く日に錦織圭の試合があったから、というのもあるだろう。
私は自分のテニスが優先。仕事の合間をぬってのテニスなので、雨が降らなければコートにいるほうがいい。試合は夜、録画で見た。
コートが空いていても、人が少なくて、一緒にゲームをする相手を見つけにくかった。いつもやっている仲間以外の人たちとも、いくつかゲームをした。
久しぶりの人たちとやって、すごいレベルアップしていたのに驚かれたけど、自分でも自分に驚いてしまった。(と、ここでちょっと自慢)
私はナダルの大ファンである。夏に手首を痛め、秋には虫垂炎の手術で、半年近く欠場していたので、ナダルを見るのは久しぶりだった。
同じ思いの人が多かったらしく、あまた選手がいる中で、ナダルの試合は1回戦からすべてWOWOWで放映してくれた。ラッキー!
何ヶ月もツアーを欠場すると、「試合勘」がなくなって、苦戦をする。前にも書いたけど、いくら優秀なヒッティングパートナーがいたところで、命かけてる現役のプレーヤーとは、試合でないと対戦できない。
2回戦では、2セット目からナダルは腹痛に苦しみだした。思うように走れないし、踏ん張れないので、ミスショットの連続。合間合間には、ラケットを支えにして、身体を二つ折りにして痛みに耐えていた。
去年の全豪の決勝戦のときみたいに、タオルでぬぐっていたのは、あきらかに「汗」でなく、「涙」じゃないか?という場面もあった。
ミスショットのナダルに対して、相手のスマイチェクはスーパーショットを連発した。予選から勝ち上がった27歳、世界ランク112位の選手である。
『もういいから、棄権してほしい』と、私はハラハラ、ドキドキだった。
でも、ナダルはあきらめない。ナダルらしくない、棒立ちでのショットを打ちはじめた。ヒッティングの練習みたいに。そしたら、スマイチェクの調子が狂いだし、ナダルがセットを取ることができた。
5セット目の終わりになって、腹痛がおさまったらしく、ナダルのいつもの動きとスーパーショットが出はじめた。
終わる直前、ナダルがサーブを打とうとしたとき、観客が大声を出して、失敗。
審判に「セカンド」と言われ、ちょっと表情がくもったけど、ナダルは食い下がったりしないで、素直にセカンドサーブを打とうとした。
すると、スマイチェクが審判に意見をし、ナダルはファーストサーブから打ち直し、そのまま勝利した。4時間12分もがんばったのである。
スマイチェクのフェアプレー精神はすばらしい。世界が賞賛した。不調のナダルに勝利するより、死後まで残る名声を得た、と思う。
この間、テニスクラブで、何人かのメンバーと飲んだときのこと。
1人が、「テニスは性格が悪いやつが勝つ。トップ選手はみんな性格が悪い。報道しないようにしているだけだ。スタッフだって、みんな大金もらってやっているんだから」と言った。(そいつはちょっと自分勝手な奴である)
私は「違う」と反論した。
コーチやトレーナー、身の回りの世話をする人など、選手は何人ものスタッフを連れてツアーに出る。
選手に惚れ込んで全精力を注ぐのと、お金のために我慢して仕事をするのでは、人間、出せるパワーが違う。
自分が仕事をしていて、そうだもの。もちろん、誰に対しても、いつもできるだけのことをしているけど、「できるだけ」のレベルが、どうしても違ってしまう。
人に意地悪をするのは、天に向かってつばを吐くようなもので、結局は自分に落ちてくる。それが私の持論である。
もちろん、中には性格の悪い選手だっているけど、「いい人のほうが強くなれる」と私は思う。ナダルはほんとうにいい人なんだよ~。
ナダルは絶対にあきらめない。
私も「あきらめる」のが嫌いで、いったん心に決めたことは、なんとしてもやり遂げる主義である。少なくとも、自分からは絶対にやめられない。試合中に怪我をしても、途中でリタイヤしたことは1回もないし。
昔と違って、今は鍼灸があるから、すぐに治療できるという利点があるのはいいね。あせりまくるけどね。
はじめて見たときから、ずっとナダルが大好きなのだけど、そういう共通項があるからなのかもしれない。 |
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1/18(日) |
女ダブのオフ |
昨日は女ダブ(女子ダブルス)のオフを開催した。
いつもの通り、土曜日の朝8時~10時、仕事前の時間である。はじめは地面がちょっと濡れていたけど、お天気もよく、風もなく、絶好のテニス日和。
ほのぼのとリラックスして、とても楽しい時間が過ごせた。
テニスそのものは、もちろん、クラブの人たちとやるほうが面白い。先輩たちは超ベテランだから、ラリーがえんえんつながるし、きわどいコースに多彩なショットを打ってくる。
でも、オフには、また別の味わいがある。
「テニスオフはいつも男性ばかり」と前に書いたけど、去年の秋、はじめて女性の参加があった。
彼女に聞くと、「けっこう女性もいますよ」とのこと。「女ダブを開催すると、女性が来てくれますよ」と言われた。
スクールつながりや先輩のサークルは、99%が男性。男に混じってバンバン打って走るのは快感でもあるし、何より気楽である。
でも、試合に出るためには、女性のパートナーを見つけなくちゃならない。
クラブの人間関係はけっこう難しいところがあるので、外の世界で、女の人に出会いたくなった。
性別不問でオフを開催すると、男性参加者で、翌日には埋まってしまう。
(私も含めて)女性は、家族の都合に合わせたり、雑用に追われたりと忙しいので、あまり前もっては、自分だけの予定を入れにくいのである。
はじめて「女子ダブルス」に限定して募集したら、なかなか応募が来ない。
「人数が集まらない場合は、練習のみ、もしくはシングルスになります」と書いておいたが、その通りになりそうと不安に駆られた。
メンバーが揃ったのは前日であった。
集まった女性たちは、みなさんいい人たちで、お互いにとても気をつかう人たちだった。「どうぞ」と相手に譲り、「ナイス!」とか、「ドンマイ!」とか、「ありがとうございます」とか、言葉かけを忘れない。
テニス好きで、1人でオフに参加する度胸の持ち主でもあり、見知らぬ人とのコミュニケーションも取れる人たちが集まっているんだね。
ほのぼのとした雰囲気で、和気藹々のテニスになった。
「女ダブって、楽しいね~」と、味をしめ、2回目の女ダブの開催となった。
実は、先週の月曜にも、わざわざ多摩市までオフに行ってきたのである。はじめて、全くあがらずに、いつもどおりのテニスができた。
「対人恐怖症」は、私の古くからの友人である。
初めての人とテニスをすると、ガチガチに緊張して、3ヶ月落ちの実力しか出せなかったのだけれど・・・
もしや、もしや・・・?
ついに、昔のトラウマを克服したのだろうか?
心優しい人たちと、お楽しみテニスをするときに、余分な緊張感からボロになっているようでは、外の試合に出るなんて夢のまた夢である。
次の女ダブで、自分らしいテニスができるようなら、未来が開けてくる・・・。
そんなこんなで望んだ昨日のオフでは、のびのびとテニスができた。主催者がのびのびしていたから、みなさんも本当に楽しそうだった。大成功である。
私以外は、全員顔見知り。やっぱり女性は少ないんだね。
このところ、練習とゲームのギャップが埋まってきた。勝つにしろ負けるにしろ、練習でできることが、ゲームでもできるようになった。
「あらゆるショットを全力で打つ!」決心が、実行できているおかげと思う。
オフで上がらなくなったことに加えて、私のテニスは大きく進化した。
私としてはかなり満足だったんだけど、教えてくれてる先輩からは、ダメ出しの嵐をもらった。
言われてみれば、たしかにまだまだ、できないことだらけ。
テニスは奥が深いね~ |
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1/10(土) |
なんとか乗り切ったお正月 |
元日は、ちょっと淋しく5人でお祝いをした。
母にもお正月は味あわせてあげたい。
「11時目標で」とホームの人には話してあったが、起きるのが遅かったので、12時ごろになっちゃった。
母を迎えに行って、車椅子は積んだまま、ポプラが母をお姫様抱っこして、3階までの階段を上ってくれた。ポプラは力持ちなのが唯一のとりえなのである。
食卓の椅子に坐らせた母のとなりには、あんず。
私は大雑把な人間なので、食べさせる役目はいつもあんずにお願いしている。彼女は幼稚園の先生になれる。(幼児と認知症の老人は似ている・・・)
私は料理を出したり、お酒を出したり、ホステス役なので忙しいし。
今年の御節料理は、松前漬け、のっぺ汁、かまぼこ、伊達巻、酢だこ、なます、カニ、黒豆、栗きんとんなど、いつものメニューに焼き豚が加わった。
肉好きのピョン君のために、何十年ぶりかで焼き豚を作ったのである。
スーパーで網のかかったもも肉を買ってきて、フライパンで表面を焼き、鍋に入れる。お酒と醤油、水と長ネギを入れて、ときどき水を足しながらストーブの上においておくと、自動的に調理をしてくれる。
自分が食べられないので、味付けが難しいけど、上々のできばえだった。来年は、もも肉とロースをダブルで作ろうと思う。
母も喜んでたくさん食べてくれた。なんといっても、私の料理は母のレシピである。親子というのは食の好みが似るところが楽である。
食事が終わって、母はすっかり疲れたみたい。おふとんの上に寝かせた。
男連中は、テレビの前でうたた寝をはじめた。
他にすることもないし、ヒマだなあ・・・と、私も母のとなりにもぐりこんでお昼寝をすることにした。
「そうだ、人手があるときに、母の靴や洋服を買いに行こう!」と思いついた。ネットで調べたら、イトーヨーカドーは元日から営業していた。
駐車場が便利だし、介護用品のお店もあるし、2階には婦人服売り場もあるので、母の買い物はいつもそこでするのである。
4人乗りの車に5人で乗った。
警官に見つかったら、歩けない母を抱えるのに男2人、トイレの介助に女2人、どうしても必要なんです・・・、とか言い訳しようと思った。
車椅子を積んでいれば、見逃してもらえるだろう。老人介護者に世間は優しいのである。
靴とズボンは介護用品の店で、母に相談しないで買った。
上に着るものは本人に選ばせてみた。洋裁をやっていたので、母はとてもお洒落だった。洋服を選ぶ能力が残っているかもしれない。
次から次へ、いろんな服を車椅子の母に見せて、「これ、買う?」と聞いた。
なんと母は、「買わない」とか、「下品」とか、「あきた」とか、小声でコメントを述べる。やっと2枚、気に入った洋服が見つかった。
寝たきりの人にはふさわしくないような、デリケートな衣類だったけど、お洒落な格好が楽しめれば、少しは元気がでるかもしれない。
時計を見ると5時である。母もそうとう疲れているようなので、そのままホームに送っていった。5時半からの夕食に間に合った。
翌日、私1人で車でホームに行き、ROM訓練をした。「昨日は楽しかった?」と聞くと、「楽しかった」と答えた。がんばってよかった~!
帰りがけに、「じゃ、またね」と声をかけたが、相変わらず返事もしない。「なんか言ってよ」としつこく粘ったら、「また明日」と言われてしまった。
う・・・、明日か・・・
かわいく言われると行ってあげたくなるけど、結局、次のリハビリは昨日。
ヴェルが死んだあと、母のことがなおざりになった。そのときに、1週間に1回ROMをやっておけば、拘縮は進まないと気づいてしまい、楽を覚えちゃったんだよね。
さあ、私の体調の話である。去年自慢をしたから、なんだか不安だったのである。絶好調のときほど危険なんだもの。
元日を除いて、毎日テニスをした私。4日日曜日のことである。
ボレーのフォームを直され、やっと分かりかけてきた。そのあと、フォアのフラットドライブの打ち方がやっと「絵」になった。膝の屈伸と、体重移動、インパクトの瞬間にバシッと打つ、そのコツがやっとつかめた。
そのあと、バックハンドのフォームを直された。フォームを変えて以来、1年たってもまだあやふやなままだったのである。
「ラケットはここから出す」「左手はこう」「右手はこう」「左足はこう」「右足をこう出して」、「このときに腰はこう入れて・・・・」
と、その瞬間に、仙骨のあたりがピキッとなった。だからその先は忘れてしまった。
腰というより、その下方、でん部の蝶番がはずれかかった。これはヤバイ兆候である。そのまま、練習を離脱して、ベンチで休んだ。
このままつづけて、もし蝶番がはずれたら、復帰まで1週間はかかる。
4時間の練習会がスタートしたばかりだったし、やっとコツをつかみかかったところだったので、やめたくなかった。
ベンチに坐ったまま、後ろ手で鍼を打った。ジャケットを羽織り、(まわりから見えないことを確認して)ズボンを下げ、半ケツ状態である。
動ける程度になったので、練習に復帰し、最後まで走った。
あとはいつもの通り、治療室のベッドで自分でハリを打ったり、朝晩、カマヤミニをしたりしてしのいだ。
月曜日の初クラブは休んだけど、1週間、ほとんど連続でレッスンを受けた収穫は大きかった。1日のロスとは比べ物にならない。
テニス中に起こったとはいえ、今回のぎっくり腰は介護のせいと思う。
元日、お昼寝をしようとしたとたん、母が「おしっこ」と言った。トイレまでは、ポプラに運んでもらったのだが、介助はあんずと2人でやった。
私が(まったく立てない)母を立たせている間に、あんずがズボンを下げたのだが、ウールのオムツカバーをはずすのにえらく手間取った。
そのせいで、腰にものすごい負担がかかったんだね。テニスを毎日なんて、いつもやっていることなんだから。
母も喜んでくれたし、仕事もテニスもやれているし、お正月は大成功だったということにしよう。。。 |
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