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みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集) |
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症例5・いぼ・改
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症例5・いぼ・改 |
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ほとんどのいぼはお灸で取れる |
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いぼはウィルスの「家」 |
大昔から、「親いぼにお灸をすると、子いぼもみな取れる」と言われていました。理由は、ほとんどのいぼがウィルス性だからです。ウィルスは生き物で、皮膚の上にコロニーを作って暮らしています。
火星で人間が暮らすSF映画を想像してください。空気が薄いので人間はドームを建てて住んでいます。ドームとドームは通路でつながって、人間が行き来しています。
いぼはウィルスのドームのようなものです。皮膚の上にどんどん「家」を建てています。いぼといぼは皮下でつながって、皮下(=地下)通路をウィルスが行き来しています。
カリフラワー型のいぼを噛みちぎってみたら、皮膚から林のように血管が伸びていて、まるで生えているようでした。
人体のDNA(もしくはRNA)を利用して、人の細胞を自分用に作り変え、自分の家を建てて暮らしているのです。 |
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生き物だから、熱に弱い |
ウィルスの家(=いぼ)に直接灸をすると、ウィルスは焼け死んでしまいます。
いぼは、皮膚に貼られたシールのように、ぺたんと薄くなります。ぺろりとはがすと、林のようだった血管は消失して、まっさらですべすべな皮膚が現れます。
いぼがたくさんあると、どれが親いぼなのか見分けるのが難しいので、片っ端から焼いていきます。
昔は、患者さんの皮膚に出来物を見つけると、皮膚科に行ってもらってから治療をしました。
でも、「癌が熱に弱い」と聞いてからは、何か見つけたら、とりあえずお灸をしてみるようになりました。
ほとんどの癌が、ウィルス性もしくは細菌性であるという説もあります。
お灸を試して損はありません。 |
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糸状灸1壮で |
いぼを取ってあげたはじめての患者さんの話です。
2002年9月のことですが、Hさん(当時67歳、女性)は、4ヶ月前にできたいぼに悩んでいました。
右手の親指の腹に2つ、小さないぼなのですが、何をするにもジャマでジャマで、すごくうざかったそうです。
はと麦茶(ヨクイニン)で取れることもあるのですが、効果がなく、本人は手術で取ることに決めました。
でも、いぼは皮下深く、地下茎を張り巡らしていることもあり、けっこうな大手術になることもあります。
怖がり屋のHさんを、一緒に来ていた娘さんと2人で説得して、親いぼらしいのを選んで、糸状灸を1壮やりました。
そのいぼは取れたけど、代わりに別のが1個できたそうです。
2回目のとき、残りの2つのいぼにお灸をすえたら、すべて取れ、手術はキャンセルしたそうです。 |
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きくらげ型のいぼも取れる |
2010年12月、高校時代の友人が子宮筋腫になり、だんなさんは五十肩で、2人で一緒に治療にきていたときのことです。
夫婦揃って首のまわりから胸にかけて、きくらげのような小さないぼが、びっしりと生えていました。
医師には「老人性」と言われ、「伝染らない」とも言われたそうですが、だんなさんから伝染ったそうです。
タートルネックしか着られず、夏になったらどうしよう・・・と悩んでいました。
あまりにたくさんあるので、1度に全部は焼けません。治療のたびに10個ぐらい選んで、順々にお灸をしました。
お灸で消えることを知った彼女は、なんと自分で線香で焼いて、すっかりきれいにしてしまいました。
火傷の痕が残ったところもあったけど、「ほくろと思えば気にならないよ」と大胆です。
だんなさんのほうは、妻の荒療治をいやがったので、3ヵ月ぐらいかけて、私が全部取ってあげました。 |
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昔から言われていたお灸の効果 |
2013年7月、鹿児島出身の80歳の女性が、治療中に、「昔は、いぼができるとお灸で焼いて、そのあとお風呂でゴシゴシこすると、いぼがきれいに取れたのよね」と言うので、「そうなの。いぼはお灸で取れるのよね~」とえらく話がはずみました。
すると、隣のベッドの患者さんが、「え~、いぼって、お灸で取れるの~?」と驚いて、話に入ってきました。
彼女は手にたくさんいぼがあって、毎週病院に通い、液体窒素で焼いてもらっているんだそうです。
焼いたあとは、水ぶくれになってしまい、しばらくすると、またそこに、いぼが出てくるんですって。
彼女のいぼはカリフラワー型でした。水ぶくれ以外のいぼにお灸をしてあげ、もぐさを分けてあげました。
だんなさんのいぼも、社員のいぼも、みんな取ってあげたそうです。
うち1人は、もぐさを買って帰り、家族のいぼを取ってあげたそうです。 |
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凍らせてもウィルスは生き延びる |
液体窒素は、映画「ターミネーターⅡ」で、新型ターミネーターを凍らせたものです。
ウィルスは冷凍されます。
でも、ウィルスは、南極で何万年でも生き延びられる(半)生物です。冷凍されても眠るだけなので、しばらくするとまた復活します。
お灸で焼くと、熱でウィルスが焼き殺されるので、コロニーは完全に崩壊します。
いぼの除去手術もあとが大変です。
足の裏のいぼを手術で取った患者さんがいました。
皮下に張り巡らされた地下茎ごとえぐり取るので、足を着くと激痛が走り、3ヶ月も松葉杖を使っていたそうです。 |
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とりあえず、お灸を試してみよう |
茶色いのから白っぽいものから、たくさんのいぼを取ってきました。小さいうちに取るのは簡単です。
線香は燃焼温度が高いので、点灸用の良質もぐさを使いましょう。捻り方にもよりますが、燃焼温度は45~80度と言われています。
生物には充分な脅威です。
怖がりの患者さんのときは、寸止め(皮膚につく直前に火を消す)することもありますが、熱さをまったく感じないと効果はありません。
焼き尽くしてもさほど熱くないみたいですし、痕も結局は消えてしまいます。
ウィルスが勝手に作った家だから、やけどの痕も、家ごと消えてしまうのでしょう。
ウィルスや細菌による皮膚症状にはお灸の効果はバツグンです。
帯状疱疹や水虫、傷やおできの感染症なども、みるみる沈静化していきます。
みなさんも試してみてください。 |
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Updated: 2016/4/30 <初版 2003/12/28> |