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みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集) |
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症例24・子宮筋腫&内膜症 1改
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症例24・子宮筋腫&内膜症 1改 |
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消えた筋腫 |
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男社会の中でないがしろにされている? |
何年も前に、「たんぽぽ」という、患者の自助グループが書いた本を読みました。
記憶が定かではないのですが、そのとき、子宮筋腫も子宮内膜症も卵巣膿腫も、同じ病気であると知って愕然としました。
たまたま、40代の女性Sさんが、病院を変えるたびに違う病名を告げられ、その度に「誤診だったのよー!」と驚いていたのを思い出したからです。
20年ぐらい前、国家試験のために衛生学の勉強をしていたとき、日本では乳幼児死亡率は世界最低なのに、妊産婦死亡率は先進国では最高、後進国並みのレベルと習いました。
つまり、赤ちゃんのための医療水準は世界最高レベルなのに、産婦人科は後進国並でしかないということです。
婦人科の医師もほとんどが男です。
後継ぎの子供は大切だけど、女の身体はないがしろにされている?
スケベーな男が婦人科医になりたがるのでは?などとプンプン腹を立てました。 |
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どれも同じ病気? |
「子宮筋腫 子宮内膜症 子宮腺筋症 あなたの答えが見つかる本」(双葉社)を読みました。(2003年のことです)
たんぽぽ(子宮筋腫・内膜症体験者の会)と佐々木静子さん(まつしま産婦人科小児科病院院長)の共著です。
免疫力の低下と関連がある、と書かれてありました。
子宮の中に筋腫の芽のようなものがあって、ある人は芽のままで何事も起こらず、ある人はそれが増殖して筋腫に発展していくのではないか?
できた場所によって、違う形態をとるそうです。
筋腫の芽が筋肉の中で増殖した塊が子宮筋腫。
霜降り肉のように増殖すれば子宮腺筋症。
子宮の内膜で起こると子宮内膜症。
内膜は月経のたびに剥がれ落ちて出血します。卵巣の中に増殖した内膜が剥がれて袋に溜まり、古い血が固まったのがチョコレート嚢胞です。
骨盤内の子宮の表面、腹膜、膀胱、腸や古傷などどこにでも増殖し、剥がれ落ちて出血し、まれには肺にまで広がり、腹膜にできた場合は癒着が起こるそうです。 |
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病院を変るたびに、病名が変った |
Sさん(当時44歳)は1993年10月に来院。腰痛と下半身のむくみ(水毒でパンパンになる)の治療をしていました。
腰痛とむくみは改善が見られたのですが、生理痛だけは何をしてもだめで、Sさんは婦人科の診察を受けました。
子宮筋腫と診断され、漢方薬とホルモン治療、貧血の注射などの治療を受けました。
半年後に別の病院へ行き、両方の卵巣にチョコレート嚢胞が発見されました。
「本当は卵巣嚢腫だったのよ!」と驚いていました。
今度は別のもっと強いホルモン治療を受け、その副作用は相当不快だったようです。
更年期障害のような症状が出るし、どんどん太っていくし。
ホルモン療法の間は嚢腫も小さくなったのですが、3ヵ月後に薬を止めたらまた大きくなりました。 |
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手術を決断 |
主治医が若い男性に変わり、Sさんは生理痛に効く鎮痛剤を処方してもらいました。
彼に、「ホルモン治療は副作用がひどいし、治るという確証もない。手術もしないほうがいいと思う。この鎮痛剤は強いけど、一ヶ月に1日か2日だし、閉経まで何年か、これを飲んで持ちこたえたら?」と言われたそうです。
Sさんは、半年後にまた病院を替わり、今度は子宮内膜症と診断されました。
「また、誤診だったのよー!」とSさんは驚き、例の鎮痛剤も手に入らなくなり、「取っちゃったほうがすっきりするよ」という友人の勧めで、子宮と卵巣の摘出手術を受けました。
ホルモン治療のあまりの不快と苦しさに、「こんな苦しい思いをするんなら」と摘出手術を決断し、取っちゃったほうがさっぱりする、という結論になるのでは?と、Sさんや、「たんぽぽ」の患者さんの体験談を見て思いました。 |
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出たり、消えたり・・・ |
Yさん(当時32歳)は、2000年5月に来院しました。2年前に、子宮を残したまま、筋腫だけを部分的に摘出する手術を受けていました。
筋腫のほうは、あまり重視していませんでした。Yさんの主訴は頭痛で、そのほか、手を変え品を変え、あれこれ治療しました。
もちろん、毎回全身治療で、10日に1回のペースで行いました。
1年後には検診で子宮がすっかりきれいになっていると言われて喜んだのですが、2年後の検診では、また少し大きくなっていました。
Yさんは、最初の年、自律神経失調症もありました。
臀部のあたりが冷えやすく、お灸をたくさんしていました。そこの違いだったのでしょうか? |
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仙骨の多壮灸で筋腫が消えた? |
3年目の検診で、Yさんは、筋腫がまた増殖しているのが発見され、大きい病院を紹介されました。
大きなのは7センチもあったそうで、怖がり屋のYさんは手術の恐怖に怯えていました。
私もあせって、筋腫中心の治療に切り替え、お腹と骨盤にたっぷりお灸をしました。
仙骨の上に灸点紙をしき、そのうえに点灸用のもぐさをのせます。
はじめに糸状灸(糸のように、細く小さくひねる)をのせ、燃やした後の灰の上に、次のお灸を重ねていきます。
灰が多くなるにつれ、もぐさを大きくしていきます。これは透熱灸といって、深部に熱を伝える技です。
微妙なグラデーションをつけることで、痕が残ることを防げます。
患部まで熱が到達すると、ツーンと熱さが通ります。
その瞬間がくるまで、何壮でも何十壮でもくり返します。多いときには、50壮ぐらい続けたこともあります。
次の日、病院に行ってMRIの検査をしたら、筋腫はたった1週間の間に、ほとんどなくなっていたそうです。 |
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2ページ目へつづく |
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Updated: 2009/12/1 <初版 2003/8/23> |
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