4/5(日) |
野川の桜がまだ見れない・・・ |
野川の桜も、そろそろ散りはじめている。
自宅は遊歩道のきわにあるので、ベランダからでも花見ができる。
目の前にあると、「いつでも見れる」の鷹揚さから、ほとんど花見をしたことがなかったんだけど、ヴェルがいたときの7年間、毎日桜の花を見上げて歩いた。
つぼみ、開花、満開の桜を楽しみ、桜吹雪のなかを歩き、花びらで敷きつめられた道を歩きと、日ごとに変化する桜を楽しんだ。
花に興味のないヴェルにとっては、大迷惑だったんだけどね。
いつもの自分の道と、ぜんぜん違うほうへ連れて行かれるので、「そっちはイヤだ」と、全身でリードを引っぱって抵抗したんだよ。
ヴェルがいなくなって以来、まだ、野川を歩けない。
階段を上がる途中の踊り場で、桜の開花具合をチラ見し、ヴェルを思い出して、キューンと胸が痛む。
他の桜はいいんだけど、野川の桜はとても見れない。
「ヴェルの思い出」をまだ書き直し中である。写真とエピソードに埋もれているときは、そこにヴェルがいるような気がして、幸せな気分を味わえるんだけど・・・
ヴェルなしで野川を歩くのは、想像しただけでズキンとくる。不思議だね。
症例集の更新もした。今年の新着第1号である。
去年、私が、ねんざと第三腓骨筋の肉離れを併発したときのことをまとめた、症例47「ねんざ・4」である。ちょこちょこ書きとめてはあったけれど、カルテがないので、自分の日記帳をみながら書いた。読んでね~
サーブの1番(=スライス回転を身につけるため、ラケットの振りだけで打つ)の練習をつづけているんだけど・・・
変なクセがつくと困るので、ちょこちょこ先輩に見てもらっている。
ラケットを振り上げた状態から、手首のスナップを使って、「シュッ」とラケットヘッドを振るようにと言われているのだけど、できない。
筋力がないのである。
「シュッ」じゃなくて、「・・ヒョロ・・ヒョロ・・」となってしまう。打点など、あれこれ変えさせられたけど、ヘナヘナ~としかボールが飛んでいかない。
「こりゃ、ダメだ。できそうな気配もない」と、先輩に見放された。
やけになって、70番(=ぜんぶを通しでやる)を打ってみた。身体全体の力を加えると、けっこうなサーブが飛んでいった。フォームも当たりも、今までとはちょっと違う、伸びのあるサーブが打てそうな気がする?
なので、めげずに1番の練習をつづけている。
ゲームのときに、1番でサーブを打つと、コートに入る。ダブルフォルトの心配からは解放される。ヘナヘナでも、回転がかかっているので、打ち込まれにくい。
今まで使っていなかった筋肉を使うので、筋疲労との闘いである。肩と上腕内側が、お灸とテーピングのせいで、痒くてしょうがない。
でも、だんだん筋力がついてきたみたいで、「ヒョロ」よりはマシになってきたみたい。やってみるものである。
回転をかけるためのラケット・ワークをあれこれ教わっているうちに、とんでもない盲点に気がついた。
フォアのストロークのときの、テイクバックのやり方が間違っていたのである。ちょっとした違いなのだけど、結果は大きな違いになる。
これは、私の責任?
私は先輩に言われたとおりにやっているのだから、気づかなかった先輩が悪い。
・・・なあ~んちゃって(笑)
昔、ある患者さんに、「鍼灸治療は、治療師と患者の二人三脚だね」と、感心されたことがあるんだけど、名言だね~。
今はもうかなりのベテランで、たいていのことを見通すことができるけど、それでもはじめての症例のときは、患者さんとの話し合いが不可欠だ。
患者が鍼灸師を育てるのだ。
テニスのコーチと生徒も、鍼灸治療と似ているな、と思った。弟子も育つが、師匠のほうも育っていく。
コーチに打ち方を教わっても、自分が練習しないと上達はしない。
鍼灸治療は、ハリともぐさを使って、「どうやったら治るか」を身体に教えるコーチなので、本人が動かないと治らない。
そういう点でも、似ている。
フォアのストロークも、フォームのマイナーチェンジをすることになり、得意だったはずのフォアが、ぜんぜん飛ばなくなった。
だから、ゲームで苦戦がつづいているが、新しいフォームを取り入れるためには、しばらく低迷するしかないね。
先輩は、「長年のクセだから、数年、数ヶ月はかかかるかもね」と言うが、そんなにかからない気がする。
だって、マイナーチェンジなんていつものことで、毎月のようにフォームを変えてきた。ラケットを振り抜くという全体的な動きは、ほとんど後退することなく、着実に身についてきているんだから、すぐにできそうな気がする。
なあ~んちゃって(笑)
「やろう」と思うことは、「できる」というのが私の信条。
「思う」ことは、潜在意識が「できる」と信じていることでもあるし、そもそも、やらなかったら、絶対にできるようにはならないのだから。
いつもあんずに驚嘆される、「究極ポジティブ・シンキング」で、がんばろう! |
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3/28(土) |
「バイエル1番」からのサーブ練習 |
映画「第9地区」のこと、「ぜんぜん感動しなかった。それに、ハッピー・エンドじゃなかったし」と言った人がいた。
私は、「えっ、ハッピー・エンドでしょ?」と、びっくり。
あんずに話したら、「つまり、エイリアン目線か、人間目線かの違いなんだよね」、という分析をした。
ピョン君にすすめられて、一緒に映画を見たけど、途中リタイアしたそうだ。
「最初からエイリアンがかわいくて、とくに子どもがかわいくて、ひどい目にあってるのがかわいそうすぎて、これ以上見れないと思ったんだ」そうである。
エイリアン目線で見る人にとっては、人間がひどいことしてると思う。
最後にヴィカスが、悪人どもを次から次へ殺戮するシーンに胸がスッとした。クリストファー親子が地球を立ち去ったときには、心の底からホッとした。
だから、ハッピーエンドと思う。
人間目線で見る人は、ヴィカスに感情移入するのだろうか?
一生懸命に働いて、美しい妻を手に入れた。責任者に抜擢され、意気揚々と仕事に出かけ、与えられた役割を果たそうとする。それなのに感染症に罹る。
エイリアンに変身していく過程で、殺されかかり、人間社会からしめ出され、孤独におちいる。築き上げてきたもののすべてを失う。
・・・なるほど・・・
私やあんずは、DNAがエイリアンに近いのかな?
妖精のような生き方にあこがれるし、地球上のあらゆる生き物に感情移入してしまう。人間のことも動物のことも、同じ重さに感じている。ヴェルは私たちにとって、まさに水平に、家族の1人だった。
人間目線で見る人は、DNAが100%人間なのだ。エイリアンが将来、地球を侵略しに来るんじゃないかと心配になる。
でも、この映画で、生き物を殺しまくったのは人間だけだ。獣のようなエイリアンは、無意味な殺戮はしなかった。仲間を救いには来るだろうけど、人間に復讐しようという発想はないと思う。
「人間らしい」は、良い意味で使われるけど、人間も含めたあらゆる生物にとって、「人間」ほど恐ろしいものはいない。
実は、獣のほうがマシな存在なのである。
テニスのサーブのことだけど、ついに、打ち方が分からなくなってしまった。
身体の各部の動きが統一され、一気にスムーズに打てれば、すごいサーブが飛んで行ったりもする。
でも、今は、パズルのピースがバラバラで、どうしても1枚の絵にならない。
このままじゃ、イップスになってしまいそう。「サーブ恐怖症」である。
2回ほどミックスをやった男の人に、「羽子板サーブでいいじゃないですか?女性同士なら、それで充分通用しますよ」と、何度も言われた。
そのおじさんは優しいから、ミックスのときは、女性のポッコンサーブを打ち込んだりしないで、優しいボールを返してあげるんだろうな・・・とぼんやり考えた。
でも、私は、そんなに優しくされたことがない気がする。ポッコン入れに行くと、バシッと打ち返され、これならダブルフォルトと同じだと思い知らされてきた。
スクールの5年目ぐらいかな、グリップを厚くして、サーブを打ってみた。
(それまでは、バドミントンと同じ、薄めのイースタングリップで、すべてのショットを打っていた)
ラケットの面を向けるだけで、サーブのコースを狙える。大発見と喜んで、スクールのコーチに言ったら、「みづさん、そんなサーブを打ったら、相手のチャンスボールになってしまいますよ」と、羽子板サーブを一瞬で却下された。
つまり、私は「男」に見えるらしい?
2年前から今の先輩に、サーブの指導をされた。まずはグリップチェンジ。イースタンよりも薄い、コンチネンタルに変えた。
サーブのフォームをマイナーチェンジしつづけて、ついにフルチェンジしたけど、まだ完成していない。
今取り組んでいるスライス・サーブは、1年半やっても、できるようにならない。身体の動きも、頭の中も、ぐっちゃぐちゃになってしまった。
ここで、あきらめるのか?
ひとりで練習していたときから計算すると、4年もがんばってきて、今さら、ポッコン羽子板サーブに日和るなんて納得できない。
そうだ、初歩からやり直そう、と心に決めた。
昔、保母(今は保育士)の国家試験を受けたことがある。保育実技はピアノのテストもある。バイエルは60番~70番ぐらいかな。
子どものころにピアノを習ったことはあるけど、すっかり忘れてしまった。いきなり70番を弾くのは難しすぎるから、「子供のバイエル・上」を買って、1番から練習をはじめた。
上の2人を保育園に送り届けたあと、生まれたばかりの娘をつれて児童館に行った。赤ちゃんを体操のマットの上に寝かせて、ピアノの練習をしたのだ。
小学生の女の子に、「へぇ~、まだこんなのやってるんだ。私なんか30番だよ~」とバカにされた。でも、数ヵ月後、その子に、「えっ、もうこんなに進んだの!」と尊敬された。(笑)
ついでに自慢するけど、東京都で保母試験に受かったんだよ~~
というわけで、先週から、身体を固定したまま、スライスに当てるラケットの振りだけを練習している。細部からの矯正である。ポッコンだけど、多少、回転もかかってきたし、ゲームのときもコートに入るようになった。
何時間もサーブをしているので、右肩~腕がメッチャ筋疲労している。毎日、自分でハリとお灸でメンテナンス。使うべき筋肉を使っているかの確認にもなる。
トスを上げる左肩~腕も、けっこう筋肉痛。実は、腕力だけではトスが上げられなかったので、ひざの屈伸を使っていた。この際、トスを腕だけで上げる練習もしているのである。
スライス・サーブが打てるようになったらいいのだけど・・・ |
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3/21(土) |
女子シングルス・オフを開催 |
6連チャン・テニスの5日目は、多摩川コートでの女子シングルス・オフだった。
今年は外の試合に出るのが目標である。
ダブルスに出るにはペアが必要だ。ペアの思惑が気になって、集中できずにカカシになる可能性もある。
まず、シングルスに出て、試合度胸をつけようと思った。
クラブはダブルスがメイン。シングルスをする女子はほとんどいない。何人かいるにはいるけど、レベルが高すぎて、練習をお願いするわけには行かない。
テニス・オフを利用して、シングルスの練習をしようと思ったのである。
朝の8時、ラリーをはじめてすぐ、左のでん部からハムストリングスに違和感があることに気がついた。左足で踏み込むとき、痛みでふんばれない。
サーブの軸足を(また)左足に変えたせいだと思う。
主催者なので、「お先にどうぞ」と2人にゆずって、更衣室でテーピングをした。とりあえず、ふんばっても痛みが出ない。
ゲームをはじめて、『あれ?勝ってる?』と驚いた。
ストロークは私のほうが、断然優っていた。でも、結局は、勝てない。シングルスに慣れてないから、当然なのであるが・・・
ダブルスのときは、決め球をアレーに打つ習性がある。シングルスコートだとアウトになるので、おっかなびっくりのショットになる。
練習中心でやってきたので、相手にボールを返す習性もある。試合では、「いないところ」に打たないと、なかなか決まらない。
シングルスは、前に出ると「負け」である。ベースラインに立っていれば、ほとんどのボールが取れるけど、前に出ると、ラケットの届かないオープンスペースがたくさんできてしまう。
私のストロークに押されて、短いボールが返ってくる。仕方ないから、前に出て、ボールを取るのだけど、どこに打っていいか分からない自分がいた。
あまり上手くないとはいえ、相手のほうが試合慣れしている。
私が仕方なしに、相手のいるほうに返すと、がら空きのコートに打たれてしまう。
後ろにいて、いいストロークを打ちつづけていれば、「負けにくい」。いつかは相手がミスしてくれる。
でも、コースを狙って打てないから、「勝ちにくい」。ダブルスで勝ちにくいのも、それが原因なのだと気づいた。
自分の欠点がよくわかって、これからの練習の目標ができた。
今の先輩に教わるようになって2年半たつのだけど、彼は、基本のショットの要求レベルが高い。
正しいフォームで、全身の力を使って打つ。それに全力を投じているので、コースを狙う余力がない。
これからは、「威力」を犠牲にして、「コース狙い」にエネルギーを注ごうと決めた。
翌日は、6連チャンの最終日だった。
朝、まだ、左でん部からハムの痛みがあったので、自分でハリを打って、カマヤミニをして、テーピングをして出かけた。
いつもの仲間たちは、4人、4人で揃っているので、とりあえず、壁に行こうと思ったら、向こうから上手なお姉さまが歩いてきた。
2人で空きコートを探しに行くと、先輩が男の人と2人で練習していた。他にコートがないので、隣でラリーをはじめた。
結局、ゲームをすることになった。「実力からいって」と、私と先輩が組むことになった。先輩は超厳しい。ゲーム中も私の指導をする。
中途半端に打つと、怒られる。「当てるだけのショットは打つな」「ボールをつぶすように打て」とうるさい。言われた通りに打つしかない。
あとから、考えた。
このタイミングで先輩とやるなんて、これは神様のサインかも・・・?
全力で打つのをやめたら、そのうち打てなくなるかも。全力で打ちつづけて、自分のモノになったら、おのずと余裕ができるのかも?
後ろで打つ「守り」のストロークは、今までどおりベースラインを狙って、深くて回転のかかった、威力のあるショットを全力で打つ。ストロークで押せれば、甘い球が返ってくる。
決めるときは、全力で叩き込まずに、余力を持ってコースを狙う。
そんなふうにしようと思う。
左でん部からハムの痛みは、テニスが終わったら治っていた!
6連チャンを無事にやり抜いたあとは、体力がついて、身体が軽くなった。宙を飛ぶように走れるし、ジャンプしても、思うように身体が動かせる。
やっぱり、身体って、使わないと衰えていくんだね。
よく患者さんにも言っているんだけど、いつも8割の力しか出さないと、いつの間にかそれが、その人の10割になる。だんだんに落ちていく。
いつも11割、12割の力を使っていれば、それがその人の10割になっていく。年齢に関係なく、そうやって、向上していける。
体力、知力、身体能力、包容力、すべてに言えることだ。
「ちょっと無理」をして、「惜しみなく」使うことが、自分のためになるのである。 |
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3/14(金) |
クラブの中に「ホーム」を見つけた |
去年、肉離れとねんざを併発し、今年に入ってすぐ、ぎっくり腰を2回もやった。
運の悪いことに木曜日の雨がつづき、ダメ押しで胃腸炎で1日寝込んだ。
そんなこんなで、体力の低下を痛感することになった。
上に来たボールをジャンプして取ろうとする。空中で身体を反転させるのだが、切れが悪くて間に合わない。
トイレに行くときに走ったら、身体が重い。今までなら、軽快に、空に浮かぶように走れたのに・・・
という訳で、失われた体力を取り戻そうと、せっせとテニスに通っている。
今週は水曜日からはじまって、来週の月曜日まで、6連チャンでテニスの予定が入っている。今日は中日である。
さすがに疲れを感じる。あまり無理をしすぎないように気をつけながら、ハリの助けも借りて、怪我のないように乗り切りたい。
今はちょうど花粉症のシーズンである。だいぶ軽くなったとはいえ、ときどき花粉に悩まされている。
大発見したのは、ストレスと花粉症が、あまりにもイコールだということ。
この間、人が少なくて、めったにやらないグループの女性たちとゲームをした。
かつて、いろいろあった人たちだけど、仲違いするのは大人気ない。揉め事をおこしたら、みんなに波及し、不協和音が生じてしまう。
過去は忘れることにして、いつもニコニコ、挨拶をかわし、雑談もして、表向きは普通のつきあいをしてきた。
ところが、ところが、ゲーム中に、どんどん集中力がなくなっていった。
絶え間のないほどの激しいくしゃみに襲われた。鼻水だらだらで、ティッシュを1箱使い果たした。目の痒みもひどくなった。
テニスのときは、マスクなしでもけっこう平気だったのに、である。
得意のフォアが飛ばなくなった。決めボールはほとんどミス。サーブの打ち方も忘れてしまった。ゲームを3つやって、3連敗だった。
そのあと、いつものメンバーのところに行ってみた。ちょうどゲームが終わったところで、もう4時を回っている。
「もうやらないよね?」と聞いたら、「もう無理だよ~」とのこと。隣のコートで1人でサーブ練習をはじめた。
そしたら、「みづちゃん、ゲームできるの?」と聞かれた。私をまじえて、もう1つ、やってくれることになった。
ゲーム中に、だんだん、フォアのストロークを思い出しはじめた。
調子が悪くなると、『こうかな、ああかな?』と、腕の使い方に注意が行ってしまい、足を動かすことを忘れてしまう。それが原因と気がついた。
サーブも最後、入るようになった。自分のテニスに集中できたのである。
もっと驚くべきことは、だんだん花粉症が沈静化していったことである。くしゃみの回数が減っていき、目の痒みもおさまっていった。
ストレスがかかって、雑念にとらわれると、花粉症が悪化するんだね!
飲み仲間が中心の、ゆるやかなグループなんだけど、いつの間にかそこが、私にとっての「ホーム」になっていた。
アウェイで崩した調子を、ホームで修正できたなんてすごい。
誰とでも、いろんな人とテニスをする私だけど、ついに「ホーム」を持つようになったのである。快挙!である。 |
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3/8(日) |
[映]第9地区 |
月曜日は丸1日寝込んでしまった。下痢と腹痛のせいなんだけど、疲れがたまっていたんだね。
ウィルス性なのか、細菌性なのかは分からないけど、魔物に身体を乗っ取られたみたいにエネルギー低下。自分が自分じゃなくなっていた。
二連チャンで飲み会をしたのがきっかけと思う。このところ胃腸が丈夫になったので、気がゆるんで、用心するのを忘れてた。
立ち上がると、お腹に重力がかかる。きりきりと痛む。歩くだけでお腹に響くので、テニスなんてとんでもなかった。
仕事がお休みなのでちょうどよかった。1日中こんこんと眠りつづけ、目が覚めたのはなんと夜、窓の外はまっ暗だった。
私の腸炎の治療法は、梅干とビオフェルミンである。梅干は腸内をアルカリ性にするので、(コレラ菌以外の)細菌やウィルスが、生き延びにくい環境を作る。
ビオフェルミンと糠漬けは善玉の乳酸菌。病原菌を退治してくれる、
『痛いな』と思ったら、お腹にカマヤミニでお灸をする。とりあえず、痛みがなくなる。また痛くなったらカマヤミニ。それを何回もくり返した。
押して痛いところには金粒を貼った。これが意外に効く。
昼間ずっと寝ていたのに、夜も眠くてたまらず熟睡。朝になったら、治っていた!
身体がすっきりして、エネルギーも満ちてきて、すっかりリフレッシュできた。
しばらく前から、『温泉に行きたいな・・・』などと、思っていた。
温泉でのんびりなんて、いつもなら絶対思わないから、そうとう疲れていたらしい。仕事が忙しくて、二連休を取るのが難しかったのだが・・・
結局、病気で寝込んで疲れを取る羽目になってしまった。一番もったいないパターンである。
カマヤミニをしながら、見直した映画が、「第9地区」である。
見るのは2回目なんだけど、ハラハラ、ドキドキのシーンがたくさんあって、そのたびに、キューンとお腹が痛くなる。腹痛のときに見る映画じゃなかったね。
数週間前、私が家に帰ったとき、ポプラがキモイ映画を見ていた。
「もうすぐ終わるから」と言われ、横に並んでぼんやり眺めた。「ババアも昔、一緒に見ただろ?」「絶対、一緒に見たよ」とポプラはくり返す。
まったく覚えがないという私に、映画の内容をあれこれ説明してくれた。ポプラは説明下手なので、聞けば聞くほど、わけがわからなくなった。でも、ドラクエを私にすすめたときみたいに、妙に「熱意」が伝わってくる。
しょうがないな。はじめからちゃんと見てみるかと思って、録画しておいたのである。
「第9地区」はSF映画である。国家が統制され、言論の自由がまったくないとき、宇宙人やよその惑星の話として、現実の社会を批判する・・・、そういうこともあるかな、と思う。
監督のニール・ブロムカンプは南アフリカ出身なんだって。だから、「アパルトヘイト」の問題が中心テーマになっている。
1982年。南アフリカ共和国、ヨハネスブルグの空の上に、宇宙船がやってきて、そのまま動かずにずっと留まっていた。
宇宙船の中に軍隊が突入し、飢え死に寸前のエイリアンたちを見つけた。彼らを保護、隔離するために作られたのが、第9地区である。
宇宙船の真下に作られた第9地区は、人々が密集する大都市のど真ん中にある。掘っ立て小屋に住み、獣のような暮らしをするエイリアンたちのおかげで、どんどんスラム化していき、近隣住民との小競り合いも絶えない。
MNU (Multi-National United) という超国家機関が、エイリアンたちを管理するために作られ、民間の軍隊も投入されていた。
28年後、エイリアンの居住区を、人里離れた場所、「第10地区」に移動させるプロジェクトがはじまり、ヴィカス(シャールト・コプリー)が責任者に抜擢される。
良い人間は1人も出てこない。悪人ばかりがゾロゾロ出てくる。
ヴィカスは野心家で、お調子者で、自己顕示欲が強くて、自分勝手な男で、登場した瞬間からすでにやな奴である。
傭兵部隊のクーバス大佐は、残忍な男で、「殺す」ことに喜びを感じているのがありありと伝わってくる。
エイリアン相手に商売をしている黒人のギャング団もいる。エイリアンは強力な武器を持っていて、人間の手には反応しない。武器を集め、エイリアンを食らって、彼らのパワーを自分のモノにしようとしている。
人間たちが、次から次へ、ささいな理由でエイリアンたちを殺す。バンバン銃が炸裂し、血と肉が飛び散る。
殺し、騙し、利用する、人間たちのやり口がおぞましい。
(見るに耐えない映像の連続に、ちょっとここで映画を見るのを小休止)
ザリガニと人間を合体させたような醜い姿。ゴムや生肉を食べ、卵で繁殖し、「エビ」と呼ばれて、さげすまれているエイリアン。
でも、突然、醜い姿のエイリアンが、美しく見えはじめる。
エイリアンを収容したあと、母船から、指令船が降りてきた。地中深く埋められ、上に建てた掘っ立て小屋に住む、クリストファーである。
艦長だったのだろうか?20年かかって、燃料を集めた。
その大切な黒い液体を、ヴィカスは押収し、うっかり液体を浴びてしまう。感染症にかかって、エイリアンに変身していくのである。
正義感、「人間」愛、同胞への思いやり、責任感を持つクリストファー。頭が良くて、コンピューターを操作し、修理をする技術屋でもある。
コンピューターを操作する子どもが、またかわいい。
変身を気づかれたヴィカスは、MNUに捕らえられ、実験材料にされ、生きながら臓器を抜き取られようとする。
なんとか逃げ出して、「宇宙船に帰れば治療できる」とクリストファーに言われ、行動を共にするけど、やっぱり彼を裏切る。ほんとうに、おぞましい男だ。
でも、突然に、ヴィカスは善人に変身する。
それはもしかして、人間よりもエイリアンのほうにDNAが傾いたからだろうか?
宇宙人という非現実的な題材でありながら、真のリアリティがあって、さまざまなメッセージが組み込まれている映画である。
おぞましさに耐えて、吐かずにがんばって最後まで見れれば、感動できること請け合いである。 |
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