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みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集) |
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症例19・寝違え
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症例19・寝違え |
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寝違えは筋肉のコリと冷えが原因 |
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ぎっくり首 |
私は寝違えのことを「ぎっくり首」と呼んでいます。
必ずしも、朝起きたときだけになっているとは限らないからです。
ぎっくり腰も寝違えも、どちらも筋炎、筋膜炎です。
背中に起こると「ぎっくり背中」、お尻に起こると「ぎっくり尻」です。
背中の肩甲骨の内側の深いところにある筋肉がぎっくり背中になると、首も動かせない、肩甲骨と関係しているので腕も動かせない、呼吸器筋と関係しているので息もできない、もちろん背中も動かせない、となるのでけっこう悲惨です。
下半身だけはなんとか動かせるけれど。
ぎっくり尻は1人だけ。骨盤から足への痛みのHさんです。
先月、再発か?と恐れおののいたけど、幸い一回で治りました。 |
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簡単なぎっくり首治療 |
東洋医学では、ギックリ首は、経絡に「寒」が入り込んで起こると言われています。朝起きたらなっていたということが多いので「寝違え」と呼ばれ、枕のせいにされたりします。でも、日中、動いているときにグググッと首が固まっていくこともあります。
身動きもままならないようなひどいぎっくり首でも、それまで一度もなったことがない、今回はじめて、というのであれば、割合簡単に治ります。
はじめに仰向けになってもらって経絡の調整をして、次にうつ伏せで全身治療。次に座ってもらって、首・肩から腕にかけて経絡上に点々と糸状灸をします。
最後に、子午流注に従って、反対側に銀粒を1個だけ貼ります。1回の治療で80パーセント改善されれば、次の日の朝には治ります。
幼稚園で折り紙を折っていたら突然首が動かせなくなった5歳の女の子は、片側の大腸経筋に糸状灸をしただけで、「あ、動く!」と、瞬間的に治りました。
かわいかったな~(^-^) |
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経絡治療の効果を実感 |
ある患者さんで、ベッドに横たわるのが非常に困難な人がいました。
いつも最後の経筋へのお灸で治るので、ベッドに座ってもらって肩から指先まで糸状灸をしました。でも、ちょっとしか良くなりません。
とりあえず、うつ伏せにはなれるようになったので、全身治療にプラスして、首・肩・背中を局所治療しました。でも、ちょっとしか良くなりません。
今度は、何とか仰向けにはなれるようになったので、経絡の調整をしたら、あっと驚く治療効果でした。
なるほど、経絡治療で70パーセントと思っていたのが立証されたなと思いました。その人はそれで60パーセントぐらい改善され、完治まで3回でした。 |
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慢性寝違えはやっかい |
何度もぎっくり首を繰り返し、ハタと気づいてみたら、何年も前から実は体ごとじゃないと振り向けなかった・・・という人がいます。
実は私がそうでした。
鍼学校の学生だった頃、治りかけの寝違えに寝違えが重なって、そういえば、何年も前から、車で道路に侵入するとき、どっちかは首を回せるけど、反対側は体ごとじゃないと安全確認ができなかったことを思い出しました。
今は治ってしまったので、どっちに振り向けなかったのか忘れてしまいましたが。
そのときは、自分で自分に毎日鍼を打って3ヶ月かかりました。
治る過程で、今度は首を傾けられない、今度は下が向けないという風に、次から次へと症状が移りました。
いったんきれいに治ってしまうと、また寝違えても、簡単な経絡治療ですぐにきれいに取れるようになります。 |
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時間はかかるけど、きれいに治る |
慢性の寝違えは、慢性の首・肩こりが原因です。こり固まった筋肉は血液が滞るので、冷えます。
人間は気候の変動におおいに影響を受けるので、急に寒くなったときなどに、冷え切った筋肉に「寒」が入り込んで起こるのです。
その後、開業して最初の慢性寝違えの人は、すっかりきれいに取れるまで週に2回の治療で半年かかりました。
症状が変化するたびに「今日はどっち?振り向けるほうを助けたい?下に向ける方を助けたい?」と聞き、「そうねえ、下を向けないと書類を書くのにつらいけど、子供に『センセー』と呼ばれたときに『なあに?』と振り向けるようにしたいな」、などという会話をしました。
保母さんだったのです。
そこまで急がなくても、週に1回もしくは隔週の治療でも大丈夫ですけど。 |
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Updated: 2003/7/18 |
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