dosei みづ鍼灸室 by 未津良子(症例集)
症例54・ふくらはぎ3(後脛骨筋)
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症例54・ふくらはぎ3(後脛骨筋)
テニスの試合でつる筋肉?
ふくらはぎに関するページ No.
1 腓腹筋とヒラメ筋(ふくらはぎの重要性) 52
2 神経麻痺による萎縮(神経性委縮の治療) 53
3 *後脛骨筋(テニスの試合でつる筋肉?) 54
4 地面をつかまえる筋肉(足指の屈曲)  57
筋肉の表
ふくらはぎの奥にあって、触診が難しい
日常生活で使うふくらはぎの筋肉は、主に腓腹筋()とヒラメ筋()です。
腓腹筋はひざの上からはじまるふっくらした筋肉です。
その下に薄べったいヒラメ筋があって、ひざの下からはじまっています。2つ合わせて「下腿三頭筋」といい、一緒にアキレス腱となって踵骨にくっついています。
(詳しくは、→症例52「ふくらはぎ(腓腹筋とヒラメ筋)」を参照してください)
腓腹筋
ヒラメ筋
下腿三頭筋=腓腹筋+ヒラメ筋
ふくらはぎには他にもいくつかの筋肉がありますが、ここで紹介する「後脛骨筋」は、下腿三頭筋の下にあって、体表から触診するのが難しい筋肉です。

ひざの下、脛骨の外寄りからはじまって、中央を通って、内果の下にもぐりこみ、かかとの底面と中足骨の底面にくっついています。
下腿三頭筋と同じく底屈(爪先立ち)と、プラス足の内反(足首を内側に)の働きをします。
後脛骨筋
下腿三頭筋+(下に)後脛骨筋
脛骨後面の外側、腓骨の内側面の上部、深横筋膜、隣接する筋間膜中隔、骨間膜の後面
(アキレス腱の下にもぐり、内果の後を通って)
足底のあちこち
後脛骨筋への鍼はスタンダードではない
毎回必ずふくらはぎの治療をしますが、うちの場合、後脛骨筋()の治療が必要な患者さんはそれほど多くはありません。

患者さんそれぞれ、ふくらはぎの形が異っています。
筋肉のつき方も筋力も、硬い部位もゆるみ具合も、人によってぜんぜん違います。
同じ人でも、日によって筋肉の状態が変化します。

ハリが怖い人もいますし、熱いのが苦手な人もいます。
日常生活を送れればいいのか、スポーツを楽しみたいのか、試合に勝ちたいのか・・・鍼灸治療を受ける目的も異なります。
ドーゼ(刺激量)と全体のバランスも考慮しなければなりません。

ですので、ふくらはぎの治療の場合、患者さんによってツボを取る位置も異なりますし、治療のやり方も異なります。
深い鍼を打たなくても、浅い鍼だけでOKの場合もありますし、点灸や透熱灸やカマヤミニを追加することもあります。
筋力ある人&アスリートのメンテナンスで
どこかの不具合を訴えて来院し、そのままメンテナンス治療をしている患者さんたちがいます。
週一か隔週で治療をすると、たいてい1年ぐらいで、あちこちの不具合がリセットされます。

ふくらはぎのメンテナンスで、治療に使っているツボがです。後脛骨筋と下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)の3つの筋肉が重なり合っている部位なのがわかります。
今回これらの画像を作って、驚きの発見をしました。臨床経験から選んだツボが、筋肉の走行に即していたのです。
さんざん試行錯誤して、感覚で選んだ結果が、解剖学と一致する・・・これは鍼灸治療の妙技でしょうね。

筋肉がしっかりついて、弾力もあって、他の不具合がない患者さんのふくらはぎは、の3本だけでメンテナンスができます。
筋肉の太さに応じて、しっかり深く打って置鍼します。
パルスをかけることもありますし、お灸を追加することもあります。
シングルスの試合で肉離れをおこした
2016年11月に左ひざ痛で来院したKさん(当時50歳、女性)は、1年ぐらいでシングルスの試合に出場できるようになりました。5年ぶりの復活でした。

2018年5月、シングルスの試合を3セットやったとのことで、疲れ果てて来院しました。
太ももやすねもパンパンに張っていましたし、爆弾を抱えている左ひざと左腰の治療に集中しました。

試合の後半、右のふくらはぎがつりそうになって、ビッコを引き引き歩いて帰ったそうでした。
でも、ふくらはぎにはそれほどの所見を感じられませんでした。図のXのラインが硬くなっていたので治療しました。
1週間後、右の足首に内出血が下りているのを発見してビックリ。後脛骨筋が肉離れを起こしたらしい、と気がつきました。

下腿三頭筋の下、奥深いところにある筋肉ですし、弾力を失ってヘタっていたので、前回は触診で見つけられなかったのです。

症例45:(筋肉の)つり、症例35:肉離れを参照してください>
後脛骨筋に集中治療
肉離れの発症から10日ぐらいたっていたので、ふくらはぎの奥で硬くなっている筋肉を探ることができました。
後脛骨筋()の端から端まで、深い鍼をズラリと打ち込み、そのあとお灸もやりました。
程度が軽かったらしく、すぐに治って、Kさんは翌週のダブルスで4勝できたそうです。

ほとんど毎日テニスをやって、ダブルスにシングルスにと、頻繁に試合に出ているわりに、Kさんのふくらはぎはあまりきれいな形ではありません。
現在のところ、筋肉のつき方もイマイチで、ゆるいところや、紐のように硬い繊維が混在しています。
「走れるようになった」とのことですが、まだ「走り切れていない」のかもしれませんし、ふくらはぎの使い方が下手なのかもしれませんね。

FAQ24:「正しい」歩き方とは?リカちゃんウォーク を参照してください>
テニスの試合でつる筋肉らしい
私の話ですが、この間の(→2019/7/10)シングルスで6試合やったあと、対戦相手の女性に、「足とか、つらないんですか?ふくらはぎとか・・・」と聞かれました。
私は「えっ?」と驚いて、「ふくらはぎがつったことなんか1回もないよ」と答えました。
(そのときは途中で左太ももを痛めてしまったのですが・・・)

テニスの試合で何戦も勝ち進み、「決勝戦でふくらはぎがつってリタイアした」という話をよく聞きます。それはたぶん後脛骨筋なんだろうな・・・と想像しています。

試合では全力を出します。普段のテニスではあまり使っていない筋肉たちまで総動員になります。
テニスはダッシュ&ストップをくり返すスポーツです。
「全力で走ってストップしてすぐに、地面を蹴りながら反対方向に戻る」動きで、後脛骨筋を酷使するのかもしれません。
アスリートのメンテナンスでは必須の治療部位ですね。
Updated: 2019/7/16