2006/6/11(日) |
スペイン旅行記④ タラゴナ |
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美術館や博物館などは月曜日は休館だ。それでタラゴナへ行くことにした。
タラゴナはバルセロナから日帰りで行ける。前にも行ってえらく感動したから、もう1度行ってみたいと思っていた。
田舎の静けさ。城壁に囲まれた旧市街。ローマ遺跡もある。海岸も美しい。地中海の回廊と呼ばれる場所から見る景色は絶景だ。
切符を買って、一番早い列車に乗り込んだら、鈍行だった。急行で1時間だけど、鈍行だとどれぐらいかかるのだろう?でも、急ぐ旅じゃなし、各駅停車でゆっくり行くのもいいかも?小さな駅やそこに住む人々を見ることもできるし・・・
でも、でも、とんだハプニングに見舞われた。
電車に乗るときは、周りの人に、『自分たちはタラゴナへ行くんだけど、あなたは?』とか、『降りる駅が来たら教えてね』とか、声をかけることにしている。
そうすれば、乗り間違えの心配もないし、降りるときには誰かが教えてくれる。
人の良さそうな太ったおばさんに話しかけた。
とたんに、早口でベラベラしゃべり始めたのだが、聞けば聞くほどなんのことやらさっぱり分からなくなる。電車を乗り換えなければいけないと言うのだ。
タラゴナ行きに乗ったはずなのに、何故???
どうやら車内放送があったらしいのだが、女4人で(日本語で)お喋りしているので、聞き逃してしまったらしい。
おばさんは、『あの子もタラゴナへ行くから、ついて行くといいよ』と、反対側の席を指差した。きれいな男の子が、恥ずかしげに微笑みながら、手を上げて合図をしてくれた。
次の鈍行でも車内放送があって、乗客がざわめきだした。みんなが、また別の電車に乗り換えなければならないと教えてくれた。2台の列車が、相ついで車両故障を起こしたのだ。
ホームに立って呆然としていると、おばさんがニコニコ笑って近づいてきて、『私と一緒にいらっしゃい。これからみんなで交渉に行くから』と言う。
ビラノバ駅の窓口の前では、大勢の人が『何とかしろ』と騒いでいる。
安全対策のためか、窓口はガラスで仕切られていて、『とにかく、2時間後に電車が来ます。それ以上のことはわかりません』と、マイクを通して聞こえてくる。
女の人が私たちの方へ近づいてきて、『タラゴナまでは20キロしかないから、タクシーに分乗したらどうかしら?』と提案してきた。
さっきのおばさんは、『私はタラゴナの先なので、電車を待つしかないけど、この人たちと5人乗せてくれるかどうか交渉してあげる』と言って、タクシー乗り場まで行って、値段なども聞いてくれた。
タクシーは4人乗りだから、結局、私たちだけで乗ることになった。
たぶん帰りに客を乗せてこれないので約9€の加算がついて、30€ぐらいでタラゴナに着いた。
旧市街のカテドラルも、ローマ遺跡(1世紀に建造された円形競技場)も、月曜休館で、中に入ることができなかった。城壁(BC3世紀建造)の上には「考古学の道」と呼ばれる遊歩道があるのだけど、今回は残念ながら、すべて外から眺めるだけ。
ローマ遺跡の横を通って、駐車場やトイレのある海岸に降りることができる。泳いでいる人も何人かいたけど、私たちは海に足をつけるだけにした。
地中海に、日頃溜まりに溜まった邪気を吸い取ってもらおう。すっきりして、いい気分。
水道橋(2世紀ごろに建設)までタクシーで行った。帰りはこれでタクシーを呼びなさいと、運転手に電話番号の書かれたカードを貰ったけれど、自分たちが「どの」入り口にいるのかが言えず、電話を切られてしまった。
タクシーを呼ぶためには、自分の居場所を正確に知らなければならないのだが、ガイドブックにはそんな細かいことまでは書かれていない。あせりまくった。
サイクリングの若者たちに教えてもらって、やっとタクシーを呼ぶことができた。
帰りは、運良く急行に乗れた。同席になったのは、にぎやかな4人組。
行きの鈍行が車両故障で、2回も乗り換えるはめになった話をしたら、大笑い。大うけだった。『この電車なら大丈夫』と請合ってくれた。
次からは急行を選ぼう、と心に誓った。
駅で切符を買うときには、まず i (información) で時刻表を貰う。それには、各駅の到着時間が書かれてある。できるだけ急行を選ぶ。
時刻表の、列車の種類、始発駅、終点を見て、駅の案内板で出発ホームを調べる。時刻表があれば、帰りもスムーズだ。
人は間違いをして理解が深くなるものだ。でも、ハプニングのおかげで、いろんな人たちに助けてもらって、かえって楽しかったかもなあ。
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2006/6/10(土) |
スペイン旅行記③ バルセロナ |
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バルセロナの第1日目は日曜日で、どこへ行っても人が多い。とはいえ、日本とは、「人の多さ」のレベルが違う。
ただし、原宿の竹下通り並みに混み合っているランブラス通り以外は、ということだけど。
まず、地下鉄でサグラダ・ファミリア教会へ。ガウディが設計し、何百年もかけて建設している、あの有名な教会だ。
2年半前と比べて建設が進んでいたのだろうか?・・・よくわからない。
リフトの前に行列ができていた。でも、意外と待たないんだよね。1度に数人ずつしか乗せないので、昇ってしまえばゆっくりできる。
あの高い塔の中には螺旋階段があって、ほとんどてっぺん近くまで登ることができる。下からは絶対に見えない高い塔の上の方まで、凝った細工や彫刻がしてあって、それを、塔に登ってみることができる・・・ってのがすごい。
塔からは、バルセロナ中が見渡せる。すばらしい景色だ。
バルセロナって、どこに行っても屋上に登れるんだよね。どうやら、スペイン人(バルセロナっ子?)は高いところが好きらしい。
モンジュイックの丘にまた行ったのだけど、楽しみにしていたゴンドラは、もう壊されていた。えんえんと長~いゴンドラに乗って、風に吹かれながら、バルセロナの町を見下ろす、あの醍醐味がもう味わえないのは残念だ。
モンジュイックの丘の頂上にある城(軍事博物館)の中では、軍隊がコンサートをしていた。
青空に響きわたる管弦楽の演奏。まるで天上世界に迷い込んだみたい。後ろで立って聞いていたら、招待席に座らせてくれた。
なにかのイベントだったらしいけど、「プレジデント」しか聞き取れなかった。博物館も屋上も閉鎖されていた。そこら中に、警備をしている軍人がいて、みんな礼儀正しくて親切で堂々としていてカッコイイのは何故?
日曜日って、スーパーマーケットも閉まっている。サンツ駅の売店でビールを買うと、1本1,65€なのに、スーパーで買うと0,43€なのだ。
ゴシック地区のカテドラルはミサの真っ最中で、ミサが見れてよかったけど、奥へは入れてもらえず、屋上も登れなかった。
今日は運がよかったのか悪かったのか?
でも、ちょうど、FCバルセロナが、また試合に勝って、町中をパレードしているのを見れたからなあ・・・運がよかった、ということにしておこう。 |
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2006/6/7(水) |
ロスト・イン・トランスレーション |
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ソフィア・コッポラ監督の映画「ロスト・イン・トランスレーション」を観た。
年配のハリウッドスター、ボブ(ビル・マーレイ)は、日本にCMの撮影のためにやってきて、だんなの仕事にくっついてきて同じホテルに泊まっていた若い女性、シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)と知り合う。
・・・「ふたりの淡い恋」などとも言われているが、たぶん、ソフィア・コッポラはファザコンだな・・・
2組の夫婦間のコミュニケーションのちぐはぐさかげんと、日本人とのコミュニケーションのちぐはぐさかげんが、すごいリアルに描かれている。
そのふたつが微妙にシンクロして、孤独感というか、手持ち無沙汰感が増幅し、ものすごい勢いで迫ってくる。
こんな風に、1本の映画の中に、複雑なテーマが織り込まれているってのが、名作ってことなんじゃないだろうか。
日本に住んでいる外人の疎外感をひしひしと感じてしまった。Translation は変換とか翻訳とか言う意味。日本人とのコミュニケーションの取れなさかげんを表現したネーミングだろうか。
日本人で、完璧に日本語のわかる私ですら、時々コミュニケーションの壁を感じる。それは、「相手が自分と同じことを知っているはず」、あるいは「同じことを思うはず」という前提のもとでしか、コミュニケーションを取れない人間が多すぎるからではないか?
スペインに行ってきたばかりだったので、ますますリアリティを感じさせられたのかもしれない。
スペインではこんな思いはしなかった。会う人会う人のほとんどが、本当にあけっぴろげで親切だったもの。言葉のわからない同行の人たちですらそう思った。
何か聞くと、一生懸命答えてくれる。下手なスペイン語を熱意を込めて聞いてくれる。間違った表現をすると言い直してくれる。言葉が通じなければ、身振り手振りで教えてくれ、思いっきりの笑顔で親愛の情を表現してくれる。
「私は私、あなたはあなた」のスペイン人気質のせいだと思う。「違うことを受け入れる」ことで始まる、暖かい心の交流があった。
スペイン旅行記はまだまだつづきます。 |
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2006/5/31(水) |
スペイン旅行記② 空港からホテルへ |
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アムステルダムからバルセロナへの飛行機の中で、隣に座ったスペイン人に話しかけられた。大柄な男性の隣には、大柄な奥さん。
二人とも、小さな座席にすっぽりとはまりこむように座っている。前の席の人達とグループで、オランダで行われた何かのイベントに行って来たらしい。
思い切って、何年ぶりかのスペイン語を頭の中で組み立てて、空港からサンツ駅へは電車かバスか、どっちで行くのが便利?と聞いてみた。
到着は夜になるので、空港からホテルまでタクシーで行くつもりではいた。
でも、荷物がでかいので、1台では乗リ切れないかもしれないし、私と一緒じゃない方の人達のことも心配だ。チップの計算も???よくわからない。
できれば、電車かバスを使いたい。
土地カンもできるし、安く上がる。
スペイン人のおじさんは、大きな身体をちょっとかがめて、『バスが便利だよ』と、乗り方を一生懸命説明してくれる。隣に座っている奥さんも、ニコニコと笑顔で、励ますようにうなづきながら、時々補足説明をしてくれる。
ひとしきりしゃべり終わった後で、前の席の人達にも、『この人達がサンツ駅に行くのだが、バスの方が便利だよね?』などと聞いてくれた。
すると、何人もが一斉に、ベラベラとしゃべりだした。どうやら、電車の方が絶対に便利と口々に言ってるらしい。
おじさんはまた私の方を向いて、『自分はバスの方が便利と思ったが、バスはカタルニア広場をまわるので遠回りになるそうだ。サンツ駅へは電車の方がいいとみんなが言っているから、そうした方がよさそうだ』と、すまなさそうに教えてくれた。
空港に着いたのは7時半だったけど、まだまだ充分明るい。バルセロナでは日が暮れるのが8時半過ぎなのだ。だったら電車にしようということになった。
ところがところが、空港の中でえらい時間のロス。
飛行機を降りて、荷物を受け取る場所はどこ?と警備員に聞いたら、そこの掲示板を見ろと言う。4人の目でしっかり見たはず。KLM
はターミナルBだって。標識に従って、えんえんと歩く。両側には免税店が続く。
やっとBの手荷物引渡し場にたどり着いてみると、KLM
の表示がない。職員に聞いたら、KLMはBでなくAだと言う。でも、そこには、来た道には戻れない一方通行の出口しかない。
Aに行くには、いったん出て、建物の外を歩いて、また入り直さなければならない。
ガラガラとスーツケースを押しながら、えんえんと歩いてターミナルAに入り、パスポートを見せて手荷物検査を受けて、荷物の受取所に行った。
そこは、私たちが飛行機を降りた場所のすぐそば。そうだよね。飛行機の着いた所に荷物だって着くのが普通。もっとも、自分たちがどっちのターミナルにいるのかも、ターミナルがいくつあるのかも、何も知らなかったのだから。
すでに人影はなく、私たち4人のスーツケースだけがぽつんと淋しげにまとめて置かれていた。
<結果的には、このときの空港ウォッチングが後で役に立った。プラット空港をすみからすみまで歩き回ったおかげで、帰りはめちゃくちゃスムーズだった。失敗は成功の母なり>
ターミナルAとBの間から、電車のプラットホームへつづく、長い屋根つきの歩道橋が出ている。
駅の切符売り場では、電車ではなくバスで行け、と駅員が言う。窓口の人と改札の人が、ふたりがかりで口々に、えらい早口でいろいろ説明してくれるのだが、どんどん訳がわからなくなる。
サンツ駅からまた電車を乗り継ぐのなら、電車の方がいいけど、降りてからが遠い。ホテルがサンツ駅の傍にあるのなら、バスの方が便利とか言っているらしいのだが。
『分かったか?』と聞かれ、『分からない』と答えると、肩をすくめながら、とにかく、この切符を買って、この機械で切符に打刻して、違う違う、ホームに入るんじゃなくて、外のバス停、あそこで待っていろ・・・
前のバスはちょうど発車したばかり。大きなスーツケースを持った人たちが次々に集まって来る。
夕暮れのバルセロナの大きな空を見ながら、普通の人々と一緒にバスを待っていると、バスで行くことが無謀な冒険のように思えていた私たちも、あたりまえのフツーのことをしているような気になってくる。
ウロウロ迷ったせいか、サンツ駅に着いた頃には真暗になっていて、でかい音を鳴り響かせてトランクをガラガラ引きずって歩くのは怖かった~。
あちこちで道を聞きながら、あせって道を急いだ。治安が悪いとさんざん脅かされていたからね~。
ホテルに着いたときにはヘトヘトで汗だく、ぐったり疲れていた。
次の朝、明るい陽の光の中で見たら、なんだ、駅からすぐだったんじゃん。スケボーやってたむろっている少年たちも、全然フツーの子だとあとから聞いた。
フツーの人がフツーに暮らしている町なんだ。
しかも、みんな、物言いは早口でぶっきらぼうだけど、すご~い親切なんだ。
耳寄り情報をひとつ。空港バスが便利だよ!
プラット空港からサンツ駅まで一直線だった。誰一人、途中で降りようとした人もなく、途中で停まる気配もなく。帰りもそう。まるで、始発~終点のようだった。6:00~23:00まで、20分に1本出ている。サンツ駅の空港バスの発着所は、普通のバスターミナルとは反対側だ。
空港バス(片道2.4€)も、地下鉄(1回の乗車が1.2€)も、バスも、共通の回数券、T-10(Tarjeta-10)というカードで乗れる。10回乗って6.65€、しかも数人で1枚を使うこともできる。これは便利で安いよ。 |
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2006/5/26(金) |
スペイン旅行記① 行ってきました! |
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5/6(土)~5/13(土)、6泊8日でスペインに行って来た。スリにも引ったくりにも遭わず、事故にも遭わず、無事に帰ってきたよ。
旅行は、フリープラン(個人旅行的パックツアー)で行った。バルセロナとグラナダを組み合わせたツアーはないかとか、ネットでいろいろ検索して、数社に問い合わせのメールを送ったところ、エス・ティー・ワールドの渋谷支社の桂井さんという女性(だけ)が、とても親切に返答してくれた。
とんでもなく面倒くさいお客だったと思う。
メールをやり取りしながら、それから調べ直して、「やっぱり、マジョルカ島と組み合わせたらどうか」とか、「移動は飛行機でなく、(例えば片道)高速船とかは可能か?」とか、「4人で泊まれるスタジオタイプのアパートメントホテルがあるらしいけど、そこにしたらいくらになる?」とか、あれこれ思いついては予定を変更し、彼女はそのたびに親切に見積りをしてくれた。
結局、大荷物を持っての移動は絶対にいやだ、ということに話がまとまり、バルセロナの同じホテルに6泊して、そこを拠点に汽車や飛行機で移動することにした。
だったら別にどの旅行会社でもやってることだけど、いろいろ相談に乗ってもらった会社にお願いしよう、ということになった。
結局、一番安かったんだけどね。
同じホテルに連泊すると、地理的感覚ができあがるので、絶対お薦め。ホテルの中で迷うこともなくなる。
今度のホテルは、H10 ITAKA という。ビジネスホテルみたいな所だが、新しくてとてもきれい。こじんまりしていて、静かで落ち着いた雰囲気。フロントの人(女性が多かった)もみんな親切だった。
スペイン語が通じにくい人もいて、英語で話しかけられたのはちょっと困ったけど・・・
場所はバルセロナのサンツ駅の近くだ。前に行ったときもサンツ駅の傍だったので、大体の位置は分かっていた。
サンツ駅は空港からも一直線だし、汽車での移動にはとても便利。駅の近くにスーパーがあるし。
ただ、まわりに美味しそうなバルとかが見当たらないのがちょっと残念。夕食を食べるのに、わざわざ地下鉄を使うことになるから。
とりあえず今回は、バルセロナとマジョルカ島に行く予定だった。
お天気のいい日を見計らって飛行機に乗り、リュックに水着と1泊分の着替えだけ入れて、ホテルにトランクを置いたまま、現地で泊まれるところを探す、のはずだったが・・・
だけど、向こうに行って、バルセロナに7年住んでいる人に聞いたら、「マジョルカ島は一泊じゃもったいないよ。それに、レンタカーとか借りないと、向こうに行ってから足がなくてつらいよ。だったら、カダケスがいいよ。すっごい景色がいいし、ビシバシ泳げるし、いいところだよ」とアドバイスされた。
カダケスは、今回どっちにしろ行こうかな・・・と思っていた町。前回行きそこなったフィゲーラスと組み合わせるとちょうどいいし。
グラナダはバルセロナから遠いので、組み合わせるのには無理がある。グラナダへ行くんなら、まっしぐらに南へ行って、どこかのホテルに連泊して、近辺の町や村を回る方がいい。
残念だが、マジョルカ島も今回はあきらめよう。1度に何もかも見てしまうと、次に行くときの楽しみがなくなるし・・・。
それで、今回は結局、バルセロナ、タラゴナ、カダケス&フィゲーラス、というパターンになった。 |
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日記 TOP |
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