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 症例31・腱鞘炎
 <厳密にいうと腱鞘炎じゃない場合もある>
ニックネームとしての「腱鞘炎」
大抵の人は、肘から先(前腕)のどこかの筋肉が、痛くなって動かしにくくなったときに、「腱鞘炎になった」と表現します。他に適当な呼び名がないので、ニックネームとして使わせてもらいます。
ここでは、肘、手首、指などの運動痛の症状と治療を取り上げます。
厳密な意味での腱鞘炎
腱鞘炎というのは、腱鞘が炎症を起こし、肥厚して滑りが悪くなり、動かすたびに痛みがでる状態のことです。
複数の骨を筋肉がつないで、筋肉が縮むことで関節を動かしています。筋肉は端が腱になって骨にくっついています。
ビーズと紐を想像してください。ビーズが鞘(腱鞘)で紐が腱です。筋肉が伸び縮みするたびに腱が動く、つまり、ビーズの穴の中を紐が滑ります。ビーズや紐が炎症を起こして分厚くなれば、滑りが悪くなって炎症が悪化します。
手の関節には腱鞘がたくさんあります。バネ指(母指の付け根)や、手根管症候群、狭窄性腱鞘炎(デ・ケルバイン病)が有名です。肩にも腱鞘があり、上腕二頭筋長頭腱炎などを起こします。
筋肉の「腱鞘炎」のうちに治療すべし
「腱鞘炎」が起こって、それほど日数がたっていない場合は、鍼灸で治ります。痛みが筋肉に起こっているうちは、筋肉に鍼灸をして、炎症を鎮め、血行をよくすればいいのです。老廃物が取り除かれると、どんどん新しい血液が流れ込みます。鍼灸には身体を教育する力があり、効果が数日にわたってつづくので、どんどん治っていきます。
病が古くなって、腱に炎症が起こっている場合は、本当に治療困難です。患者さんには「治らないかもしれませんよ」と言ってしまいます。
筋肉なら、みずみずしく、中に血管も通っています。骨の近くの腱(鶏のささ身の紐を思い出してください)に痛みが起こってしまっている場合は、血流が少ないので、治療効果も数時間で消えてしまいます。自分でも毎日お灸をする必要があります。
通院だけで治す場合は、毎日とか一日おきとかの頻度で来てもらいます。週1回は全身治療、残りの日は局所だけの治療、というパターンにすることもあります。古い「腱鞘炎」は、かなりの日数がかかると覚悟をしてください。
1997年、Yさん(当時38歳)はバネ指で来院しました。原因がわからないと言っていたのですが、よーく思い出してみると、発症の数日前に階段で滑って転げ落ちそうになり、慌てて手すりにつかまったそうです。その時に、無意識のうちに指に過負荷がかかって、数日後にバネ指として発症したのだと思います。
初回は全身治療をしました。日頃の肩こりの他、落っこちかけたときに、全身が過緊張したせいで、あちこち相当凝っていました。バネ指の治療は、まず糸状灸で炎症を取り、腫れた腱鞘に鍼を深く刺し、置鍼しました。井穴(少商)から邪気も抜きました。次の回からは、透熱灸などの治療も加え、6回目には反対側治療もしました。10日間、7回の治療で完治しました。
2004年にも、うちの患者さんが旅行中の妹さん(Aさん、56歳)を連れた来たことがあります。Aさんは、ドライバーを使ってから、だんだん痛くなってきたそうです。2日続けて治療したあと沖縄に帰りました。お姉さんからの情報によると、鍼灸が気に入ったとのことで、現在は近くの鍼灸院に通っているそうです。ただ、バネ指に関しては、結局治らず、反対側の手もバネ指になり、両方とも手術したそうです。
私が診た数人のバネ指の患者さんは、かなり早く治ったのに、Aさんが治らなかったのは何故でしょう。Aさんは、母指のバネ指以外にも、他の場所にも腱鞘炎が起こっていました。疲労の蓄積と関係する、慢性的に進行するバネ指があるのかもしれません。
開業前に病院でお勤めをしていたときのことです。事務の女性(Mさん、当時27歳)に、肩から腕がパンパンに腫れて、痛くて痛くて夜も眠れないので鍼を打って欲しいと頼まれました。
レントゲンと血液検査では異常なし。痛み止めの注射も薬も、睡眠薬も効かなかったそうです。医師の診断は「後骨間神経麻痺」でしたが、麻痺はなく、痛みで動かせなかっただけでした。発症して1ヵ月後にとったMRIでは、原因は見つけられなかったのですが、「肘の関節包に溜まっている水と同じものが肘の下のほうにも溜まっている」と言われたそうです。
鍼灸をして、みるみる腫れが引き、1週間で痛み止めがいらなくなりました。順調に快復していたのですが、回内(肘を固定したまま手首を内側にひねる)ができません。前腕の内側、肘の近くの骨と骨の間に硬いものがあって、そこで引っかかっているようでした。痛みはなくなっていたのですが、邪魔になっていたのです。
Mさんは、もう1度レントゲンを撮ってもらうことに決めました。MRIから2ヶ月半たっていました。首から肩から腕から、20枚ぐらい撮ったそうですが、腕に良性腫瘍(カルシウムの塊)が見つかり、手術で取ることにしたそうです。
石灰化の原因は?
筋肉の石灰化の原因は不明ですが、私としては、血行不良が原因のような気がします。< 後縦靭帯骨化症
初めからカルシウムの塊があったとすれば、レントゲンやMRIで、どうして見つけられなかったのでしょうか?レントゲンなら、写す角度の関係で、骨に隠れて見つけられなかったというのはありえますが、MRIはどうなんでしょう。角度の関係?それとも、大量の水が溜まっていたために、見えにくかったとか?
組織が炎症を起こすと、炎症反応として滲出液が出ます。カルシウムの塊が炎症を起こし、滲出液がでて、血流が阻害され、パンパンに腫れていったために激しい痛みが出たと私は思うのですが。
それとも、その滲出液が石灰化したのでしょうか?もともとが、MRIで見えないほどの小さなカルシウムの芽のようなものだったと仮定して、滲出液がそのせいだったとすれば、鍼灸治療をしていた間にも巨大化し続けたことになります。すでに、腫れも引き、血流も改善されていたわけだから、血行不良が原因という私の仮説は、間違いと言うことになります。
この問題については、FAQ 11 「筋肉の石灰化の原因は?」で、考察を深めたいと思います。
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Updated: 2005/9/24