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 症例23・腕が上がらない・改
 <まず、鍼灸をやってみる>
筋疲労が原因のこともある
「急に腕が上がらなくなった」という経験をしたことがありますか?
原因のひとつに、筋疲労の蓄積があります。腕にいきなり大きな負荷がかかった後など、疲労が臨界を越えたときによく起こります。
自覚のない患者さんでも、よく聞いてみると、「階段から滑り落ちそうになって、慌てて手すりにつかまった」とか、「ものすごく重いものを無理して持ち上げた」など、きっかけになったアクシデントを思い出してくれます。
一気に筋肉に過負荷がかかって、肩や腕の筋肉が急激に疲労し、自力では上げられなくなってしまうのです。
自分の力では上げられないけれど、誰かに腕を持って上げてもらえば痛みなく上げられるのが特徴です。機能的疾患なので、大抵1回の治療で治ります。
精神的ショックが引き金に
1994年1月に来院したUさん(当時53歳、女性)は、2・3日前、ご主人が職場で倒れ、救急車で入院したと連絡を受け、そのショックで左腕が上がらなくなったそうです。「きっかけは?」と尋ねても、パニック状態だったので、まったく覚えていないとのことでした。
左腕を前に持ち上げようとしても、ほとんど動かせませんが、手伝ってあげると90度まで上げられます。それ以上だと痛みがでました。
年齢相応の歪みにプラスして、緊張感で全身バリバリでした。使えなくなった筋肉をかばったせいで、左肩から腕まで、いろんな筋肉が凝っています。右腕にも相当な疲労が溜まっていました。
経絡治療を中心に全身のバランスを調整し、あらかたの凝りを取って、まず疲労回復をはかります。身体が軽くなると、気持ちも楽になります。
お灸だけでもかなりの効果がある
ひと通りの治療をしたあと、残った患部に集中治療をします。
上腕二頭筋と三角筋に糸状灸や透熱灸をしました。手伝ってあげると180度までOKになりました。自力では90度までで、もっと上にとがんばると、今度は肩のうしろのほうに痛みが出ました。
痛みの出る筋肉を探し出して、次々にお灸をしました。かなり改善され、翌日には普通に腕が上げられるようになったそうです。
Uさんの年齢だと、不具合をそのまま放っておくと、肩全体に障害が波及する可能性があります。「五十肩」になってしまったら、とても厄介なことになります。すぐに治療して正解でした。
痛めた筋肉を探し出すのがコツ
筋肉の疲労や痛みが原因の場合は、障害筋肉を見つけられれば、治療は簡単です。
腕を上げる筋肉は肩関節に関係しています。肩の上から、前から、後ろから、様々な筋肉が上腕につながっています。上腕を動かすためには、肩甲骨からつながっている筋肉たちとの共同作業も必要です。
痛みの部位と、動作と痛みの関係から、どの筋肉の障害かを探します。障害のある筋肉は硬くなっているので、触診で見つけましょう。
日数がたつと、そこをかばっていろいろな筋肉に過負荷がかかり、あちこちに不具合が出ていることがあります。
「あとから悪くなったところから、先に治る」ので、何回か治療をして、やっとはじめに痛めた筋肉が分かることもあります。
筋肉に沿ってずらりと置鍼
テニスが趣味のSさんは、昔よく上腕三頭筋を痛めました。痛いときの格好をしてもらって、その筋肉を浮き上がらせてハリを打ちます。
床に坐ってもらい、ベッドの上に腕を上げたままの状態で、ずらりとハリを刺し、5分ほど置鍼をしました。
上腕三頭筋の内側なら、仰向けに寝てもらい、ミロのビーナスのように片腕を伸ばしてもらいます。硬くなっている筋肉に沿ってずらりとハリを並べて打ちます。
しこりが残っていたら、透熱灸を追加します。病が若ければ、カマヤミニでもかなりの効果があります。
すぐの治療なら、たいてい1回で治ってしまいます。
ピクリとも変化しなかった人
2009年2月に来院したKさん(当時60歳、男性)は、1ヶ月前、ゴルフでハードな練習をした翌朝目覚めたら、右腕が重くて、上げられなくなっていたそうです。
来院の1週間前ぐらいから、すこしづつ力が入るようにはなったものの、ボタンを留める、歯磨き、箸の上げ下げなど、右手が思うように動かせないとのことでした。
痛みはまったくなく、手伝ってあげれば、可動域に問題はありません。自力では、手のひらを上に向けて上げると100度ぐらい、下に向けると、ひじが90度に曲がって、まっすぐ伸びません。
肩につながる筋肉に治療をしたのですが、まったく変化が起こりませんでした。ある位置から上には、ピクリとも動かせません。
Kさんは、鍼灸では治らないと判断したようです。
運動神経麻痺が原因だった
Kさんは千葉県在住なので、来院は1回だけで、その後の経過はメールで教えてもらいました。
何ヶ所かの整形外科で検査を受けたあと、最後の神経内科でMRIの画像で、頚椎の5番6番のあたりで、右の神経が左より少し細くなっていること。筋力を比較し、感覚神経の状態を調べて、C5の運動神経のみが侵害されているらしいと言われたそうです。
頚椎由来なら、頚椎症の運動神経版ということになりますが、現実的には、どこで神経が絞約されたかを判別するのは難しいです。
Kさんは、手術などの治療はせずに、リハビリを行って、3月の終わりに、右肩が上げられるようになったそうです。
神経経路のすべてに治療をする
筋肉の運動は脳が指令をだしています。脳細胞から伸びた神経線維は、脊髄をとおり、脊柱の間を抜けて、目的の筋肉につながっています。
脳や脊髄(中枢神経)に問題がある場合はお手上げですが、末梢神経なら鍼灸で治療ができます。
Kさんの治療をするとしたら、本を広げて、動作と筋肉の関係をひとつひとつ確かめなければなりません。どの神経が傷害されたのかを、見つけるだけでもかなり大変です。
神経の治療の難しいところは、動けなくなった筋肉と、神経が侵害された部位との、両方を治療しなければならない点です。
頚椎のC5、C6からは腕神経叢が出て、腕の筋肉に向かって走行しますが、その経路のどこで侵害されたのか・・・?
頚椎周辺から、障害筋肉まで、神経の走行に沿って、片っ端から治療をしてみることになるので、ものすご~く大変です。
早い治療とリハビリが重要
筋肉の障害なのか、神経の障害なのか、治療をしての治り具合で判別できます。筋疲労なら、治療直後にかなり改善され、日を追うごとに良くなっていきます。「おかしいな?」と思ったら、とりあえず治療をしてみましょう。
神経はあまり長い間侵害されると、変性を起こしてしまいます。いったん変性したら、2度と元通りにはなりません。その場合は、半年かけて5割ぐらい、1年で7割ぐらいがマックスかな・・・という感じです
完治するかどうかは、発症時点から治療開始までの日数が、おおきく関わっています。
「自分で動かす」リハビリも重要です。どこまで回復するかは、患者さん本人がどれだけがんばってリハビリをしたか・・・の努力の程度と関連しているようです。がんばってくださいね!
 → 運動神経麻痺に関する症例
症例2 顔面神経麻痺(ベル麻痺) 症例53 ふくらはぎ(神経麻痺による萎縮)
症例23 腕が上がらない・改 症例56 足先が上げにくい(脛の神経麻痺)
症例46 手根管症候群
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Updated: 2017/8/29<初版 2003/8/22