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 症例27・めまい 1・改
 <メニエール&突発性難聴>
めまいをテーマに分厚い本が一冊書ける
めまい(眩暈、目眩)には様々のタイプがあります。原因も様々です。以前、めまいのことを調べようと、本を探してみたことがあります。「めまい」という題のものすごい分厚い本を見てびっくり。読むのをやめました。
めまいを主訴として鍼灸院に訪れる人は、いろいろな病院を渡り歩き、ありとあらゆる検査をして、原因も不明、治療法も不明で、最後の頼みの綱として鍼灸治療を受けに来る人です。なるほど、こういうことなのか・・・と妙に納得しました。
原因の究明は西洋医学のお医者さんにお任せして、治療法の探求に専念することにしました。
病状いろいろ、原因もいろいろ、様々なタイプの「めまい」があります。軽くなるにしろ、悪化するにしろ、鍼灸治療でちょっとでもめまいが変化すれば、鍼灸で治る可能性があります。
改訂版では、まず、私自身のめまいの体験からお話します。
耳が「ボワ~ン」からはじまった
2007年2月のことでした。土曜の夜、友人と電話をしていたときのこと。トンネルの中にいるみたいに、音が反響していることに気がつきました。(私のブログ→2007/2/24
耳がボワーンとした感じで、音が聞こえにくいような、逆にびんびん響くような、耳に水が入ったときのような、妙な感じです。そのまま友人の家に行き、夜中までお喋りしましたが、耳の違和感はつづいていました。
左耳がふさがったような感じだったので、耳垢がたまっているのかな?と思ったのですが、耳掃除をしても状態は変わりません。
日曜日、仕事の合間にベッドの上で経絡治療をしてみました。よく「めまい」に使った耳のツボに銀粒を貼ってみました。
その次の日、月曜日でお休みだったので、耳まわりを中心に鍼を打ったりしながら、一日のんびり過ごしました。でも「耳ボワ~ン」は変わりませんでした。
3日目の朝、激しいめまいと吐き気
火曜日の昼ごろ、目覚めて起き上がろうとしたら、グラリと大きくめまいが起こり、同時にものすごい吐き気におそわれました。
ちょっと顔を横に向けようとしただけで、大きなゴンドラで揺られたみたいに、グラ~リと世界が回り、そしてオェ~ッと吐き気がくるのです。顔も動かせないし、手も動かせません。患者さんに電話をしようと思いましたが、そっちを見ることもできません。目を動かすこともできないのです。
動かなければ、めまいも吐き気も来ません。天井を見ながら、あれこれ考えました。
今までさんざん「めまい」の治療をしてきたので、私も治るはず・・・と信じるしかありません。患者さんの予約は幸いに夕方からでした。
昔治療した男の子が、「めまいが起こったら、ただじっと寝ているしかない」と言ったのを思い出し、『つまり、寝ていればおさまるのかな・・・?』と、そのまままた眠り込みました。
はじめての予約のキャンセル
数時間眠ったあと、めまいも吐き気もおさまって、動けるようになっていました。
起きて、まず、治療道具を取りに行き、耳の周りのツボに銀粒を貼りました。指で押すと、ボワーンがひどくなるポイントがいくつかありました。吐き気止めに、内関と公孫にも銀粒を貼りました。
めまいと吐き気は治まったけど、なんだかふらふらする感じです。とても仕事をする自信はなく、患者さんにはキャンセルさせてもらいました。
約束にはこだわる性質なので、こちらからのキャンセルは開業以来はじめてでした。こんなんでこの先、仕事がつづけられるのかどうか、不安でたまらなくなりました。
4日目、聴覚神経障害を発見された
水曜日の朝、とりあえず、あのひどいめまいは襲ってきませんでした。大丈夫かな?と心配でしたが、仕事に支障はありませんでした。
空き時間にすぐ近くの耳鼻科へ行きました。「聴覚検査をしましょう」と、白いブースに入って検査を受けました。なんと、聴覚障害があったのです。左耳の聞こえが悪いそうで、特に低音と高音に問題があったそうです。
優しい女医さんが、「鼓膜など耳の中はきれいだから、神経の問題だと思います。大きな病院へ行って、徹底的に調べてもらって、MRIとか西洋医学的処置も、できることは何でもしたほうがいいですよ。ステロイドとかも・・・」と、気の毒そうに言いました。
私が鍼をしていること、薬が嫌いなことを覚えていてくれてたのでした。
メニエールか突発性難聴の疑い
「神経の障害」と聞いて、大きなショックを受けました。神経は長い間侵害されると変性を起こし、もう元には戻りません。このまま聴覚障害が残るかもしれません。
病名は?とききました。もしも、再発したら「メニエールの初発」だったということになる、もしくは突発性難聴が考えられる、とのことでした。
女医さんに、「風邪をひいた、ストレスが多い、疲れすぎてる、この3つのうちのどれかに思い当たることがありますか?」と聞かれたのですが、3つともありました。1月に風邪をひいたし、疲れ果てていたし、ものすごいストレスもありました。
患者さんが帰ったあと、ベッドに横たわって、自分で簡単な経絡治療をしました。耳の周りにもたくさん鍼を打ちました。鍼を打ったまま、眠り込んでしまったから、睡眠不足でもあったらしいです。
大学病院に行ってみたら
次の日は、めまいは起こりませんでしたが、なんとなく「ふわふわ」感がありました。紹介状を持って、慈恵医大(第三病院)に行きました。
診察室に呼ばれて、いきなり医師が、「自分で鍼で治療できるんじゃないんですか!」 「今回は、西洋医学的治療をすべて受けようと、決心してきたわけですか!」 「具合が悪くなったのをずーっとそのままにしておいて、それで、どうしようもなくなってから、西洋医学に来たんですか!」
などなど、のっけから戦闘態勢でたたみかけてくるのです。鍼にはそうとう恨みがあるようです。待合室には患者さんがいっぱいだし、お手上げのめまいがたくさんあるし、医師もそうとうストレスがたまっているんだろうな・・・、と同情しました。
こっちは具合悪くて意気消沈しているので、「めまいが起こったのが火曜日で、火曜の午後は耳鼻科がお休みなので、水曜に行って、そしたら、こちらへ伺うようにと紹介状をいただいて、今日(木曜)来たんですけど・・・」と淡々と答えたら、少し反省したようです。
5日目、聴覚障害は治っていた
「まず聴覚検査をしてください」と言われたのですが、狭いブースの中で集中力を保つのが大変でした。『昨日より悪化しているに違いない』と恐れおののきました。
検査が終わって、診察室に呼ばれて行ったら、医師があせりまくっていました。さっきとは別人のようです。「ちょっと、ちょっと」と、私を机に手招きしました。
「ちょっとこれを見て下さい」と検査結果を見せられました。「ほら、これが昨日の検査の結果で、こっちが今日の結果なんですけど、ほら、これ、ほとんど正常ですよね。治ってますよ!何でですか?」と聞かれました。
「え~と、今日はちょっと耳の具合がいい感じなんですよ」と答える。昨日までなかったふわふわ感はあるけれど、耳のボワ~ンはマシになっていました。
「何でですか?」ときかれても、「自分であれこれやりましたけど」としか答えられません。
診断名は「感音性難聴」とのこと
「私の病名は何ですか?」ときいたら、「繰り返したら、メニエールの初発だった、ということになります」とのこと。私が「突発性難聴じゃないんですか?」ときくと、「突発性難聴なら、1日で聴覚が戻ることはありえません」と、きっぱり言われました。(正確に言えば、ボワ~ンは4日間続いたのですが)
病名をつけるとしたら、「低音障害型感音性難聴」ということになるそうです。
医師は立ち上がって、カレンダーをめくりながら「次回の予約は・・・」と言いかけましたが、茫然自失の状態。「では、このまま様子をみて、また何かありましたら○○耳鼻科さんに行ってもらって、また紹介状を書いてもらってください」と言われました。
結局、MRIなど撮ることもなく、めまいの薬だけ買って帰りました。「薬を飲んでも効かない」という話を山と聞いていたのですが、それでも薬を買ってしまうほど不安に駆られていたのです。結局飲まずに捨てました。
ふわふわ感は4日ほど続いてから消えました。発症から1週間でした。(私のブログ→2007/3/14
その後も、毎年その時期になると、なんとなく「ふわふわ」するような感じになったのですが、数年後にはそれもなくなりました。
鍼灸治療が効いたらしい
実は、同じ症状の患者さんを治療したことがありました。首・肩こりが来院のきっかけで、全身バリバリで喘息もあったSさんですが、2005年5月(当時39歳)、「2・3日前から耳がボワ~ンとなってて、聞こえにくい」という症状がありました。
「突発性難聴になった友人がいて、いまだに難聴で苦しんでいるので心配だ」とのことでした。私は「首・肩こりのせいだよ」と軽くいなしたそうです。カルテを見ると、いつもの治療の他に耳まわりの鍼などを加えてあります。
Sさんは、翌日激しいめまいに襲われて、1日寝込んだそうです。耳もボワ~ンからドワ~ンに増悪したそうですが、次の日にはすっきり治ったそうです。
私の場合も、「1日で聴覚が戻った」ということではなく、その前にした鍼の瞑眩反応で「1日だけ激しいめまいがおこった」ということだったのかもしれません。
メニエールだけでなく、突発性難聴にも鍼灸が効きそうです。Sさんも私も、以後12年間、めまいとも難聴とも無縁です。
メニエールは鍼で治せる
メニエールの特徴は、「めまい、耳鳴り、難聴」と言われています。メニエールのめまいは動作時にあらわれ、じっと動かなければおこりません。動こうとしたとたん、ぐるりと世界が回るような回転性のめまいがおこるのが特徴です。吐き気も伴います。
経絡治療で全身のバランスを整えながら、ちいさな不具合を治療します。首や肩のこりを中心に、あちこちのこりをほぐします。
耳の周りには寸3の1番鍼(つまりきわめて細いハリ)を数本、しばらく置鍼します。必要に応じて、単刺でこりを取りのぞきます。
耳のツボで使うのは、主に聴覚ポイントとメニエールポイントで、そこに銀粒を貼ります。
メニエール持ちの患者さんは何人もいました。「全員が治った」と思い込んでいたのですが、めまいの発作がおこったときに治療したわけではないので、その後再発があったのかどうか、報告のない患者さんのその後はわかりません。
神経の病は変性を起こす前に治療しよう
神経線維は圧迫や侵害が長くつづくと変性を起こします。そうなると、もう完全治癒は難しくなります。「長期間」とはどのぐらいの期間を示すのでしょう?1ヶ月、それとも3ヶ月でしょうか?半年以上たったら100%に戻らないのは確かです。
長年「耳の聞こえが悪かった」患者さんでは、あまり改善が見られませんでした。手足の神経麻痺や顔面神経麻痺と違って、耳の神経に直接鍼を刺せないので、治療が難しいからです。
ひざ痛が主訴で、1年間毎週治療していた患者さんが、ある日、顎関節症になりました。その翌日に聴覚検査を受けたところ、数値が改善されていたそうです。顎関節の周囲にたくさん治療をしたおかげでは?というメールが来ましたが、それ以後は来院していません。今は年賀状のやり取りだけですが、いつか聞いてみようと思います。
首・肩こりとめまいの関係
上述のSさんも私も、若い頃から首・肩こりには悩まされてきました。
めまいを主訴として来院する患者さんは、全員、頑固な首・肩こりを抱えていました。首肩がほぐれるにつれて、めまいが改善されていくことがほとんどなので、おおいに関連がありそうです。
でも首の治療はとても難しいのです。首にいくら鍼を打ったところで治りません。14ある経絡のすべてが首を通っているので、経絡のバランスを調整する必要があります。
治療に失敗すると、ムチウチのようになって、患者さんにえもいわれぬ苦しみを味あわせることになるので、首へのハリをいやがる鍼灸師が多いと聞いています。ちゃんと治療をしてくれる鍼灸師を探しましょう。
次ページでは、これまで私が治療してきた、いろいろな種類のめまいについて言及していきたいと思います。
2ページ目へつづく
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Updated: 2019/4/24 <初版 2004/7/20