症例47・ねんざ(足首) 2
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<ねんざの症例>
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軽症のねんざ
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あまりに多くのねんざを治療したので、誰の症例にしようかな?
とび職のKさん(当時24歳、男性)は、仕事中に現場で足を踏み外し、右足の外果(外くるぶし)をねんざしました。外果の下・前方、ツボで言えば、丘墟(キュウキョ)のあたりで、最も典型的な部位です。
その日の夕方、びっこを引き引き、慌てて治療に来ました。浅いハリ→糸状灸→深いハリ→透熱灸の順に治療をし、テーピングもしました。右胆経の病なので、左手心経の通里あたりに銀粒を貼りました。
「歩いてみて」と言ったら、「あれ、痛くない?」とのこと。3日後には治ったそうです。軽症のねんざは、たいてい1週間以内に治ります。
<テーピングの例は「ねんざ・1」で紹介しています> |
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大工の親方Hさんは腰痛持ちのうえ、よく怪我をする人でした。1994年2月、仕事中に足をねんざして、すぐ来院。治療後、「ジンジンする痛みは取れたが、足をつけられない」と帰っていきました。でも、翌朝、すっかり治ったそうです。
1998年3月、前々日にねんざをしたと来院。病院に行く前に、とりあえず鍼灸という人でした。
痛みはもちろん、腫れもひどく、内出血もあって、「ほんとにねんざかな?」と疑いながら治療をしました。第4中足骨、ツボで言えば京骨のあたりに、強い痛みがありました。5日つづけて治療をしたのですが、翌日になるとまた、痛みと腫れが戻っています。
ついに、病院でレントゲンを撮ってもらいました。「ヒビが入ってたって言われて、ギブス巻かれちゃったよ」と電話がかかってきました。
ギブスが取れたあと、全身バリバリになって来院しました。ヒビは治ったとはいえ、京骨の痛みと違和感が残っていたので、透熱灸で治療しました。 |
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2000年、Yさん(当時35歳、女性)は、赤ちゃんを抱いて階段を下りているとき、足を踏み外しました。赤ちゃんを守るために変な転び方をし、ひどい捻挫をしてしまいました。すぐに整形外科でレントゲンを撮ってもらい、骨には異常がないと言われたそうで、翌日に来院しました。
あんなひどい捻挫を見たのは初めてでした。右足首から下がパンパンに腫上がり、内出血で、足の先まで紫色になっていました。痛みも激しく、一睡もできなかったそうです。
Hさんのヒビよりもひどい状態に、「本当に、骨は大丈夫なの?」と何度も聞いてしまったほどでした。
1日おきの治療で7日目の来院時、やっと、かなりの腫れが引きました。
その後は、いつもの隔週のルーティーンに戻りました。いつ、ねんざが完治したのかはカルテに書かれていません。小さなお子さん3人をかかえての、てんやわんやの毎日で、両足にそうとうな負担がかかっていました。2ヶ月ぐらいは足にパルスをかけていました。 |
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(後述:肉離れを併発していた可能性? 「#3 短腓骨筋の障害」 「#4 第三腓骨筋の肉離れを併発」) |
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鍼灸は、「どうやったら治るのか」を身体に教えるのが仕事です。テニスのコーチや、学校の先生のようなものです。
治療中は、教わっている最中。「なるほど、なるほど」と、どんどん治ります。ここで完治すれば最高です。
治療をおわったあとも、身体が覚えていて、復習します。しばらくは、どんどん治ります。当日夜、翌日、翌々日に完治することもあります。
そのうち身体も教わったことを忘れてしまいます。このタイミングで追加治療をするといいでしょう。 |
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つい最近の私のねんざです。高校時代にバスケの練習中、ひどいねんざを初体験。それ以来、何度もねんざをくり返してきました。
鍼灸をするようになって、ボテッとしていたくるぶしは、スッキリきれいになったのですが、靭帯が伸び切っているんですね。何年かに1回は、ちょっとしたことでねんざをしてしまいます。
2013年12月、朝一のテニス。準備運動代わりのショートラリー中、歩いている状態でコロッとこけました。しばらく動けなかったのですが、金粒・銀粒を貼って、テーピングをして、そのままテニスをつづけました。そのあと仕事もOKでした。
たいしたことのない慢性ねんざなので、すぐに治るはずと、呑気に構えていました。
母のリハビリに行く途中、バイクの振動で、足首がガタガタ揺られ、「あれ?」と痛みがではじめ、どんどん暴走していきました。 |
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魔物のようなねんざ
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応急処置をして、そのまま仕事をつづけました。右足に熱が集まり、どんどん腫れていくのがわかりました。
だんだん足がつけなくなっていき、それどころか、足の置き場もないほどの激しい痛みになっていき、卒倒しそうでした。
ベッドの上に横たわって、自分のねんざをまじまじと観察。内出血はないけれど、あれしきのねんざで「何でこんなに?」と思うほど、足首から先全体が、とてつもなく腫れています。
足の痛みだけでなく、寒気、心拍上昇で、熱まで37.4℃もあったのです。
魔物にとりつかれたみたいに、全身症状まで襲いかかってきました。 |
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痛みは眠るzzz
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冷やしたほうがいいかと思ったのですが、患部に氷嚢を当てると、超不快でした。だから、赤外線で温めながら、鍼灸治療をしました。「気持ちいいことが、身体にいいこと」という考えからです。
急性ねんざは外果だけです。たったの半日で、足首から足背、内果にアキレス腱まで、足全体が腫れてしまったのには理由がありました。
実は、1ヶ月前、合わない靴でハードなテニスをし、足の甲を痛めたことがあったのでした。治ったかと思って、そのまま放っておいたのですが、「治った」のではなく、「痛みが眠っていた」だけだったのです。
鍼灸の力を再認識しました。安静時痛は治療後すぐに消え、3時間後には足がつけられるようになり、翌朝にはかなり良くなっていました。
外果のねんざも、不具合を眠らせていたせいかもしれません。叩き起こされたおかげで、根本から治療ができました。 |
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<Ryokoのブログ:2013/12/17 「魔物のようなねんざ」 に詳細がのっています> |
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3ページ目へつづく |
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