症例7・モートン病・改
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<足裏の腫れと痛みと痺れ>
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モートン病は神経痛
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2000年5月に「骨盤から足への痛み」で来院したHさん(当時65歳、女性)は、娘さんとふたりで月に2・3回ぐらい、メンテナンスに来るようになりました。
あちらこちら病気のデパートのようだったのですが、スーパー専業主婦で、休むことを知らない働き者でした。(症例5「いぼ」、症例6「とげ」、症例36「帯状疱疹」でも登場しています)
カルテを見ると、2003年だけでも、まず筋疲労で腕が上がらなくなり、右腕の腱鞘炎になり、転んで右肋骨にヒビが入り、顎関節症になり・・・と、いろんな部位を次から次へと治療した記録があり、今さらながら驚きました。
年末には左足の痛みがおこりました。お医者さんに相談したら、最近モートンさんが発見した病気、「モートン氏病」と言われたそうです。足底にアーチがある人は、親指のつけ根の部分で体重を支えます。偏平足だと、2指と3指の根元の部分に体重がかかり、末梢神経が痛むのだそうです。 |
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→「足をつくと痛い」に関係するページ |
*症例7:モートン病 |
足底痛+痺れ、ぼってりして赤味がある |
症例51:かかとの痛み |
踵をつくと痛い原因が下腿の硬直 or 骨棘のとき |
症例55:ガングリオン |
足をつくと痛い原因が風船(関節包に液体)のとき |
症例62:足底の痛み |
マラソンランナーの足底痛 |
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本人の努力
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Hさんは手足がぽっちゃり、小太りの体形で、両足とも偏平足でした。痛いほうの左足は右足に比べて全体に赤味があってぼってり腫れていました。足裏には痺れがあって、痛くて足がつけないのだそうです。
足裏の皮膚には知覚神経が密集しているので、切皮するのにかなりの痛みがおこります。Hさんが「ハリは痛いからいやだ」「お灸も熱いからいやだ」と言うので、患部の炎症には糸状灸しかできませんでした。
(当時は足の裏に水ぶくれができて歩けなくなると困ると思って用心したのです。でも、足の裏の皮膚は分厚くて頑丈で、お灸にはめっぽう強いのです。今では点灸も透熱灸もガンガンやっています)
Hさんはモートン氏病のことを自分で調べて、足の指がのびのび広がるスニーカーを買いました。アーチができるように自分で足をマッサージをして、カマヤミニでお灸をしたそうです。毎日がんばっていたら、だんだん痛みが薄れていきました。
モートンから2回目の来院時(1カ月後)には足裏の痛みが消えていました。赤っぽかった色も薄くなり、腫れも引いていて、左足の裏にも右足と同じ皺ができました。 |
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モートン病らしいと言われた人 |
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症例55「ガングリオン」で引用したものですが、2019年12月に来院したEさん(当時43歳、女性)が事前にくれたメールを紹介します。
「9月から右足裏の指の付け根に痛みがあって、モートン病(恐らく)らしいです。また人差し指を前に倒すと第1~3関節がとても痛くて困っています。
最初近くの鍼灸院に行っててその時はマシになるのですが、すぐに痛くなってしまいました。次に仕方なく整形外科に行ったら、とりあえず骨に異常はなく適当な処置をされ、こりゃやっぱダメだなと思い。。。
先月から整骨院に通ってます。とても丁寧でイイ整骨院で、アーチが崩れてるのを防いだり正しい歩き方の指導を受けて、足の裏の痛みは多少マシになってました。でも、人差し指を前に倒すと相変わらず痛くて痛くて困ってます。
今週は、足指のトレーニングをしてたら親指を痛めたらしく、歩くたびに痛くて変な歩き方になってしまい、また足裏の痛みがぶり返し、踏んだり蹴ったりな感じです」
という内容でした。 |
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「ガングリオン」と思って治療 |
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Eさんの話を聞いて、私のガングリオンとそっくりと思いました。上述のHさんとは表現のニュアンスがぜんぜん違います。Eさんは足のアーチもしっかりありましたし、足の腫れも赤味も神経痛のような症状もありません。
足の裏から人差し指につながる中足骨を探ったら、ゴロッと硬い塊を発見し、グイッと押したら、「痛い!」と悲鳴をあげました。「これはガングリオンだよ」と、塊に鍼を打って置鍼したあと、透熱灸をしました。
足裏の痛みが消えて、足をつけるようになりました。
自宅でできるカマヤミニのやり方を教えてあげました。
足の裏の皮膚は分厚いので、なかなか深部まで熱が届きません。裏と表、同時にカマヤミニでお灸をすると効果的なのです。
自分で毎日やったら、数日で治ったそうです。 |
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両足のモートン病と診断された人 |
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Mさん(当時59歳、男性)の初診は2011年の頚椎症で、その後もときどき寝違えなどでの来院をくり返してきました。2019年4月に手根骨を骨折したときのことは、症例44「手首痛 new」の「手根骨の骨折」で紹介しています。
最近(2023年3月、71歳)、「足をつくと足の裏が痛い」という症状があって、足関節のレントゲンを撮ったそうです。一緒に来ていた奥さんに「この間、先生がガングリオンだよと言って治療をした」と言われたのですが、いつのことか記憶になく、カルテにも記載がありませんでした。
その次の来院時に、病院でモートン病と診断され、「年齢とともにアーチがなくなっていく」と言われたと報告してくれました。両足とも中指と薬指の間の足底に問題があるとのことでした。 |
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とりあえず、痛みが消えた |
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MさんもHさんと似たような体形で、小太りで手も足もぽっちゃりしています。両足とも偏平足気味ですが、赤味はありません。数年前から右足の母指の痺れがはじまったのですが、年々広がって、両足ともソックスを履いているような知覚鈍麻が起こっていました。(実は私も似たような状態です)
広島に帰省していたので次の来院は1カ月後でした。坂道だらけの町だそうで、毎日歩き回っていたら、足裏の痛みがだんだん悪化したそうです。そのうえ、下腿や腰など、あちこちに痛みが波及してしまいました。
下腿の硬直をほぐしながら、『やっぱり、ガングリオンじゃないかな?』と思って、両足の足底にある小さな塊に鍼を打って置鍼しました。
そのあと足底の筋肉はすっかり柔らかくなり、腫れもなく、硬直部位もどこにも見つからないのです。
立ってもらったら、Mさんは「あ、ぜんぜん痛くない!」と、とても驚いていました。 |
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参考:足先の運動とストレッチ |
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年齢を重ねるにつれて、人は足首から先の存在を忘れがちになります。脳年齢と足の指の器用さには相関関係があるとも言われています。無意識だと忘れてしまう部位なので、意識して使うように心がけましょう。
歩くときには、「正しく」歩きましょう。踏み出す足は踵からついて、爪先立ちになり、膝を伸ばしたまま地面を蹴ります。歩幅を大きくすれば、股関節のストレッチもできます。
< FAQ24:「正しい」歩き方とは?リョコちゃんウォーク を参照してください>
足先のストレッチを紹介します。つりそうになる筋肉を見つけたら、カマヤミニでお灸をしましょう。
<*FAQ22:「リョコちゃんストレッチ」からの抜粋です>
- #7: 踵でぐりぐりストレッチ -
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踵や足先を使って、足の5指、足背、足裏のストレッチ。
足指の間に踵をねじ込んで「ぐりぐり」やって指を広げる。足先で、足背と足底も伸ばす。 |
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- #26: 足指のストレッチと筋トレ -
① |
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足背を上げる |
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② |
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親指を上げる |
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③ |
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四指を上げる |
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⇔
交互に |
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上げ⇔下げ |
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⇒ |
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⇔
交互に |
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曲げる⇔伸ばす |
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次に、足指を広げたり、縮めたり、伸ばしたり、曲げたり・・・ |
足首を曲げて脛を、伸ばしてふくらはぎを、同時にストレッチ |
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- #27: 足首とつながる筋肉のストレッチ -
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寄せる⇔広げる |
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太ももの付け根~踵まで、ピシーッと伸ばして、いろんな筋肉をストレッチ |
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長腓骨筋(脛外側)、etc. |
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⇔
交互に |
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膝窩筋(膝裏)、etc. |
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Updated: 2023/5/9 <初版 2003/12/28> |
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