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 症例51・かかとの痛み・改
 <下腿の筋肉の硬直、もしくは骨棘が原因>
体重がのったときに踵が痛む
2004年に来院したTさん(当時51歳、男性)は、後縦靭帯骨化症が治ったあとも、月に1回、身体のメンテナンスに来ていました。
2009年7月の来院時、「朝起きて、歩きはじめるときに、かかとをつくと痛い」という愁訴がありました。かかとの裏(失眠)のカマヤミニで治るはず、と思ったのですが、「ちょっといい」という程度の効果で、翌月もまだ痛みがあるとのことでした。
ハリを打ってみたり、透熱灸をしてみたり、あれこれ試したのですが、4回目、4ヶ月後の来院時にもまだ治っていなくて、「ときどき、じっと立っていても痛い」とのことでした。
そこで試したのが下の図の治療。かかとの上をぐるりと囲むように糸状灸をしたら、かかとの裏の痛みが消失したのです。
痛んだ部位
点灸の位置
→「足をつくと痛い」に関係するページ
症例7:モートン病 足底痛+痺れ、ぼってりして赤味がある
*症例51:かかとの痛み 踵をつくと痛い原因が下腿の硬直 or 骨棘のとき
症例55:ガングリオン 足をつくと痛い原因が風船(関節包に液体)のとき
症例62:足底の痛み マラソンランナーの足底痛
ふくらはぎと連動する踵の痛み
剣道は、両手で竹刀を構え、前足をド~ンとついて、後足で床を蹴って踏み込みます。アキレス腱とかかとに、かなりの負荷がかかるようです。
剣道少年のE君は、2012年12月、「左かかとをつけると痛い」、「ずっと前から、蹴るときに右アキレス腱が痛かった」と来院しました。
背が高いほうがリーチも長いので、剣道では有利だそうです。中一でまだ背が低かったE君は、負けつづけで悩んでいました。
小さいほうが小回りがきくはず。敏捷性をアップさせるために、日常の歩き方を工夫して、ふくらはぎの柔軟性を高めることと、爪先立ちの筋トレをすすめました。(小さくても2年生で優勝したそうです)
2017年1月、高校の九州遠征でふくらはぎを痛めて来院したときは、かかとが腫れて熱を持っていました。
ふくらはぎは、筋肉にパルスをかけたあと、きれいにほぐしました。
かかとの周囲には浅いハリを置鍼したあと、の部分に糸状灸をしました。細くて小さなもぐさをのせ、寸止めで火を消す簡単なお灸です。
かかとの熱と腫れが引き、痛みもすっかり消えてなくなりました。
下腿の筋肉の硬直をほぐして治す
ふくらはぎの筋肉は、腓腹筋とヒラメ筋で構成されています。ヒザの裏側からはじまって、共にアキレス腱となって踵骨にくっついています。たいていの患者さんが失眠のカマヤミニだけで治ったのは、必ずふくらはぎの治療をするからなのでしょう。
他にも後脛骨筋、短腓骨筋など、下腿を構成して足底につながっている筋肉はたくさんあります。原因の筋肉をあわせて治療しましょう。
筋肉は縮むことで働きます。疲労の蓄積や過緊張がつづくと、筋肉は硬くなって、縮んでしまいます。縮んだ筋肉が足の裏を引っぱることになり、結果、「かかとをつくと痛い」という症状があらわれたのです。
痛む部位ではなく、周辺を治療したら完治したという、不思議な現象が起こりました。「思いつき」が功を奏しました。
鍼灸は臨床医学なので、治療の効果=「結果」から「原因」を導き出すことができるところが面白いですね。
筋肉をほぐしても治らなかった踵痛
2011年に頚椎症で来院したCさん(当時53歳、女性)は、その後もずっとメンテナンスの治療をつづけています。
2018年5月(60歳)のある朝、右の踵がつけないほどの激しい痛みになったそうです。半年前ぐらいから踵の違和感が強くなったのですが、背中が治ってやれやれというタイミングでした。大脳が背中の痛みに集中していたのでしょう。入れ替わるように踵の痛みを激しく感じるようになったのです。
一日中パソコンの前に坐っている仕事なので、ヒラメ筋がいつもカチンカチンにこる人で、毎回必ずふくらはぎの治療をしていました。
踵まわりの糸状灸をおこないましたが、痛みはちょっとずつしか薄れていきません。歩きすぎるとまた痛みが悪化してしまいます。一進一退という状態でしたが、だんだんに痛みの範囲が狭まっていきました。
踵~土踏まずの内側 範囲が狭まっていく 一点に
骨にささくれ(骨棘)ができたらしい?
Cさんの痛む部位は1点()に集約されました。踵をついた拍子に、ズキッと「刺されるような」痛みが起こるとのことでした。もしかしたら、踵骨に「ささくれ」ができて、棘のように筋肉を刺すのではないか?と想像しました。
骨の表面が滑らかでなくなって、トゲのような突起ができると、肉に針が刺さるような痛みが起こることがあるのです。
骨はとても原始的な存在です。可塑性が高いので、骨折をしても継ぎ目を残さずに元通りに治ります。でこぼこになっても、出っ張っているところが吸収され、へこんでいるところに継ぎ足され、正しい形に復元されていきます。
(筋肉の場合は「瘢痕治癒」といって、傷跡を残すことが多いというのに・・・)
たぶん、血行不良が原因と思います。膝のお皿の外側とか、足指の骨とか、体表から近いところの棘は、透熱灸でけっこう簡単に治せます。
でも、踵は分厚いので、治療する方も大変ですが、される患者さんも大変です。
踵骨の骨棘は患部が深い
手の平と足の裏の皮膚には知覚神経が密集しているので、鍼を刺す(切皮)とき、とても痛い。そのうえ皮膚から患部まで遠いので、深く刺入しなければなりません。
幸いにCさんは痛みに強くて、ズシンと響かせると「痛くて気持ちがいい!」「効いてる感じがする」と喜んでくれる人でした。
皮膚の上から指で患部をグイッと押して、痛みの出るポイントを見つけます。棘に向けて鍼を深く深く刺していきます。3センチぐらいで棘を直撃できるので、そのまま置鍼します。患部が狭まるにつれて本数を減らしていきました。痛みが薄れてからは1本で大丈夫になりました。
鍼を抜いたあと、熱さを感じるまで透熱灸を重ねます。小さなもぐさから始めて、積もった灰の大きさに合わせて、もぐさを少しずつ大きくしていきます。熱が深部に達して、患者さんが「熱い!」と感じたところでやめます。
Cさんも毎日自分でお灸をしてくれました。20回目、11月になって、やっと踵の痛みが消えました。
次から次へと主訴が移動
はじめて来院したときのCさんは、全身に愁訴を抱えていました。頚椎症と診断されてから3ヶ月近くたっていたので、痛みも痺れも両側にありました。

   - 初診時 -
首の痛み
背中の痛み(3年前から)
腰の痛み
左ひざの痛み
右踵の痛み
両腕、両膝の裏、両足の裏に痺れ

うちの治療室では、経絡治療を含めて全身の治療をします。
一番つらいの治療がメインでしたが、腰痛ひざ痛帯状疱疹逆流性食道炎と、いろんな試練がありました。
だんだんに首の可動域が広がっていって、振り向くときに僧帽筋などの肩の筋肉まで、首と連動して動くようになりました。
首が楽になったとたんに、背中の痛みが激しくなりました。背中は肋骨でがっちり固められているので、悪くなりにくい代わりに、治すのも大変です。
背中が楽になったとたんに、踵の痛みがはじまりました。Cさんにとっては、「ついでに踵も」という感じでもありました。
筋肉バランスの変化を追いかけて・・・
背中の痛みに苦しんだCさんは、一大決心をしました。フルタイムでのパソコン仕事で、歩くことすらほとんどなかった生活を改めたのです。
Cさんはストレッチをはじめ、ラジオ体操をはじめ、毎日歩くようになりました。ふくらはぎもだんだん柔らかくなっていきました。
たくさん歩くようになったせいでしょう。踵痛が悪化し、治ったとたん、今度は右の坐骨結節)につながる筋肉が悲鳴を上げてしまいました。

首、腰、左ひざ 背中 踵とテニス肘 でん部とバネ指

ストレッチで可動域が広がると、筋肉バランスが変化します。痛みが出るのはチャンスです。あきらめずに、運動、ストレッチと鍼灸治療をつづけましょう。
Cさんの愁訴は、左テニス肘)、右のバネ指)などまだまだ尽きませんが、50代の頃より、60代になった現在のほうが着実に若返っています。
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Updated: 2020/2/18 <初版 2017/6/11