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 症例43・ダンス;坐骨結節~ハムの痛み
 <可動域が広がると、ダンスが上達する>
ストレッチができなくなった
ジャズダンスとクラシックバレエを習っている、Nさん(当時28歳、女性)がはじめて来院したのは、2006年8月でした。
「5年前に右の臀部がピキッと音がした。それ以来、ストレッチができなくなってしまった」とのことでした。その後、左の臀部も痛くなってしまったそうです。日常生活に支障はありません。
レッスンの前には、入念なストレッチで身体をほぐすのですが、ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)が伸ばせません。レッスン中も、「立った姿勢で、足をあげたまま膝を伸ばす」ことができないそうです。
最初に痛めた右よりも、左の痛みのほうが強くなっていました。
とりあえず、足が上げられるようになった
パソコンで仕事をしているので、首・肩こりも相当なものでした。
経絡治療のあと、腰と臀部、ももの裏の筋肉を中心に、深い鍼を打ちました。浅い鍼とお灸も組み合わせ、全身治療をしました。
「どう?足が上げられるかやってみて」とお願いしたところ、Nさんは、バレエの美しいポーズで左足を上げました。「足をあげたまま膝を伸ばす」動作ができるようになっていました。
高々と上がる足にびっくりした私は、「えっ、足ってそんなに上がるものなの?」と、自分で試してみました。ぶざまで、しかも床と平行以下しか上げられません。『坐骨神経痛に似た症状・2』のTさんのときも驚いたのですが、鍛えあげた人とは格段の違いがあります。
ストレッチには「治す」効果はない
2回目は1週間後でした。残念ながら、翌日の夕方にはもとに戻り、また足を上げられなくなったそうです。5年間も具合が悪かったのですから仕方がありません。長患いの場合、はじめのうちはすぐに元に戻ってしまう、ということがよくあります。
週に1回、4回目の治療の後、臀部の痛みは消えました。ももの裏が硬いとはいえ、「ずっと調子がいい」という状態がつづきました。レッスンの前のストレッチでも、ハムが伸ばせるようになりました。
ストレッチは、柔軟な身体をつくり、怪我を予防する効果があります。でも、いったん、筋肉を痛めてしまったら、もうストレッチだけでは治りません。患部をきちんと治しながら、ストレッチをやりましょう。
治療の重点ポイントを変える
Nさんはその後も、2~4週間に1回というペースで治療にやってきました。左の臀部とももの付け根、両足のハムストリングスなどを中心に治療をしました。でも、来院のたびに重点ポイントが移動します。
「私の股関節の形状のせいで、これ以上足が高く上げられることはないだろうと、先生に言われたことがあります」とNさんが言うので、股関節の治療も加えました。
7ヶ月後のある日は、「足が上がるようになったら、背中でひっかかる」ようになったとのことで、背中に重点をおいて治療をしました。
関節の可動域が広がっていくにつれ、それまでできなかった動きができるようになります。筋肉のバランスが変化するので、あちこちに歪みが出てくるのです。それを追いかけて治療します。
ぎっくり腰になる
10ヶ月が過ぎたところで、「前屈時に腰痛が出る」ようになりました。
仙骨のあたりの筋肉がかなり過緊張をしていました。ものすごく丁寧に治療をしたのですが、「もしかしたら、ぎっくり腰を起こすかもしれないから、こういうときは用心して、1週間以内に治療に来た方がいいよ」と、Nさんに忠告しました。
予言は間に合わず、翌日、Nさんはぎっくり腰をおこしてしまいました。かなりひどい状態で、タクシーで来院しました。身動きするのもやっとで、何かにつかまらなくては歩けませんでした。
脊柱は、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨からなっています。仙骨は、腸骨、坐骨と一緒に、骨盤を形成しています。
腰椎のぎっくり腰なら、痛くても動くことができますが、仙骨のぎっくり腰になると、身動きもできなくなります。ちょっと動こうとしても、骨盤がバラバラになりそうな不安を感じてしまうのです。
ぎっくり腰は、1回の治療でよくなったのですが、そのあとも3ヶ月ぐらいは、ときどき腰痛があったようです。
筋肉バランスの変化を追いかける
筋疲労が重なると、筋肉は縮んで硬くなります。硬くなったまま放っておくと、いつのまにかギブスのようになって、他の筋肉たちの支えになってしまいます。そのため、さぼってしまった筋肉に、筋力低下がおこります。
硬くなった筋肉が1本ほぐれれば、そのたびに、筋肉バランスは変化していきます。次々にいろんなところに痛みが出てくるのは、そのためです。
治っていく過程で、痛みが移動したり、ぎっくり腰になったりするのは、スポーツマンにとっては、ある意味、宿命のようなものです。
Nさんは、腰痛だけでなく、下半身のあらゆる筋肉に次から次へと問題を起こしました。でも、治療とレッスンをくり返していくうちに、関節の可動域が広がって、ダンスがどんどん上達していきました。
股関節の形状も、筋肉によって形作られていたようです。「自分には無理」とあきらめていた動きも、やすやすとできるようになっていったそうです。
坐骨結節周辺の治療
毎回、治療の最後に、坐骨結節の周囲をピンポイントで狙い打ちにしました。2・3年はつづいたでしょうか。
痛みの出ている場所に、長い中国鍼を深く刺します、ズシーンと手ごたえがあったら、5分ほど置鍼をします。時には灸頭鍼や、灸点紙をしいての透熱灸を加えました。
悪い側を上にしてベッドに横になり、膝を曲げてもらって、後ろから打つ。または、仰向けで足をかかえてもらい、前方から打ったこともあります。
最初は左だったのですが、ぎっくり腰が治った頃から、右の坐骨結節からハムにかけての痛みが強くなりました。
坐骨結節にくっついている筋肉は、何本もあります。鍼を打つたびに、少しずつ部位が移動するので、とうとう坐骨結節のまわりを、ぐるりと1周してしまいました。
あれから5年がたちました。Nさんは、現在も、仕事とダンスを両立させて、がんばっています。下半身だけでなく、首や背中の可動域も広がってくれれば、表現力がアップするね!とふたりで話し合っています。
でん部、坐骨結節~太もも、足に関する症例
症例1 椎間板ヘルニア 症例34 バレエで膝を痛め、お尻から太ももに波及
症例8 骨盤から足への痛み 症例41 マラソンで坐骨結節~ハムを痛めた
症例13 坐骨神経痛・1改 症例43 ダンスで坐骨結節~ハムを痛めた
症例34 半腱様筋の痛み 症例56 足先が上げにくい(脛の神経麻痺)
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Updated: 2011/6/29